マネジメント体制

当社は、2025年6月23日に開催された第17期定時株主総会での承認を受けて、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しました。取締役会は社外取締役が過半数を占める構成となっており、重要な業務執行に関する決定の一部を取締役に委任しています。
この体制変更により、取締役会の監督・牽制機能の強化、経営判断の客観性向上並びに意思決定及び業務執行の迅速化を図っています。また、積極的な情報開示を通じて、ガバナンスの一層の充実に取り組んでいます。
サステナビリティ領域においては、取締役会、グループ経営会議、及び課題別委員会によるガバナンス体制を敷いています。

取締役会

グループの経営方針、経営戦略、資本政策等、グループ経営戦略上の重要なサステナビリティ関連の事項及び 会社経営上の重要な事項の論議・決定・各施策の進捗状況のモニタリングを行うとともに、取締役、執行役員の職務の執行を監督しています。
取締役会は、執行役員を選任するとともに、その遂行すべき職務権限を明確にすることにより、取締役会による「経営意思決定、監督機能」と執行役員による「業務執行機能」の分離を図っています。執行役員は、取締 役会より委ねられた業務領域の責任者として業務執行を行い、その業務執行状況について取締役会に報告します。

グループ経営会議

経営方針、経営戦略等のグループの経営に関する重要事項を論議するとともに、具体的な業務執行のモニタリングを行っています。

課題別委員会

業務執行に係る会社経営上の重要事項に関する論議及び関係部門の意見の相互調整を図ることを目的として、課題別委員会を設置しています。サステナビリティ関連の課題や取組みは、主として、課題別委員会のサステナビリティ委員会及びERM委員会での論議を経て、取締役会とグループ経営会議の双方に報告し、決定しています。

サステナビリティ委員会

グループCSuO(Chief Sustainability Officer)が運営責任者となり、サステナビリティ関連リスク・機会のKPI設定を含む、サステナビリティ課題の取組方針・計画・戦略等の論議を行っています。なお、各論議内容は、取締役会に報告しています。

論議された議題

2023年度 2024年度
開催数 4回 4回
論議テーマの一例 くろまる 2023年度のサステナビリティ取組 くろまる 2024年度のサステナビリティ取組
くろまる 気候変動・自然資本関連の開示 くろまる サステナビリティ情報開示への対応状況
くろまる DE&Iの推進 くろまる サーキュラーエコノミーへの取組みの現状と今後の対応
くろまる グループ人権尊重取組みの推進 くろまる グループ人権尊重取組の推進
くろまる 取引先に係る温室効果ガス排出量削減目標等

ERM委員会

グループCFOとグループCROが運営責任者となり、ERMに関する重要事項の協議・調整等を行うとともに、サステナビリティ関連を含むリスク管理の状況等について、モニタリング等を行っております。委員会における論議内容は取締役会に報告しております。

論議された議題

2023年度 2024年度
開催数 9回 7回
サステナビリティ関連の論議テーマの一例 くろまる 経営が管理すべき重要なリスク(グループ重要リスク)として、「国家間・他国内等での対立激化や政治・経済・社会的な分断・分極化、安全保障の危機」を追加し、「気候変動」に留意してリスクを管理していくこと くろまる 経営が管理すべき重要なリスク(グループ重要リスク)として、「気候変動」にも引き続き留意してリスクを管理していくこと
くろまる 中長期的に当社グループ経営に影響を与える可能性があり経営が認識しておくべきリスク事象(グループエマージングリスク)として、「自然資本の毀損」に関しモニタリングしていくこと くろまる 気候変動を含む自然災害リスク管理の高度化や、中長期的に当社グループ経営に影響を与える可能性があり経営が認識しておくべきリスク事象(グループエマージングリスク)の1つとして自然資本の毀損(資源の枯渇、生態系の劣化・危機、環境に甚大な損害を与える人為的な汚染や事故)に関して引き続きモニタリングしていくこと

役員勉強会・有識者意見交換会の実施

取締役をはじめとする役員に対し、就任時及び任期中継続的に情報提供・研修を行うための体制を整備しているほか、社外役員と経営陣・幹部社員との情報共有・意見交換の機会の設定等の環境整備を行い、役割や責務を実効的に果たすために、必要な社内体制を整備しています。

役員勉強会の実施

2025年5月、蔵元国際法律事務所 代表弁護士 蔵元左近氏をお迎えし、役員勉強会を実施しました。

講師:蔵元 左近弁護士 蔵元国際法律事務所
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講師:蔵元 左近弁護士
蔵元国際法律事務所

