健康のための紫外線日光浴のすゝめ
〜最適な日光浴時間大公開!〜
国立環境研究所「環境儀」第79号の刊行について
(筑波研究学園都市記者会、環境記者会、環境省記者クラブ同時配付)
国立研究開発法人国立環境研究所
編集分科会委員長 :江守 正多
〃 事務局(環境情報部情報企画室)
室長 :阿部 裕明
担当 :白井 大智
太陽紫外線には皮膚でビタミンDを生成する働きがありますが、オゾンホールの発見以降、有害性が指摘されたことから、なるべく避ける生活が一般的になったせいで、日本人のビタミンD欠乏が深刻化しています。特に若年女性の8割以上が慢性的にビタミンD不足に陥っているという事実が最近の調査で明らかになってきました。オゾン層破壊が回復しつつある今でも、太陽紫外線がもたらすのは「悪影響だけ」なのか。
本号では、日光浴の必要性における科学的な根拠を明らかにするとともに、ビタミンD欠乏の調査結果や太陽紫外線の人体への影響を解説するほか、紫外線によるビタミンD生成および適切な日光浴の重要性を紹介しています。
1 本号の内容
太陽紫外線には皮膚でビタミンDを生成する働きがあり、ビタミンDが不足すると子どもでは「くる病」、成人では「骨軟化症」、高齢者では「骨粗しょう症」などのリスクが高まります。国立環境研究所では、場所や季節、時間によって大きく異なる紫外線強度を観測と計算によって求め、日焼けやシミ・しわの原因にならない範囲で、1日に必要なビタミンDを得ることができる日光浴時間(紫外線被照射時間)を、研究所ホームページで提供するシステムを構築してきました。(https://db.cger.nies.go.jp/dataset/uv_vitaminD/ja/index.html)
本号では、このような研究を行うに至った経緯や、研究所がこれまでに展開してきた「有害紫外線モニタリングネットワーク」から「ビタミンD生成・紅斑紫外線量情報」へと発展してきた紫外線観測の歴史、HPによる準リアルタイム情報提供の内容などについて紹介します。
○しろまるInterview研究者に聞く
「紫外線モニタリングデータを活用し、適切な日光浴で健康に」
「骨のビタミン」と呼ばれるビタミンDの効果や、ビタミンDの皮膚での生成・体内での代謝、ビタミンD合成と日光浴時間の関係についての研究過程など、研究担当者らの話を紹介します。そのほか、紫外線のメリットとデメリット、紫外線照射量とビタミンD生成量の関係性などについて解説します。
<研究担当者>
地球環境研究センター(気候モデリング・解析研究室)主席研究員
地球環境研究センター(気候モデリング・解析研究室)高度技能専門員
環境リスク・健康研究センター 客員研究員
一般財団法人地球・人間環境フォーラム
○しろまるSummary
「肌にダメージを与えない範囲で、最適な紫外線照射時間を広く知らせる」
日光浴によって肌や目に悪影響を及ぼさない範囲で必要なビタミンDを生成させることは可能ですが、その生成量は時刻、場所、季節、天候、上空のオゾンやエアロゾルの量に依存して大きく変化するため、日光浴の目安時間を示すことが困難でした。そこで、国立環境研究所では「もっともふさわしい」日光浴時間の情報を提供できないかと考え、研究を始めました。
Summaryでは、ヒトの皮膚でのビタミンD生成量の見積もりを可能にした研究方法や経緯のほか、1990年代から利用してきた有害紫外線モニタリングネットワークの紫外線観測データの活用について紹介します。
○しろまる研究をめぐって
「紫外線による日焼けとビタミンD生成に関する研究の現状」
国外や国内におけるビタミンD生成による健康への正の側面に焦点を当てた研究の動向や、国立環境研究所での取り組みなどについて紹介します。
2 ビタミンDの生成・紅斑紫外線量情報HP
3 環境儀79号紹介動画
国立環境研究所YouTubeチャンネルで、環境儀79号の紹介動画を公開しています。
URL:https://youtu.be/ISHfOOHpEF8【外部サイトに接続します】
4 国立環境研究所動画チャンネル
URL:https://www.youtube.com/user/nieschannel【外部サイトに接続します】
5 閲覧・入手についての問い合わせ先
-
本号掲載URL
-
既刊掲載URL
-
国立環境研究所 環境情報部情報企画室出版普及係
TEL: 029-850-2343、E-mail: pub(末尾に@nies.go.jpをつけてください)
関連新着情報
-
2025年11月7日new!報道発表地球の限界を超えないために世界の食料システムの大転換が必要
—国際プロジェクトが持続可能で健康な食生活のガイドラインを提案—
(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会、草津市政記者クラブ、京都大学記者クラブ、文部科学記者会、科学記者会同時配付) -
