2020年07月11日
コアジサシ音声発生装置プロジェクト
近年愛知県で生息数が激減した絶滅危惧種コアジサシ。
そのコアジサシ保護活動のため、愛知県支部は2017年秋に日野自動車グリーンファンドからの助成金を得て、2018年初冬に金型による量産型コアジサシデコイを完成しました。色塗りイベントでデコイに色を塗り、出光興産愛知製油所のご協力を得て、2018年夏と2019年夏にはその敷地内にデコイを設置しコロニー誘致活動を実施。しかし残念ながら成功には至りませんでした。
量産型コアジサシデコイ(金型による成型品 未塗装品)
122-0.jfif
2018年3月コアジサシ色塗りイベントの様子 @なごや生物多様性センター
IMG_1278.jpg
2019年3月コアジサシ色塗りイベントの様子 @なごや生物多様性センター
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色塗りイベントで塗装したコアジサシデコイ
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コアジサシコロニー誘致に際しては、録音したコアジサシの声をデコイ設置場所で流すと誘因効果が高まることが知られています。
そこで次のステップとしてソーラーパネル付きの「コアジサシ音声発生装置」を作ることになりました。ソーラーパネルで発電してMP3プレーヤーに入れたコアジサシの音声をアンプで増幅してスピーカーで鳴らす、というものです。
そのための助成金申請書作りをスタート。様々な人からのアドバイスを受けて、2020年1月11日助成金を申請しました。
助成金が決定するのは3月。それまでの約2か月間、助成金をもらえる前提で先行して進めることにしました。
まずシステムの基礎となるソーラーパネル、バッテリーの仕様を決定。
マイコンとMP3プレーヤーのプログラミングは支部役員でIAMAS出身のTさんが作成してくれました。
光センサーが光を検知すると音声の電源ONとなり暗くなると音声電源OFFとなる仕組みです。
MP3プレーヤーとマイコン「arduino uno」、光センサー
arduinoMP3.JPG
そして2020年3月2日、待望の助成金授与決定のお知らせ!
ところがその頃から新型コロナで活動自粛ムードとなり、コアジサシデコイ色塗りイベントとデコイ設置の中止が決定、「コアジサシ音声発生装置」による今シーズンのコロニー誘致は断念となりました。
愛知県支部ステイホーム呼びかけのホームページバナー
toppage_stayhome940x450_2020年4月30日_.jpg
5月下旬、緊急事態宣言の解除が近づき、今年断念でも来年に向けての活動再開を決定。
ソーラーパネル、バッテリーその他一式を発注、初回の作業を5月23日(土)に弥富野鳥園て行いました。
初回作業の目標はソーラーパネル、バッテリー、充放電コントローラー、アンプ、MP3プレーヤーの配線方法を確認することです。
コロナ自粛の関係もあり、ここまで具体的な配線方法についてはほぼ未検討でした。
仮組み立ての様子
IMG_1212.jpg
この日の作業で必要な配線コネクタ類を確認、後日発注をしました。
そして第2回目を6月6日(土)に弥富野鳥園にて実施。
新たに購入したコネクタ類でソーラーパネルとバッテリー、充放電コントローラーを接続し、さらにマイコンとアンプ、スピーカーをつないで、配線完了。
2020年6月6日-battery.jpg
支部長、Hさん、Yさん、MJさん
2020年6月6日-11.23am.jpg
さあ、スピーカーをならずぞ、天まで届け、コアジサシの声! とばかりに電源を投入。
「あれ。。鳴らない。。。」スピーカーは鳴りませんでした。
配線がどこか間違っていたようです。
IMG_1610.jpg
そこでこの日はいったん終了。配線方法をしっかりと確認することにしました。
メンバーで調べたところ、アンプをON-OFFするリモート端子が未配線、さらにMP3プレーヤーからアンプに出力する端子の誤配線が判明。取説を精読して皆で正しい配線方法を見出しました。
第3回目を6月20日(土)に弥富野鳥園にて実施。実施に先立って支部長から配線図の清書版が送られてきました。分かりやすく描かれており、遊び心も入っている配線図です。
配線図(支部長清書版)
配線図niinii.JPG
今回から電気に詳しい役員のMさんにも加わっていただき、MさんとNは配線作業。
2020年6月20日-haisen.jpg
支部長および他のメンバーはソーラーパネルの取付台の製作。こちらも支部長の設計によるものです。スチールパイプの表面にプラスチックをコーティングした「イレクターパイプ」というDIY用パイプを用いています。
支部長、Yさん、MJさん
2020年6月20日kumitate1.jpg
2020年6月20日kumitate-2.jpg
配線のほうはMさんのおかげで滞りなく終了。スピーカーを2階のベランダに置いていよいよ電源投入となりました。
