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チャージ症候群(指定難病105)

ちゃーじしょうこうぐん
病気の解説
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診断・治療指針
(医療従事者向け)
FAQ
(よくある質問と回答)
告示病名以外の指定難病対象疾病名はこちらにあります。

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

しろまる 概要

1.概要
CHD7遺伝子のヘテロ変異により発症する多発奇形症候群である。発症頻度は、出生児 20,000人に1人程度に発症する希少疾患である。C-網膜の部分欠損(コロボーマ)、H-心奇形、A-後鼻孔閉鎖、R-成長障害・発達遅滞、G-外陰部低形成、E-耳奇形・難聴を主症状とし、これらの徴候の頭文字の組み合わせにより命名されている。

2.原因
チャージ症候群の原因遺伝子は、8番染色体8q12.1に存在するChromodomain helicase DNA binding protein-7(CHD7)であるが、多系統にわたり障害が発症する機序は不明である。

3.症状
1成長障害や精神発達遅滞はほぼ必発である。成長障害は出生後に顕著となる。一部の症例に成長ホルモン分泌不全を伴う。
270%程度に先天性心疾患を認める。
3顔面の非対称性(顔面神経麻痺症状)を認める。左右の耳介の形態も異なることが多い。眼瞼下垂、前上顎部の低形成(Premaxillary Underdevelopment)、下顎低形成(PierreRobin シークエンス)、口唇口蓋裂などの合併あり。これらの奇形に加えて、咽頭・喉頭の協調運動の低下により、 哺乳障害・嚥下障害を来す。
4片側ないし両側性の虹彩・網膜・脈絡膜・乳頭のコロボーマ(欠損)はほぼ必発である。
5耳垂の無又は低形成などの耳奇形に加え、感音性・伝音性又は混合性難聴を認める。
6膜性・骨性の後鼻孔閉鎖(狭窄)を認める。口蓋裂の合併例も多く、その場合には後鼻孔閉鎖を認めない。
7停留精巣・尿道下裂,陰唇の低形成・二次性徴の欠如など性器低形成(〜70%)

4.治療法
多臓器に合併症を来すため、多面的な医療管理を必要とする。乳幼児期早期の生命予後を決めるのは先天性心疾患と呼吸器障害である。速やかに、気道(後鼻孔・口蓋・喉頭・気管)、心臓の評価と治療を進める。必要に応じて、後鼻孔閉鎖・狭窄に対する外科的治療を行う。喉頭の構造異常等により上気道閉塞を生じる場合には気管切開を行う場合もある。多くの患者では嚥下機能が低下しており、周術期には誤嚥に注意する。成長障害・発達遅滞を合併することから栄養・成長・療育等の問題について、早期介入・継続的なフォローを必要とする。哺乳障害・摂食障害が続く場合には経管栄養・胃瘻造設をおこなう。

5.予後
成長障害・発達遅滞に加えて視力障害、心不全・チアノーゼ、呼吸障害、性腺機能不全、難聴などを合併する。循環器・呼吸器という生命維持に必須の臓器の障害に感覚器の二重障害(聴覚障害・視覚障害)を伴う、慢性的かつ持続的な疾患であり、生活面での長期にわたる支障を来す。

しろまる 要件の判定に必要な事項
1.患者数(令和元年度医療受給者証保持者数)
100人未満
2.発病の機構
不明(多系統にわたり障害が発症する機序は不明。)
3.効果的な治療方法
なし(根治療法なし。)
4.長期の療養
必要(生活面での長期にわたる支障を来す。)
5.診断基準
あり(学会関与の診断基準等あり。)
6.重症度分類
研究班による重症度分類を用い、基準を満たすものを対象とする。

しろまる 情報提供元
「CHARGE症候群の成人期の病像の解明と遺伝子診断の臨床応用・iPS細胞の確立」
研究代表者 慶應義塾大学医学部・小児科学教室 准教授 小崎健次郎
「先天性異常の疾患群の診療指針と治療法開発をめざした情報・検体共有のフレームワークの確立」
研究代表者 慶應義塾大学医学部・臨床遺伝学センター 教授 小崎健次郎
「国際標準に立脚した奇形症候群領域の診療指針に関する学際的・網羅的検討」
研究代表者 慶應義塾大学医学部・臨床遺伝学センター 教授 小崎健次郎
「小児慢性特定疾患の登録・管理・解析・情報提供に関する研究」
研究代表者 国立成育医療研究センター 病院長 松井陽




<診断基準>
確定診断例と臨床診断例を対象とする。

診断のカテゴリー
(1)確定診断
症状のいずれかから本症を疑い、原因遺伝子(CHD7遺伝子)に変異を認める。

(2)臨床診断
必発症状を有し、大症状2つ以上有する。
又は、必発症状を有し、大症状1つと小症状2つを有する。

必発症状:
1耳介奇形を伴う両側性難聴
2低身長
3精神発達遅滞

大症状:
1眼コロボーマ(種類を問わない。)
2後鼻孔閉鎖又は口蓋裂
3顔面神経麻痺又は非対称な顔

小症状:
1心奇形
2食道気管奇形
3矮小陰茎若しくは停留精巣(男児)又は小陰唇低形成(女児)



<重症度分類>
(注記)下記の基準(ア)、基準(イ)又は基準(ウ)のいずれかを満たす場合

基準(ア):症状として、けいれん発作、意識障害、体温調節異常、骨折又は脱臼のうちいずれか一つ以上続く場合
基準(イ):現在の治療で、強心薬、利尿薬、抗不整脈薬、抗血小板薬、抗凝固薬、末梢血管拡張薬、βブロッカーのいずれかが投与されている場合
基準(ウ):治療で、呼吸管理(人工呼吸器、気管切開術後、経鼻エアウェイ等の処置を必要とするもの)、酸素療法、胃管・胃瘻・中心静脈栄養等による栄養のうち一つ以上を行う場合


(注記)診断基準及び重症度分類の適応における留意事項
1.病名診断に用いる臨床症状、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規定がない場合には、いずれの時期のものを用いても差し支えない(ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限る。)。
2.治療開始後における重症度分類については、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態であって、直近6か月間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
3.なお、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続することが必要なものについては、医療費助成の対象とする。

令和6年4月1日

難病治験ウェブ(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)

治験を実施している指定難病を調べることができます。キーワード検索欄に指定難病名を入力し、検索してください。


治験・臨床研究情報検索サイト一覧
情報提供者
研究班名 患者との双方向的協調に基づく先天異常症候群の自然歴の収集とrecontact可能なシステムの構築班
研究班名簿
情報更新日 令和6年4月(名簿更新:令和7年6月)

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