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「花粉症について」

リリース日: 平成26年2月1日

花粉症とは?

花粉症について

花粉が飛ぶ季節になると始まる、くしゃみ、鼻水、鼻づまり。スギやヒノキなどの植物の花粉が原因で生じるアレルギー症状を「花粉症」と呼びます。医学用語では、「季節性アレルギー性鼻炎」。
現在、日本人のおよそ4人に1人が花粉症だと言われています。

花粉症の症状が現れやすいのが、鼻と目です。
鼻の三大症状と言われるのが、くしゃみ、鼻水、鼻づまり。こうした症状は、風邪と間違われやすいのですが、風邪であれば1週間程度で治るのに対し、花粉症は花粉が飛んでいる間は続くこと、さらさらとした水っぽい鼻水が流れることといった違いがあります。
一方、目の三大症状と言われるのが、目のかゆみ、目の充血、涙です。
このほか、体がだるい、熱っぽい、イライラする、喉や顔、首がかゆい、集中力が低下するといった全身症状を伴うこともあります。

花粉症のメカニズム

くしゃみ、鼻水、鼻づまりにしても、目のかゆみ、充血、涙にしても、いずれも入ってきた花粉を取り除こうとすることで生じるアレルギー反応です。
花粉が目や鼻から入ってきて、体内の免疫システムによって「異物=敵」とみなされると、敵に対抗するための抗体(「IgE抗体」と言います)がつくられます。このIgE抗体は、花粉に接触するたびにつくられるため、少しずつ体内に蓄積されていきます。
蓄積量があるレベルに達すると、次に花粉が入ってきたときに、アレルギー反応を起こすヒスタミンなどの化学物質が分泌され、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった花粉症の症状を起こすのです。
去年までは全然大丈夫だったのに急に花粉症になった――。それは、これまで蓄積されていたIgE抗体が一定量に達してしまったからなのです。

花粉症の原因植物

花粉症と言えば、スギ花粉症がよく知られていますが、このほかにもさまざまな花粉症を引き起こす植物があります。

代表的な原因植物

スギ(2月〜4月)
本州、四国、九州の山中に分布する。花粉症の原因植物の代表格。
ヒノキ(3月〜4月)
本州の福島以南と四国、九州に分布する。スギ花粉に似たアレルギー物質を持つ。
イネ科
カモガヤ(5月〜6月)、オオアワガエリ(6月〜8月)、ススキ(9月〜10月)など。
ハンノキ(1月〜4月)
日本全土に分布し、森や湖などの湿地に多い。
シラカンバ(3月下旬〜6月)
北海道や本州の中部以北に分布している。スギ花粉症がほとんどない北海道では、シラカンバ花粉症が多い。
ブタクサ(8月〜9月)
東北以北は少ないが、日本全域に分布する。秋の花粉症の代表格。
ヨモギ(9月〜10月)
日本全域に分布する。
カナムグラ(8月〜10月)
日本全域に分布し、特に関東地方に多い。
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
スギ
ヒノキ
イネ科
ハンノキ
シラカンバ
ブタクサ
ヨモギ
カナムグラ

花粉症の診断

「花粉症かな?」と思ったら、自分で判断する前に、近くの医療機関にかかってください。花粉症を起こしている原因植物も、症状の出方も人によってさまざまです。まずは原因を探り、自分に合った治療方法を見つけることが大切です。
本当に花粉症なのか、花粉症であるなら何が原因なのかは、次のような検査によってわかります。

・血中IgE検査

血液検査には、血中の総IgEが多いか少ないかを調べる検査と、花粉に反応するIgE(特異的IgE)を調べる検査があります。検査代は、IgEの総量を調べる検査が1,000円。原因となるアレルゲンを調べる検査は、1種類1100円で、1回の検査あたり14,300円が上限です。これらに、検査判断料として、1,440円がかかります(検査判断料は、免疫学関連の検査をいくつ行っても1,440円で、月に一回かかります)。

・皮膚反応検査

皮膚の表面を少しひっかき、花粉のエキスで刺激して、その反応をみるというテスト。検査代は、21か所以内の場合、1か所につき160円。22か所以上になると、トータルで3,500円です。

・鼻粘膜誘発テスト

原因と考えられる花粉エキスがしみ込んだ紙を鼻の粘膜に貼り付け、反応をみるテスト。検査代は、皮膚反応検査と同じで、1か所につき160円、検査か所が22か所以上になるとトータルで3,500円かかります。