「電源ON!」
「キュリ、キュリ、キュリ、キュリ、キュリ(コアジサシの鳴き声)」
おおお、やったぁ、大成功! とうとうスピーカーからコアジサシの音声を流すことができました。
kore.jpg
さてソーラーパネル取付台のほうも楽しく作業して1台が完成。
大きな達成感を感じつつ、この日の作業を終了しました。
solarpanel.jpg
少し気になったことはコアジサシの音声データの音質でした。スピーカーから流すとやや割れたような音なのでこの音で本当にコアジサシが誘因できるのだろうか。
そこで野鳥の音声録音の第一人者である松田道生さんに支部長からコンタクトしてもらったところ、なんと松田道生さんからコアジサシ音声データを提供していただけることに。しかもWAVファイルの高音質データです。ご縁に感謝です。
そして実際にコアジサシコロニーでこのシステムからコアジサシの音声を流してコアジサシがどんな反応を示すかテストをすることになりました。
7月5日(日)、県内のコアジサシコロニーに7名のメンバーが集合してテストを実施。
結果は誘因効果あり、となりました。
コアジサシコロニーでの誘因効果テスト
2020年7月5日colonytest.jpg
同じ7月5日(日)、弥富野鳥園では支部長以下、別メンバーが集合して残る2台分のソーラーパネル取付台の製作。
kumitate.jpg
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コアジサシコロニーでテストに参加したMさん、H君とNが昼すぎから弥富野鳥園に合流、ソーラーパネルとつないで最終完成形を目指します。
Image-1.jpg
2台のパネル取付台完成後、2階ベランダに合計3台のソーラーパネルを並べて、防水BOXにバッテリーと制御機器を格納し配線しました。
boxinbattery.jpg
そしてコアジサシ音声を流してみました。
haisen2020.7.05.jpg
結果は大成功! みんなで万歳となりました。
banzai2020.7.05.jpg
これでコアジサシ音声発生装置としては完成です。
電源のない屋外に放置してソーラーパネルで発電しながらコアジサシの音声を鳴らし続けることができます。
今後は来シーズンに向けて屋外で耐久性テストを行い、来シーズンはコアジサシコロニーを誘致して安全に子育てできる環境を整えてあげたいと思っています。
来年の皆様のご参加をお待ちしております!
日本野鳥の会愛知県支部
http://www.wbsj-aichi.org/
そのコアジサシ保護活動のため、愛知県支部は2017年秋に日野自動車グリーンファンドからの助成金を得て、2018年初冬に金型による量産型コアジサシデコイを完成しました。色塗りイベントでデコイに色を塗り、出光興産愛知製油所のご協力を得て、2018年夏と2019年夏にはその敷地内にデコイを設置しコロニー誘致活動を実施。しかし残念ながら成功には至りませんでした。
量産型コアジサシデコイ(金型による成型品 未塗装品)
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2018年3月コアジサシ色塗りイベントの様子 @なごや生物多様性センター
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2019年3月コアジサシ色塗りイベントの様子 @なごや生物多様性センター
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色塗りイベントで塗装したコアジサシデコイ
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コアジサシコロニー誘致に際しては、録音したコアジサシの声をデコイ設置場所で流すと誘因効果が高まることが知られています。
そこで次のステップとしてソーラーパネル付きの「コアジサシ音声発生装置」を作ることになりました。ソーラーパネルで発電してMP3プレーヤーに入れたコアジサシの音声をアンプで増幅してスピーカーで鳴らす、というものです。
そのための助成金申請書作りをスタート。様々な人からのアドバイスを受けて、2020年1月11日助成金を申請しました。
助成金が決定するのは3月。それまでの約2か月間、助成金をもらえる前提で先行して進めることにしました。
まずシステムの基礎となるソーラーパネル、バッテリーの仕様を決定。
マイコンとMP3プレーヤーのプログラミングは支部役員でIAMAS出身のTさんが作成してくれました。
光センサーが光を検知すると音声の電源ONとなり暗くなると音声電源OFFとなる仕組みです。
MP3プレーヤーとマイコン「arduino uno」、光センサー
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そして2020年3月2日、待望の助成金授与決定のお知らせ!
