独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」という。理事長:宮原 秀夫)は、世界で初めて「週刊宇宙天気ニュース」の番組配信を試験的に開始しました。「週刊宇宙天気ニュース」では、太陽から電離層までの宇宙空間の電磁環境(宇宙天気)の概況と予報を広く社会にお伝えします。宇宙天気は、衛星通信・短波通信、地上・衛星放送、衛星測位、宇宙飛行士被ばく管理、アマチュア無線や科学教育などで幅広く利用されています。番組はNICTのWebサイトで閲覧できます。
NICTをはじめとする各国の宇宙環境研究組織では、これまで、Webや電子メールなどにより宇宙環境予測情報(宇宙天気情報)を提供してきました。しかし、これらの情報は専門性が高いため、一般には十分に活用されていませんでした。衛星通信やGPS衛星測位等が国民生活に深く根付いている現在、宇宙天気の重要性はますます高くなっており、より分かりやすい情報提供が期待されています。
NICTでは、2010年より宇宙天気研究・サービスの一環として、「週刊宇宙天気ニュース」の試験配信を開始しました(図1)。週刊宇宙天気ニュースは約4分間の番組で、1 今週の宇宙天気概況、2 来週の太陽/太陽風/地磁気/電離層の各予報、4 豆知識/インタビューのコーナーから構成されています(図2)。
番組はNICTのWebサイト「週刊宇宙天気ニュース」よりストリーミング配信しており、さらにYouTubeやPodcastでも配信を始めます。
本番組では宇宙天気情報をコンパクトにわかりやすく解説しており、これまで理解が難しかった専門的な情報を含め、太陽から電離層まで宇宙天気全体の概況と予報が理解しやすくなりました。また、番組を広く配信することで、宇宙天気の存在や意義が一般社会に浸透する効果や、教育現場での番組活用などの理解増進も期待しています。
本番組制作の特徴の一つは、NICTと地方の連携です。NICT本部(小金井)において収録したHD(ハイビジョン)動画像をNICTのJGN2plusにより非圧縮動画像伝送し、映像編集を地方(愛媛)において行っています。これにより、地方技術者の活躍の場が広がるとともに、コスト面の効果があるなど副次的効果も期待されます。
番組制作は全16回の予定で、2010年5月まで配信を行う予定です。5月以降については、番組の有効性や評価により継続的に制作するかどうかを検討します。また、今後は、民間放送での配信も検討しています。さらに、動画像にメタデータを貼るMPEG-7の技術を使い、宇宙天気セマンティックWebデータベースと連携するサービスの構築を進めており、新しい宇宙天気サービスとしても期待されています。
太陽から電離圏までの領域の電磁場や高エネルギー粒子の環境。
ISS(国際宇宙ステーション)などの宇宙飛行士が放射線や高エネルギー粒子の影響を受けること。太陽表面でフレア現象などが起こった場合に被害を受けやすい。
複数のGPS衛星により地上などで位置を測定する技術。
太陽から噴き出す電離大気(プラズマ)の風。
地球の固有磁場。磁気嵐などにおいて変動する。
高度80km〜1000kmの電離気体の密度の高い層。
NICTが運用する高速テストベッドネットワーク。
マルチメディア用メタデータ表記方法の国際標準化規格。
膨大な情報が存在するWebを有効に活用することを目的に、HTMLで記載するWebをコンピュータが効率的に情報を処理するために、情報にメタデータをつけることでコンピュータが意味を理解し、自動処理する技術。
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