Oceania:Australia
The Alan Lee Jazz Quartet and Friends - Gallery Concerts 1973
- Alan Lee (vib, pf, perc)
- Tony Gould (pf, el-p)
- Ray Martin (b)
- Ted Vining (ds)
- Jeannie Lewis (s-vo :on A3, B3)
- Jochen Schubert (g :on B1)
- John Griffiths (g :on B2)
- Honeyd String Quartet (str :on A4)
- Eugenie Teychenne (1st-vn)
- Elizabeth Vincent (2nd-vn)
- Anne Favaloro (vla)
- Mitzi Mann (vc)
- Alan Lee Concert Ensemble (:on B3)
- Eugenie Teychenne (1st-vn)
- Elizabeth Vincent (2nd-vn)
- Anne Favaloro (vla)
- Mitzi Mann (vc)
- Brian Brown (fl)
- Robert Miller (ob)
- Jerome Deakin (hrn)
- Tony Gould (pf)
- Ray Martin (b)
- Ted Vining (ds)
- Alan Lee (cond)
- SIDE 1
- Sicilienne
- Dance of the Adolescents from Rite of Spring
- Bachians Brasileiras No. 5.
- Sketch
- SIDE 2
- Adagio from Concierto de Aranjuez
- Pavane
- Bailero from Song of the Auvergne
オーストラリアのヴィブラフォン奏者Alan Leeの率いるカルテットのライヴ盤です。
曲はMJQのA4を除いて全てクラシックのカヴァーです。全般的にとりたててアレンジをする訳でもなく、原曲に忠実な演奏をしている所為か、ジャズを感じることがあまりないです。オペラ歌手をフィーチャーしているし、そういうコンセプトのコンサートだったのかもしれません。
そんな中で度肝を抜かされるのがA2の春の祭典です。原曲が原曲だけに好き放題をやっても許される...と思ったのかどうかは分かりませんが、プリミティヴなスピリチュアルジャズファンクを展開していて、強烈過ぎるインパクトを放っています。
他はソプラノ・ヴォーカルをフィーチャーするA3ブラジル風バッハは、原曲の雰囲気も手伝って陰りのある美しい仕上がりになっていますね。
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The Brian Brown Quartet - Upward
- Brian Brown (ts, ss, fl, syn, tam-tam)
- Bob Sedergreen (pf, org, syn)
- Barry Buckley (b)
- Ted Vining (perc)
- Rosaland MacMillan (pf :on A2)
- SIDE 1
- Song for Billy Hyde
- Fire Dance
- Django
- SIDE 2
- Tall Grass
- Upward
前回に引き続きマルチリード奏者Brian Brownのリーダー作です。フリージャズ、ジャズロック、スピリチュアルジャズの要素を感じさせながら、どれとも言い難い不可思議で知的好奇心をくすぐられるような前衛ジャズ作品でした。
ソプラノの奏でる伸びやかなスローテンポのイントロから、軽快なミドルテンポに移行する牧歌的なA1、不穏に響くゴングに端を発するアブストラクトな即興からエレクトロニクスの飛び交うシュールな前衛ジャズロックに変化するA2、物悲しく切ないフルートのオープニングから一転、パワフルなスウィングナンバーが熱いA3。
ピアノ、トライアングル、ピアノによる静かな幕を開けから、エレピをフィーチャーする11拍子のスウィングナンバー、フルートの緩急自在のスピリチュアルナンバーと巧みな変化を繰り返すB1、オブスキュアなシンセにスリリングなインタープレイをフィーチャーする5拍子のスピリチュアルな前衛ジャズロックナンバーB3。
どの曲もディープで素晴らしく個性的でした。おすすめの1枚です。
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Brian Brown Quintet - Bells Make Me Sing
- Brian Brown (ss, fl, pan-fl, syn, tam-tam, bells)
- Bob Sedergreen (pf, el-p)
- Keith Hounslow (cor, flh)
- David Jones (ds, perc)
- Jeremy Alsop (el-b :except B3)
- Garry Costello (b :on B3)
- SIDE 1
- Blue
- Intersection
- Jazz Traveller
- SIDE 2
- December Dance
- Bells Make Me Sing
- Wild Flowers
オーストラリアのマルチリード・ウィンド奏者Brian Brownのクインテットです。1979年3月21〜22、メルボルンでの録音。オブスキュアな音と、緊張の糸が途切れることなくハードな演奏で聴かせるジャズロック作品です。
雄らかな雰囲気のブルージーなワルツナンバーA1、フルートの激しいアドリブを聴かせるメロディアスなラテンジャズチューンA2、パンフルートをフィーチャーするオブスキュアな即興パートからアップテンポなジャズロックに急展開するA3。ピアノと浮遊するベースによる物悲しくも美しいイントロから7拍子のタイトなリズムに変化するB1、オリエンタルな雰囲気を持つテーマと時にフリー色が強まる激しいプレイで駆け抜けるB2、フルートが乱舞するスピリチュアルな序盤から哀愁を帯びたワルツに変わるB3。
アドリブもアンサンブルも本格派で、優れた構成力も兼ね備えた1枚でした。