このほか、花粉のエキスを点眼して目の反応をみるテストや、目の粘膜などをブラシを使ってとり、アレルギーを起こす白血球がないか顕微鏡で観察する検査などを行うこともあります。

花粉症対策

1 医療機関での治療

花粉症の治療には、症状を抑える「対症療法」と、完全に治すための「根治療法」があります。

にじゅうまる 対症療法 ... 内服薬、点鼻薬、点眼薬を使った薬物療法、レーザー手術
にじゅうまる 根治療法 ... 免疫療法

<薬物療法>

花粉症治療の基本は、薬を使った対症療法で、主に次のような薬が使われます。

・抗ヒスタミン薬

薬剤治療のベースになるのが、「抗ヒスタミン薬」。ヒスタミンの働きをブロックし、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった症状を抑えてくれます。これまでは「花粉症の薬は眠くなる」と言われがちでしたが、眠気などの副作用が軽減された「第2世代抗ヒスタミン薬」が登場し、今ではこちらが主流になりました。

・抗ロイコトリエン薬

ロイコトリエンは、ヒスタミンと同じようにアレルギー反応を起こす化学物質です。特に、血管を拡張させる作用がある(=粘膜が腫れて鼻づまりを起こす)ため、このロイコトリエンの働きを抑制する「抗ロイコトリエン薬」は鼻づまりが強いときに使われます。

・鼻噴霧用ステロイド薬

くしゃみや鼻水などの鼻の症状が強いときに使われます。「ステロイド=副作用が強い」というイメージがあるかもしれませんが、「鼻噴霧用ステロイド薬」は鼻だけに効くようにつくられているため、副作用は少なくて済みます。

このほか、目の症状に困っている場合は、「点眼用抗ヒスタミン薬」、「点眼用遊離抑制薬」、「点眼用ステロイド薬」などが使われます。

<レーザー手術>

薬を使った治療で十分な効果が得られない場合、特に鼻づまりの症状が強い場合、レーザー手術を行うこともあります。
鼻粘膜の表面に麻酔をかけ、レーザーで粘膜を焼き、アレルギー反応を抑えるという治療法です。手術は、片鼻10分程度、外来で行い、1回の治療で終了します。費用は、両鼻で29,100円で、保険が適用されています。

<免疫療法>

一方、根治療法として期待されているのが、「アレルゲン免疫療法」です。花粉症の原因となっている物質(=アレルゲン)を少ない量から取り入れ、徐々に増やして、免疫を獲得しようという治療法。花粉に反応する体質自体を変えていこうという考えです。
治療には2〜3年かかりますが、花粉症が治り得る唯一の治療と言われています。
これまでは注射で行われていましたが、最近ではもっと手軽な「舌下免疫療法」に関心が高まっています。2014年1月には、国内初となるスギ花粉症と対象としたアレルゲン免疫療法薬「シダトレン(R)スギ花粉舌下液」が厚生労働省の承認を受けました。舌の裏側に薬を滴下し、そのまま2分間待ってから飲み込むというもの。注射のように痛みもなければ、頻繁に通院する必要もありません(通院は1カ月に1回ほど)。

2 セルフケア

花粉症の薬には、薬局などで購入できる市販薬も数多くあります。その多くが、抗ヒスタミン薬です。ほとんどが第一世代の抗ヒスタミン薬ですが、一部、眠気を起こしにくい第二世代の抗ヒスタミン薬もあります。
また、点鼻薬、点眼薬も市販されています。
いずれも、薬剤師さんがいる薬局で、現在の症状や他に飲んでいる薬などの情報を伝えた上で、相談しながら選ぶようにしましょう。

一般的に、市販薬は即効性が高く、症状を緩和するのに有効ですが、効果が持続しにくいと言われます。一方、処方薬は即効性は劣るものの、症状が出る前に服用することで症状を予防できる、効果を持続しやすいことがメリットです。また、検査で原因を突き止めてから治療を行うことで、自分に合った治療法を選べるというメリットもあります。

このほか、セルフケアで大切なのは、花粉との接触をできるだけ避け、予防するということ。次のようなことに気をつけましょう。

  • 花粉飛散情報に注意する
  • 花粉が多く飛んでいるシーズンは、外出時にはメガネとマスク、帽子を
  • 上着は、表面がつるつるとした素材のものを
  • 帰宅したら玄関で花粉をよくはらい、洗顔、うがいをして、鼻をかむ
  • 花粉が多く飛んでいる日は窓を開けない
  • 掃除をこまめに
  • 花粉が多く飛んでいる日は布団を外に干さない

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