【勉強会の概要】

  • 時期:2025年5月
  • 方法:対面実施
  • 講師:蔵元国際法律事務所 蔵元左近弁護士
  • 当社グループ参加者:持株会社・取締役会メンバー、執行役員、保険事業会社5社の経営会議メンバー
  • テーマ:「ビジネスと人権」基本理解と企業の具体的事例から学ぶ人権リスク

【講演内容】
近年、人権意識が世界的に高まる中、企業はこの流れに適応する必要があります。そこで、グローバル企業として「ビジネスと人権」に関する理解を深めることを目的に勉強会を開催しました。ビジネスと人権分野で著名な蔵元弁護士を講師に招き、企業の責任について最新の知識を得る機会としました。蔵元先生には、実際の企業における人権侵害事例を交えながら専門的知見からお話しいただき、参加者は人権に対する企業の役割と責任について理解を深めました。

勉強会の様子
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勉強会の様子

社員浸透の取組み

2030年にめざすべき社会像「レジリエントでサステナブルな社会」を掲げ、社会との共通価値の創造(CSV)に向けてさまざまな取組みを進めています。事業を通じた社会課題の解決には、グループ社員一人ひとりがCSVやSDGsへの理解を深めることが必要不可欠です。
当社グループは社員一人ひとりの日々の仕事が社会のサステナビリティにつながっていると実感できること、サステナビリティ課題の解決にお客さまとともに取り組むことが重要であると考えています。

グループ横断のサステナビリティ推進取組

2018年度から2024年度にかけて、グループ各事業会社が推進するサステナビリティ取組の振り返りおよび社員の理解浸透を目的とした「MS&ADサステナビリティコンテスト」を開催してまいりました。国内外のグループ会社から通算2,000件を超える応募が寄せられ、2024年度には気候変動、自然資本、金融包摂、少子高齢化など、社会課題解決に向けた幅広い取組みがありました。
2025年度には当社グループ事業の持続可能性を高める取組みを強化するため「みんなのアイデアで当社グループのミライをつくるプロジェクト(通称:MS&ADミラくる)」を開始しました。
このプロジェクトでは、社会課題に向き合いながら当社グループ事業の持続可能性を高める上で特に重要と考える「水災」をテーマにした「水災に強い社会をつくろう」と、少子高齢化や長寿化などの「人口動態」をテーマにした「人生100年が幸せになる社会をつくろう」の2つの取組みを軸に、グループ各社から146名の希望者が集まり、社員一人ひとりが主体的に考え、論議しながら毎月活動を行っています。

サステナビリティに関する社員浸透施策

SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)気づきセミナーの実施

企業と社会の持続可能性を両立させるための経営変革「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)」の重要性について社員への理解、浸透を目的とした「SX気づきセミナー」を実施しています。中期経営計画で定めた優先的に取り組む「4つの社会課題」(地球環境との共生、革新的テクノロジー、強靭性・回復力、包摂的社会)を中心に多様なテーマを取り上げ、社員一人ひとりが「リスク」や「機会」に気づき、社会との共通価値の創造に向けて、新たな着眼点や柔軟な発想を得る機会としています。

GHG排出量削減対話の推進

2050年カーボンニュートラル実現に向け、社員を対象に、脱炭素に資する情報や各種ツールの提供、勉強会等を実施しています。全社員の炭素会計アドバイザー資格取得を推進し、GHG排出量に関する対話を通して最適なカーボンニュートラルを支援する商品・サービスを提案・提供することで、お客さまの脱炭素に向けた取組みを支援しています。

ネット型損保ならではのデジタルを活用した取組み

  • ネット型自動車保険をグループで取り扱う会社として、デジタル技術の積極的な活用により紙・郵送を削減する取組みを全社的に進め、各部門がGHG削減に貢献する意識の向上を図っています。
  • 各部門が取り組む業務と、グループのサステナビリティで定める3つの重点課題とのつながりを具体的に例示した内容等を全社員に定期的に情報発信することで、社員がサステナビリティを身近に感じ、意識して取り組んでいくよう促しています。
  • 企業見学、金融リテラシー講座等近隣学校との交流や、近隣地域での清掃活動等に多くの社員が参加し、地域社会の活性化に貢献する喜びを共感し合うことで、社会貢献活動への意識を高めています。

社会課題への理解を深めるための施策実施

  • 中期経営計画におけるサステナビリティの考え方や業務とのつながり等をテーマとしたサステナビリティ研修を通じて、社員の実効性ある取組みを促進しています。
  • フェアトレード商品・障がい者の就労支援に取り組む社会福祉法人等の定期的な販売会開催や、古本の寄付を募り貧困状態にある子どもの支援につなげるなど、社員が社会課題への理解を深め支援する機会を多数設けています。