ダムの書誌あれこれ(36)〜宮崎県のダム〔下〕(川原・沖田・田代八重・瓜田・広渡・日南)〜 4ページ - ダム便覧
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11.瓜田ダム(大淀川水系瓜田川)の建設
瓜田川は、宮崎県高岡町に位置し、その源を穆佐地の山腹(標高 337.3m)に発し、山間部を北流、平地部で東流して花見橋上流で大淀川に合流する。流路延長 6.5km、
流域面積
11.3km2である。下流は扇状地を形成し、水田、園芸作物、みかんの生産が盛んである。瓜田川流域は、宮崎県中部の集中豪雨地帯にあって、平均年降水量は2500mmである。降雨は梅雨期、台風期には例年のごとく氾濫を繰り返し、その度に災害を及ぼした。昭和43年台風16号被害額2億3595万円、46年台風13、19、23、25、26号4320万円、51年台風9、17号1128万円、57年台風13号1億1039万円、58年台風10号2854万円、63年豪雨4248万円、平成2年台風14、20号7億649 万円と災害を受けた。このような水害を防ぐために瓜田ダムは、瓜田川の宮崎県東諸県郡高岡町大字小山田地内に平成10年治水ダムとして建設された。
高岡土木事務所・八千代エンジニヤリング(株)編
『瓜田ダム工事誌』
(宮崎県・平成10年)によると、瓜田ダムは次の目的を持っている。
・ダム地点の
計画高水流量
110m3/sのうち、65m3/sの
洪水調節
を行い、瓜田川沿川地域の水害を防除する。
洪水調節計画については、1/50確率日雨量を 308mmとし、流出解析からダム地点の計画高水流量 110m3/s、基準地点(番所橋)の計画高水流量 170m3/sとなっている。洪水調節は自然調節方式とし、ダム地点計画高水流量 110m3/sのうち、65m3/sを調節し、45m3/s(最大51m3/s)を放流する。これに必要な
洪水調節容量
を54万m3としている。
・瓜田ダム地先地下流の既得用水の補給を行うなど、流れの正常な機能の維持と増進を図る。
この瓜田ダムの諸元は、
堤高
42m、
堤頂長
160m、堤体積10万m3、
総貯水容量
72万m3、
有効貯水容量
62万m3、
型式
は
重力式コンクリートダム
である。放流設備として
常用洪水吐
きオリフェイスによる自然調節方式、高さ2m、幅2.25m1門、非常用吐き台形型
越流
頂、自由越流式高さ
×
ばつ
幅12.5m4門、利水放流管単孔式φ300 mm1条、緊急放流設備φ 600mm1条が設置された。
起業者は宮崎県、施工者は日本国土開発(株)、(株)奥村組、日成大淀(株)
共同企業体
で、事業費は 110億円を要した。なお、主なる
補償
取得は、土地取得面積 8.3ha、家屋建物移転10戸である。
瓜田ダムの建設経過を追ってみたい。
昭和43年宮崎県営の予備調査を開始、59年建設事業採択、63年一般
補償基準
の承認、平成4年本体工事着工、7年定礎式、8年本体工事完了、9年
試験湛水
、10年竣工式を行っている。予備調査開始以来30年の歳月を要したが、現在、瓜田ダムは瓜田川氾濫区域の世帯数 676、人口1851人、事業者数82、農家数109 、水田45.6ha、畑18.1ha、県道1.96km、市町村道 12.70kmの減災を図っている。
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