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ページID:85271更新日:2024年10月25日
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KSC0046
県指定 有形文化財(考古資料)
[画像:礫]
埋納遺構出土一括
出土の状況(復元)
平成30年3月1日 指定
員数 11点
礫1点(1)最大長39.5cm、最大幅27.0cm、厚さ3.5cm
注口土器1点(2)最大径17.7cm、器高10.9cm
黒曜石原石1点(3)長さ7.1cm、幅9.9cm、重量420g
磨製石斧8点(4)長さ12.4cm、幅1.4cm、重量41g、(5)長さ11.0cm、幅5.1cm、重量260g、(6)長さ10.2cm、幅4.6cm、重量168g、(7)長さ9.7cm、幅4.0cm、重量137g、(8)長さ9.2cm、幅4.1cm、重量111g、(9)長さ7.7cm、幅3.9cm、重量83g、(10)長さ5.7cm、幅2.1cm、重量17g、(11)長さ7.7cm、幅4.5cm、重量92g
所在地 富士吉田市上吉田2288-1
所有者又は管理者 富士吉田市(ふじさんミュージアム)
上中丸遺跡は、富士吉田市小明見字中丸に位置しており、本出土品は中丸土地区画整理事業に伴い、平成19年の試掘調査で発見された。富士吉田市は火山扇状地が広がり、遺跡は丹沢山地に沿って北流する小佐野川が合流する地点の西側に広がる。小佐野川より50m程西側は古墳時代に富士山から流下した厚さ5mに及ぶ檜丸尾第一溶岩に覆われているが、遺跡はその溶岩の下にも広がっている。
埋納遺構は、注口土器とそこに納められていた黒曜石原石1点及び定角式磨製石斧8点が出土した土坑で、この土坑の上には扁平な礫で蓋がされて納められていた。土坑の大きさは、最大径58cm、深さ15.5cmであった。
土坑の上から出土した礫(1)は、自然礫で節理に沿って剥離したとみられ、扁平な形状をしている。表裏がやや摩耗しているが、人為的な剥離などは確認できない。埋納遺構を覆うように置かれ、蓋として用いられたと考える。
注口土器(2)は、口縁部は無文で、その下端に微隆起線を貼り付け、その下から底部付近までは縄文を施す。施文順位は微隆起線文→縄文である。口縁部の無文部から口端部にかけてと内面には横磨きが施される。全体に被熱による劣化が著しく外面及び内面とも部分的に薄く剥離し、浅いヒビも多い。
黒曜石(3)は、いずれの面も風化しており、上面と裏面の多くが礫面となっている。新しい剥離面が、左面と右面に認められるが、剥離面が小さいため、石器製作を目的としたものではない。遺構検出時には注口土器の一番上に載っていた。
8点の磨製石斧の構成は、原石から擦り切って切断した面を丁寧に磨き、先端部の両面に横方向の線状痕が認められるノミ状の形状をした珍しい石斧(4)が1点、刃こぼれとともに、刃部縁辺に摩滅による強い光沢が観察できる石斧(5)〜(7)が3点、刃こぼれのみで強い光沢は認められない石斧(8)(9)が2点あり、このうち1点には裏面の刃部縁辺に著しい摩耗が認められる。その他、刃部に摩滅が認められない小形の石斧(10)が1点、刃こぼれとともに、刃部縁辺に縦方向の線状痕と強い光沢が確認できる石斧(11)が1点である。
黒曜石と磨製石斧を各個に土器に納めて埋納したものや土器に納めることなく埋納されたものは数多く確認されているが、注口土器に黒曜石と磨製石斧を収納して埋納した事例は本資料が全国で2例目となる。使用可能な石斧と石器製作可能な原石を埋納したのは近い将来使用することを前提した行為と推察され、本資料は、縄文文化を解き明かす上での糸口なるもので全国的に見ても極めて貴重な資料である。
<見どころ>
縄文時代にかくされた宝物です。
土器の中にはよく磨かれた石の斧と、輝く黒曜石が入っていました。調査では、埋められたあとに富士山の噴火がおこっていることがわかっており、再び掘り出せなくなってしまった可能性もあります。