NITEはモンゴル、ベトナムと「微生物資源の保全と持続可能な利用に関する覚書」(MOU)および「共同研究契約」(PA)を結んでおり、各国で収集した菌株を生物多様性条約に対応した仕組みで国内の企業や大学の皆様に提供しております。
アジア諸国との協力体制の構築
モンゴル、ベトナムから収集した菌株についてはリストを公開しております。
属名や分離源など特定のキーワードをお伝えいただければ、ご希望の菌株を提示することも可能です。
国名 | リスト | |
---|---|---|
モンゴル | 公開中 | 提供可能なRD株リスト |
ベトナム | 公開中 |
※(注記) 一部、ご利用時に植物防疫所への申請が必要な菌株があります(詳細についてはリストをご参照ください)。
※(注記) 植物防疫法については、植物防疫所のホームページまで。
生物多様性条約(CBD)の発効後、海外の資源へアクセスして利用するためには、その国の許可を得る必要があります。NITEは、CBDに則った覚書等を相手国と締結し、微生物の利用、特許取得および産業化が可能な仕組みを構築しました。モンゴル、ベトナムの2ヶ国から分離された微生物を安心してご利用いただけます。
契約手続きは全てNITEが間に入り、相手国との契約を行います。契約では菌株の利用方法や特許登録時、特許実施時、製品化時のロイヤリティの取り扱いなどを決めます。CBDで求められている利益配分についても、NITEを通じて交渉しますので、ご依頼者様が直接交渉する必要はございません。
RD株をご利用の皆様が単独で特許出願することができます。
ここでは、NITEが微生物を分離したアジア各国の発酵食品の一部を紹介します。
国によって、利用する原料は様々です。
アイラグは主に馬の乳から作られるお酒です。ラクダ、牛、ヤクなどの乳からも作られます。革製の袋に乳を入れ、ホロンゴと呼ばれる種菌を加えて、棒で毎日撹拌して作ります。撹拌する際にできた脂肪粒を取り除いて仕上げます。アルコールは1%ほどで、ヨーグルトのような酸味があり、水分・栄養分を補給するために子供から大人まで愛飲されています。各家庭でアルコール度数や酸味が異なります。内モンゴル自治区ではツェゲー、カザフスタンではクミスと呼ばれています。
馬、ヤギ、牛、ヤクのアイラグからLactobacillus、Lactococcusなどの乳酸菌や、Dekkera、Saccharomycesなどの酵母が分離されました。
東南アジアでは、魚介類から様々な醤が作られます。
ヌクマム(ニョクマム)は魚醤です。新鮮なイワシなどの小魚を、塩と一緒に樽に仕込み、浮いてくる油分を取り除きながら約6ヶ月間発酵させ、ろ過したものを熟成させると完成です。家庭ごとに味の異なるヌクマムがつくられており、様々な料理に使われています。魚醤は世界各地で作られており、有名なものに秋田のしょっつるやタイのナンプラーがあります。
ヌクマムからはKodamaeaなどの酵母が分離されました。
ウシやヤギなどの乳を利用した食品です。モンゴルでは「白い食べ物」とも呼ばれています。
アールツとアーロールはチーズの一種です。アーロールは別名ホロートとも呼ばれています。アイラグから蒸留酒を作った後のもろみを濃縮したものをアールツと呼びます。アールツを整形して天日乾燥したものがアーロールです。これらは中央アジア広域でも食べられており、クルート(クルト)、ラッチ、キャシュクとも呼ばれています。アールツは体を温めるためにお湯で割って飲まれることが多く、アーロールはお菓子としてよく食べられています。使われる乳の種類により酸味の違いなどが感じられます。
アールツとアーロールからはLactococcusなどの乳酸菌、Torulaspora、Saccharomycesなどの酵母が分離されました。
ウルムは生乳から分離した乳脂肪分で、正確には発酵食品ではありません。生乳を80〜85°Cで約20分間加熱した後、攪拌し一晩静置すると膜ができあがります。この膜がウルムで、生乳のおいしさが詰まっているところであり、現地ではごちそうとされています。乳脂肪分がたっぷりでバタークリームのように濃厚な味わいです。
牛、ヤギ、ヤクのウルムからLactococcus、Leuconostoc、Weissellaなどの乳酸菌、Saccharomycesなどの酵母が分離されました。
これらの他、様々な発酵食品から微生物を分離しております。
NITEから隔月配信しているメールマガジン「NBRCニュース」では、海外の発酵食品のページを掲載しています。
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