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JAZZ CO/OP - Same
- Howie Smith (ss, ts, bells, vo)
- Roger Frampton (pf, as, bells, vo)
- Jack Thorncraft (b, el-b, vo)
- Toni Armetta (ds, prec, tam-tam, vo)
- Roberto Altamura (ds)
オーストラリアのジャズグループ。74年録音の2枚組み。何枚リリースしているのか分かりませんが、作品はこれしか見たことがないです。ただし前述のPyramidはこのJAZZ CO/OPとメンバーが同じなので聴いてみたといういきさつがありました。
雰囲気のいいメインストリーム系の音かなーなんて思いながら気持ちよく聴いていると、曲によってはゴリ押しモード〜フリーへなだれ込んだりする硬派な内容です。
曲はKeith Jarrett作 A-3「In Your Quiet Place」、Wayne Shorter作 B-2「Nefertiti」のカヴァーを含み、それ以外はメンバーのオリジナル。重厚なピアノに導かれるミドルテンポのA-1は柔らかいソプラノも印象的な美モーダル・トラック。変則リズムをピタッと決めるA-2もカッコいいスウィング・チューン。美しいワルツジャズA-4。壮絶なフリーパートに突入するWayne Shorter作 B-2「Nefertiti」。コルトレーンのオマージュB-3はミドル-スローの哀愁を帯びたモーダル曲。
2枚目はフリー色が強いです。C面はピアノレスの編成。テナーソロC-1から、ヨーデルヴォイスまで飛び出すスピリチュアルなフリージャズC-2に変化する無茶苦茶強力なサイドでした。D面も陰影に富み息を呑むような美しいバラードから始まりますが、終わるころには激昂するかのようなヴォイスも飛び交うスピリチュアルなフリーになります。強烈ですね。
Pyramid - Same
- Howie Smith (ss, ts, bells, vo)
- Roger Frampton (pf, as, bells, vo)
- Jack Thorncraft (b, el-b, vo)
- Toni Armetta (ds, prec, tam-tam, vo)
- Roberto Altamura (ds)
オーストラリアのファンキーなフュージョングループです。
個人的な好みからするとフュージョンにありがちな能天気なポップ感覚など鼻につくところがありましたが、トラック単位ではいいものもあって侮れない作品でもありました。
結構変則的なリズムを溌剌とプレイするA-1、スリリングな高速ブラジリアンA-2、パーカッシヴなリズムにオブスキュアなエレピとトランペットが乗る大曲B-2辺りがよかったですね。
Brian Brown - Winged Messenger
- Brian Brown (ss, pan-fl, a-fl)
- Judy Jacques (vo)
- Michael Jordan (ds)
- Geoff Kluke (b)
- Bob Sedergreen (pf)
オーストラリアのリード奏者Brian Brownのリーダー作です。ジャケットの記述が分かりにくくて、ひょっとしたら「Winged Messenger」はグループ名なのかもしれないです。
女声ヴォーカル(一部スキャット)もフィーチャーする前衛ジャズロック作品。80年代後半のリリースですが、内容すごく良いです。
ヨーロッパ+αの雰囲気でフォークロアな香りもするリズムとメロディ、硬派な中にもメロディアスな側面がありますね。
激しいソプラノサックスも、重厚なピアノも素晴らしいのですが、Jay Claytonを髣髴させるJudy Jacquesの柔らかふくよかな声と激しいスキャットが特に魅力的。
曲も粒ぞろいで、アルバム通しての流れも秀逸です。荒れ狂うサイケデリックなイントロからテンションの高いソプラノをフィーチャーするスリリングなA-4、Judy Jacquesの強烈なヴォーカル&スキャットをフィーチャーし、オリエンタルな雰囲気も少しある5拍子のB-3あたりが特におすすめです。
Don Burrows - Brazilian Parrot
- Don Burrows (fl, B♭ school-fl, a-fl, perc)
- George Golla (g, perc)
- Tony Ansel (el-p, org, syn, perc)
- Paul Baker (el-b, perc)
- Paul Jansen (perc)
- Brazilians:
- Octavio Brunier (g, vo, perc)
- Claudio Cartier (g, vo, perc)
- The Sydney String Quartet:
- Harry Curby (vn, perc)
- Dorel Tincu (vn, perc)
- Alex Todlcescu (vla, perc)
- Nathan Wake (vc, perc)
オーストラリアのフルート奏者、Don Burrowsのブラジリアン・ジャズ作品です。グルーヴィーなブラジリアンでジャズロック風のA-1・A-2、クイーカやホイッスルも出てくる白熱するアドリブパートが展開するB-3など。ブラジルの二人のギタリストをフィーチャーしたヴォーカル曲A-2もセンシティヴな好トラックです。
The Necks - mosquito : see through
- Chris Abrahams (pf)
- Lloyd Swanton (b)
- Tony Buck (ds)
2枚組というより"mosquito"と"see through"、2作品をワンパッケージにまとめたような仕様で、どちらも1時間超の長尺を1曲収録しています。ピアノの奏でるシンプルで妖艶な美しさの音階が印象的なのですが、演奏自体は即興なんじゃないかと思います。アンビエントともミニマルともドローン音響とも違う、非常に長い周期で反復する覚醒系インストゥルメンタル・ミュージックという感じでしょうか。聴いていて不思議な感覚に襲われました。そういえばトニー・バックって昔、大友良英や加藤英樹とバンドやっていましたね。