令和6(2024)年5月20日(月)、独立行政法人製品評価技術基盤機構【NITE(ナイト)、理事長:長谷川 史彦】は、大阪事業所【大阪府大阪市住之江区南港北1-22-16】にて、この度竣工しましたNLAB 先端技術評価実験棟(MIDDLE チャンバー)の開所式を開催し、産学官から多くの関係者にご参集いただきました。
新設された実験棟は、通常の電気自動車(EV)や電動バス・トラック等の大型EVについて、次世代蓄電池として期待される硫化物系全固体電池を搭載した状態で試験も可能な国内唯一の施設となります。
NITEは、事業者の皆様にこの新たな実験棟をEVも含めた蓄電池の安全性評価に積極的に活用いただくこと等により、今後ともカーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。
図1 NLAB 先端技術評価実験棟(MIDDLEチャンバー)
脱炭素社会の実現に向けて、国内外で再生可能エネルギーの導入が進んでいますが、再生可能エネルギーには、季節や天気によって発電量が大きく変動するという弱点があります。そのような弱点をカバーするものとして期待されているのが蓄電池で、電力を過剰に余った時に貯めておき、足りない時に補うことができます。
この度、大型蓄電池システムの試験評価業務を行う試験施設であるNLAB※(注記)1に、新たな実験棟である先端技術評価実験棟(MIDDLE チャンバー※(注記)2)が竣工しました。
これまでNITEでは既設の多目的大型実験棟(ラージチャンバー)を利用し、主に定置用を中心とした大型蓄電池システムの試験評価を実施し、我が国の蓄電池産業の発展に貢献してまいりました。
新設のMIDDLE チャンバーは、既設のラージチャンバーの能力を保持しつつ、排煙処理において、硫化水素ガスの処理を可能とし、硫化物系全固体電池など次世代蓄電池の試験を安全に行うことが出来るという点が大きな特徴です。また、このような蓄電池を搭載したEVをはじめ、電動バス・電動トラック等の大型EVについても、車載蓄電池を搭載した状態での試験が可能です。こうした施設は現在、国内でMIDDLE チャンバーが唯一であり、今後のEVや蓄電池を用いたモビリティの普及等における安全性の評価に欠かせない施設となることを期待しています。
また、新設のMIDDLE チャンバーでは、全固体電池の試験実施に向けた準備、トレーニングを今年度上半期に行い、2024年10月以降に事業者等の皆様から共同試験の受け入れを開始する予定です。
さらに、今後NITEでは、MIDDLE チャンバーを蓄電池産業の業界団体や事業者の皆様と協力しながら活用することで、安全性基準や評価手法の開発など、国内製品が世界市場でリードできるようなルール整備を行い、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。
※(注記)1)NLAB:National LABoratory for advanced energy storage technologies
※(注記)2)MIDDLE Chamber:Multiple Innovation Directive Development and Leading-edge Evaluation Chamber