図2:今回開発したマッハツェンダ型の有機・シリコン融合型電気光学変調器
図2(a)、(b)に示す有機・シリコン融合型電気光学変調器を、極めて高精度なナノ微細加工技術と有機・シリコン融合プロセス技術を新たに開発することで作製しました。シリコンと有機材料とのハイブリッド構造では、屈折率の小さな有機材料でも十分な屈折率差を確保できるため、光の群速度を低下させることができ、ナノ微小領域での光閉じ込め、光伝搬が可能になります。
図2(c)に示すシリコン1次元フォトニック結晶は、シリコン細線導波路で構成される光集積回路との整合性が高く、2次元フォトニック結晶と比較し、同等のスローライト効果を得られるだけでなく、デバイス専有面積を大幅に小さくすることが可能です。よって、実用性を備えたシンプルな構造でありながら、スローライト効果による変調効率の飛躍的な向上と素子サイズの小型化を実現することができました。
また、有機電気光学(EO)ポリマーは、製膜後、電界ポーリング(分子配向処理)が必要ですが、従来のシリコンスロット導波路では、シリコン電極間のリーク電流が原因で、EOポリマーの分子配向特性が大きく低下する問題がありました。今回、開発したシリコン1次元フォトニック結晶とEOポリマーとのハイブリッド構造(図2(b)、(d))は、分子配向制御に適した構造であることが特徴であり、シリコンナノプラットフォーム内において、バルク状態と遜色ない優れた配向特性を示します。