モーダルシフトとは、トラック等の自動車で行われている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へと転換することをいいます。
現在では、環境負荷の低減は多くの企業で社会的責任(CSR)と位置付けて、商品の生産から廃棄にいたる全ての場面で取り組まれていますが、その中で輸送(物流)における環境負荷の低減にはモーダルシフトや輸配送の共同化、輸送網の集約等の物流効率化が有効です。その中でも、特にモーダルシフトは環境負荷の低減効果が大きい取り組みです。
1トンの貨物を1km運ぶ(=1トンキロ)ときに排出されるCO2の量をみると、トラック(営業用貨物車)が208gであるのに対し、鉄道は20g(約1/10)、船舶は43g(約1/5)しかありません(2022年度試算。最新の数値はこちらをご覧ください。)。つまり、貨物輸送の方法を転換することで、鉄道利用では約90%、船舶利用なら約80%もCO2排出量を削減することができるのです。こうしたことから、地球温暖化対策としてモーダルシフトは大変有効です。
また、昨今では労働力不足の解消・働き方改革という観点からも注目されています。モーダルシフトを行わない場合、倉庫間や集配拠点間の輸送など、幹線輸送となる部分について数百kmの距離を運転するため、出発した拠点に戻ってくるまで数日かかってしまう場合も少なくありません。しかし、モーダルシフトを行えば最寄りの転換拠点となる箇所まで、もしくは最寄りの転換拠点からの運転だけで済むため、効率的な業務を行うことができます。
こうした社会情勢も反映し、これまでモーダルシフトはおおむね500km以上の長距離輸送でないと難しいと考えられていましたが、最近では300km〜400kmといった比較的短い距離でのモーダルシフトの例も増えてきています。
国土交通省では、モーダルシフトなど昨今の物流分野における労働力不足や、荷主や消費者ニーズの高度化・多様化による多頻度小口輸送の進展等に対応するため、「2以上の者の連携」による流通業務(輸送、保管、荷さばき及び流通加工)の省力化及び物資の流通に伴う環境負荷の低減を図るための物流効率化の取り組みを一体的に実施するとともに、「モーダルシフト」・「輸送網の集約」・「輸配送の共同化」等の輸送の合理化により、流通業務の効率化を図る事業に対する計画の認定や支援措置等を定めた法律、【流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物流総合効率化法)】による支援を行っております。