ところがその頃から新型コロナで活動自粛ムードとなり、コアジサシデコイ色塗りイベントとデコイ設置の中止が決定、「コアジサシ音声発生装置」による今シーズンのコロニー誘致は断念となりました。
愛知県支部ステイホーム呼びかけのホームページバナー
toppage_stayhome940x450_2020年4月30日_.jpg
5月下旬、緊急事態宣言の解除が近づき、今年断念でも来年に向けての活動再開を決定。
ソーラーパネル、バッテリーその他一式を発注、初回の作業を5月23日(土)に弥富野鳥園て行いました。
初回作業の目標はソーラーパネル、バッテリー、充放電コントローラー、アンプ、MP3プレーヤーの配線方法を確認することです。
コロナ自粛の関係もあり、ここまで具体的な配線方法についてはほぼ未検討でした。
仮組み立ての様子
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この日の作業で必要な配線コネクタ類を確認、後日発注をしました。
そして第2回目を6月6日(土)に弥富野鳥園にて実施。
新たに購入したコネクタ類でソーラーパネルとバッテリー、充放電コントローラーを接続し、さらにマイコンとアンプ、スピーカーをつないで、配線完了。
2020年6月6日-battery.jpg
支部長、Hさん、Yさん、MJさん
2020年6月6日-11.23am.jpg
さあ、スピーカーをならずぞ、天まで届け、コアジサシの声! とばかりに電源を投入。
「あれ。。鳴らない。。。」スピーカーは鳴りませんでした。
配線がどこか間違っていたようです。
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そこでこの日はいったん終了。配線方法をしっかりと確認することにしました。
メンバーで調べたところ、アンプをON-OFFするリモート端子が未配線、さらにMP3プレーヤーからアンプに出力する端子の誤配線が判明。取説を精読して皆で正しい配線方法を見出しました。
第3回目を6月20日(土)に弥富野鳥園にて実施。実施に先立って支部長から配線図の清書版が送られてきました。分かりやすく描かれており、遊び心も入っている配線図です。
配線図(支部長清書版)
配線図niinii.JPG
今回から電気に詳しい役員のMさんにも加わっていただき、MさんとNは配線作業。
2020年6月20日-haisen.jpg
支部長および他のメンバーはソーラーパネルの取付台の製作。こちらも支部長の設計によるものです。スチールパイプの表面にプラスチックをコーティングした「イレクターパイプ」というDIY用パイプを用いています。
支部長、Yさん、MJさん
2020年6月20日kumitate1.jpg
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配線のほうはMさんのおかげで滞りなく終了。スピーカーを2階のベランダに置いていよいよ電源投入となりました。
「電源ON!」
「キュリ、キュリ、キュリ、キュリ、キュリ(コアジサシの鳴き声)」
おおお、やったぁ、大成功! とうとうスピーカーからコアジサシの音声を流すことができました。
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さてソーラーパネル取付台のほうも楽しく作業して1台が完成。
大きな達成感を感じつつ、この日の作業を終了しました。
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少し気になったことはコアジサシの音声データの音質でした。スピーカーから流すとやや割れたような音なのでこの音で本当にコアジサシが誘因できるのだろうか。
そこで野鳥の音声録音の第一人者である松田道生さんに支部長からコンタクトしてもらったところ、なんと松田道生さんからコアジサシ音声データを提供していただけることに。しかもWAVファイルの高音質データです。ご縁に感謝です。
そして実際にコアジサシコロニーでこのシステムからコアジサシの音声を流してコアジサシがどんな反応を示すかテストをすることになりました。
7月5日(日)、県内のコアジサシコロニーに7名のメンバーが集合してテストを実施。
結果は誘因効果あり、となりました。
コアジサシコロニーでの誘因効果テスト
2020年7月5日colonytest.jpg
同じ7月5日(日)、弥富野鳥園では支部長以下、別メンバーが集合して残る2台分のソーラーパネル取付台の製作。
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コアジサシコロニーでテストに参加したMさん、H君とNが昼すぎから弥富野鳥園に合流、ソーラーパネルとつないで最終完成形を目指します。
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2台のパネル取付台完成後、2階ベランダに合計3台のソーラーパネルを並べて、防水BOXにバッテリーと制御機器を格納し配線しました。
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そしてコアジサシ音声を流してみました。
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結果は大成功! みんなで万歳となりました。
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これでコアジサシ音声発生装置としては完成です。
電源のない屋外に放置してソーラーパネルで発電しながらコアジサシの音声を鳴らし続けることができます。
今後は来シーズンに向けて屋外で耐久性テストを行い、来シーズンはコアジサシコロニーを誘致して安全に子育てできる環境を整えてあげたいと思っています。
来年の皆様のご参加をお待ちしております!
日本野鳥の会愛知県支部
http://www.wbsj-aichi.org/
posted by Ted at 15:57| Comment(0)
| コアジサシ保護
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