ダムの書誌あれこれ(11)〜福岡都市圏のダム(曲淵・牛頸・猪野・鳴淵)〜 2ページ - ダム便覧
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《曲淵ダム》
福岡県は北部九州に位置し、本州とは関門橋や関門トンネルで結ばれ、九州の表玄関としての役割を果たし、また、我が国においても最も早くからアジア大陸との交流で栄えてきたところで、九州の経済と文化の中心である。
県の面積は4972.5km2、人口約 501万人で、生活圏は北九州、筑豊、福岡都市圏、筑後の4地域に大別される。
北九州、筑豊地域は工業都市を形成し
一級河川
遠賀川の水に恩恵を受けている。筑後地域は穀倉地帯を持ち、巨峰、柿、梨などの果樹、園芸、そして植木も盛んな農業地帯とブリヂストンなどをゴム工場を有する久留米などからなり、一級河川筑後川、矢部川の水に負うところが大きいが、その反面水害にも悩まされる地域である。
福岡市、春日市、大野城市、太宰府市、筑紫野市、前原市等からなる福岡都市圏は山陽新幹線、九州新幹線の一部開通、都市高速道路、福岡国際空港をもつなど交通の便に富むため、急速に都市化が進み経済の発展は著しい。
福岡都市圏の弱点は、都市活動に欠かせない水が中小河川に依存しており、その水源に乏しいことである。
福岡県の平均降雨量は1845mmであるが、平均
水資源賦存量
は1299m3/ 年・人であって、全国平均3359m3/ 年・人の1/3 の程度しかなく、
渇水
被害が起こりやすく、とくに人口密集地の福岡都市圏では、少雨傾向のとき顕著に現れてくる。
曲淵ダム
福岡都市圏は北に博多湾と玄海灘を臨み、背後に東から犬鳴、三郡、脊振の山系に囲まれた半月型の福岡平野に位置している。地勢上、背後の囲む山々は標高1000m 前後のふところが浅く、これらに源を発する多々良川、御笠川、那珂川、室見川、端梅寺川に代表されるように、いずれの中小河川も水量は豊かではない。しかしながら福岡都市圏の発展は目覚ましく、都市活動の膨脹と人口増加によって水の需要は増大した。
大正12年福岡市によって室見川水系の水道専用ダム、曲淵ダムが竣工し、福岡市の人口143000人に対し、給水人口 35000人へ給水を開始した。昭和9年曲淵ダムの堤体 6.06mを
嵩上げ
、有効貯水量を約2倍の 236万8千・に増量し、全国初の
セメント
ガンによるセメント吹き付けによって堤体の漏水防止工事を実施した。
福岡市編・発行
『福岡市上水道第一期拡張抄誌』
(昭和9年)には、曲淵ダム
嵩上げ
工事のプロセスをセピア色の写真で写し出している。昭和53年〜昭和56年にかけて、
死水容量
部分に堆積している24万m3の土砂を浚渫し、ダムの有効利用を図る曲淵ダム湖底掘削事業を行った。福岡県の水道の魁となった曲淵ダムは、大正時代の貴重な土木遺産として評価され、「近代水道百選」に選ばれた。さらに、平成5年曲淵ダムは堤体改良工事を完了し、現在のダムの諸元は
堤高
37.3m、
堤頂長
160.6m、
総貯水容量
約 260万m3、
重力式コンクリートダム
である。近代水道百選に選ばれたように、脊振山系の水源涵養林に囲まれた静寂のなかに80年の歴史的な威厳を保っているダムである。
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