Let's visit a historical dam
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長篠堰堤 「美しい、ナイアガラ式」





長篠
堰堤は『長篠の戦い』で有名な古戦場から、豊川沿いに北上したところにあります。

ここまで来ると豊川の川幅は狭くなり、渓流となります。




長篠堰堤。堰堤前面から越流しているように見えますね。

この部分、堰堤のように見えますが、
実は導水路なんです。

目測で大体100m近くあります。




こちらが堰堤部分。

赤い砂防ダムのようなところは常時、板で堰き止められています。

余水は左右から自由越流、堰堤の一部は自然石を利用しています。

ちなみに、写真手前はマス釣り場です。




堰堤部分を違う角度から。

提高:8m、堤頂長:25.4m。
ダム便覧の情報は、この部分の事と思われます。

集めた水は右奥の水路へ向かいます。




導水路を通ってきた水は、この水門から地下の導水管に送られます。

手前の水路の上には、雨水用の小さな水路があります。

残念ながら、この水門、導水路には近づくことができません。

(注記)立ち入り禁止です。




導水路の川側は見事な越流

現地の岩を利用し、まさに『ナイアガラ』のように幅広い越流が見られます。




水門脇にも小さな洪水吐が設けられています。

堰堤で水を溜め、導水路で大まかな水量を調整し、最後にこの洪水吐と、ゲートで行われています。

この水は下流にある長篠発電所(中部電力)に送られます。




長篠発電所は日本初の縦軸式発電所。
この方式は当時"ナイアガラ式発電"と呼ばれていました。

お手本は名前の通り、アメリカのナイアガラにある発電所。

現在主流の方式と異なりますね。
当時は、まだ効率的な水力発電の方法は、確立されていませんでした。

道水路がナイアガラに似ているのは、本家を意識しているのかもしれません。

日本三大美堰堤のひとつの長篠堰堤。
長篠堰堤、長篠発電所に関わったのが、大井ダムにも携わった福沢桃介。
大井ダムは、この長篠堰堤の後に作られています。

日本の水力発電に重要な役割をしたこの堰堤。
近代土木と自然が融合したこの堰堤、一度ご覧になることをお勧めします。
[関連ダム] 長篠堰堤
(2009年11月作成)
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