ウルリッヒ病は、生まれた時から力が弱い、肘や膝の関節が固くなって十分に動かせない(関節拘縮)、手首や手指の関節が過度に柔らかいなどの特徴をもつ病気です。Ⅵ型コラーゲン遺伝子の変異によって起こり、 先天性 筋ジストロフィーの一つに分類されています。欧米からはXII型コラーゲン遺伝子変異による例も報告されています。
日本では、福山型先天性筋ジストロフィーについで2番目に多い先天性筋ジストロフィーです。報告されている患者さんの数は約300人ですが、実際はもっと多い可能性があります。
多くの患者さんでは、生まれた時から泣き声が弱い、呼吸がうまくできないなどの症状があります。生まれる前から胎動が少ないなどで気付かれることもあります。
Ⅵ型コラーゲン遺伝子変異によって起こります。ただ、何故、Ⅵ型コラーゲンが障害されると力が弱くなったり、関節に障害が出たりするのか、現在研究中でまだ詳しいことは明らかになっていません。
ウルリッヒ病ではその重症度ゆえに次世代獲得まで至れることが少なく、その多くは突然変異で生じた変異を一つだけ有し発症します。また一部には、父親由来と母親由来の遺伝子変異を1つずつ有し、両方の変異がある場合に発症する場合もあります(このような疾患を 常染色体潜性遺伝(劣性遺伝) 病と呼びます)。その場合に、両親は遺伝子変異をそれぞれ1つずつ持っていますが、特に症状はありません。その場合に生まれてくる子供が発症する確率は25%、遺伝子変異を1つもつ確率は50%です。
母親の妊娠中から胎動が少ないことが多いです。生まれた時から、力が弱い(泣き声が弱い、哺乳力が弱い、呼吸がうまくできない等)、肘や膝の関節が固くて真っ直ぐに伸ばせない(近位関節の拘縮)、反対に手首や手指の関節が非常に柔らかく通常では曲げることができないところまで曲がってしまう(遠位関節の過伸展)など、特徴的な症状を呈します。また、先天性股関節脱臼や後ろ側に突出した踵(踵骨突出)などを認めることもあります。運動の発達は遅れることが多く、重症の患者さんでは、自力で歩けるようになりません。歩けるようになった患者さんでも、10歳頃までに歩けなくなることが多いです。10-20歳頃には、背骨(脊柱)の弯曲が健常者と比べて大きくなったり(側彎)、呼吸のための筋肉が弱くなって人工呼吸器が必要になったりします。知的能力は病気の影響は受けません。
残念ながら根本的な治療法はありません。関節が固くなったり、背骨の変形が進行するのを予防し、筋力を保つために、早い段階からリハビリテーションを行います。足首の関節が固くなって歩きにくくなったり、背骨が変形して呼吸がしにくくなったような場合には、手術を行うこともあります。呼吸の状態が生命を左右するので、呼吸の能力を定期的に調べて、必要に応じて人工呼吸器を導入します。食事が十分にとれない場合には 胃瘻 をつくることもあります。
10歳頃には自力での歩行ができなくなります。また、10-20歳頃から呼吸の能力が徐々に低下し、人工呼吸器が必要となります。
肺炎などの感染症により急に状態が悪化する可能性がありますので、ワクチンをするなど、できる限り感染を予防する必要があります。
該当する病名はありません。
ウルリッヒ型筋ジストロフィー患者会 http://ucmd-kanjakai.jimdo.com/
ウルリッヒの会 https://www.ullrichdisease.com/</a
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研究班名 | 希少難治性筋疾患に関する調査研究班 研究班名簿 |
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情報更新日 | 令和4年12月(名簿更新:令和7年6月) |