2025年3月21日報道発表エコチル調査の研究成果集
「環境化学物質ばく露の影響に関する研究成果」を
刊行しました(環境省記者クラブ、環境記者会、筑波研究学園都市記者会同時配付) -
2025年1月31日報道発表子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)
「第14回エコチル調査シンポジウム」の開催について
【終了しました】(筑波研究学園都市記者会配付(環境省同旨発表)) -
2024年12月24日報道発表妊娠前の健康的な生活習慣の組み合わせと
周産期転帰との関連:
子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)
(環境省記者クラブ、環境記者会、筑波研究学園都市記者会同時配付同時配付) - 2024年4月10日報道発表イワシ・サバ類等の摂取量の増加で非感染性疾患による死者数減少の可能性(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会同時配付)
-
2023年12月14日報道発表子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)
「第13回エコチル調査シンポジウム」の開催について 【終了しました】(筑波研究学園都市記者会同時配付(環境省同旨発表)) -
2023年7月14日報道発表男兄弟のみの家庭と女姉妹のみの家庭の間では次に生まれてくる子どもの性比に違いはあるのか?:
子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)
(環境問題研究会、環境記者会、浜松市政記者クラブ、筑波研究学園都市記者会同時配付) -
2023年3月22日報道発表質問票と紫外線観測データを用いた日本の妊婦の
ビタミンD栄養状態に与える要因の解明
—ロジスティック回帰モデルの活用で妊婦のビタミンD欠乏状態の予測が可能に—(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、厚生労働記者会、文部科学記者会同時配付) -
2023年2月19日報道発表子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)「第12回エコチル調査シンポジウム」のオンライン開催について【終了しました】
(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ同時発表) - 2022年11月22日報道発表低出生体重に関連する要因それぞれの効果の大きさについて:子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)(環境問題研究会、環境記者会、筑波研究学園都市記者会同時配付)
-
2021年1月8日報道発表妊娠期の化学物質曝露が孫世代の健康に
影響を及ぼすメカニズム(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会、厚生労働記者会同時配布) - 2019年6月12日報道発表関西大学、国立循環器病研究センター及び国立環境研究所が未来社会の環境と健康の連関に係る研究と人材育成を推進、社会連携を進める連携協定を締結(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会同時配付)
-
2017年7月6日報道発表「化学物質の正確なヒト健康への影響評価を目指して─新しい発達神経毒性試験法の開発」
国立環境研究所「環境儀」第65号の刊行について(お知らせ)(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ同時配付) -
2017年4月10日報道発表国民のビタミンD不足を補うための日光照射の勧め
—新たに札幌・横浜・名古屋・大津・宮崎を含めた
国内10地点における準リアルタイム情報の提供開始—
(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ同時配付) - 2015年10月26日更新情報第8回うしくみらいエコフェスタへの自転車発電出展
- 2015年6月12日更新情報わかりやすい言葉で書かれた書籍「学んで実践! 太陽紫外線と上手につきあう方法」が刊行されます
-
2014年11月27日報道発表太陽紫外線による健康のためのビタミンD生成と皮膚への有害性評価
-国内5地点におけるビタミンD生成・紅斑紫外線量準リアルタイム情報の提供開始-(筑波研究学園都市記者会配付) -
2013年8月30日報道発表体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定
-札幌の冬季にはつくばの3倍以上の日光浴が必要-(筑波研究学園都市記者会配布)