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静岡県川根本町

「自然の中で働く」新しいワーキングスタイル。ダム際で心地よい仕事体験を。

しかく実施主体:川根本町

だいやまーく「長島ダムふれあい館」の一角をワーキングスペースに

同館は、長島ダムの歴史や仕組み・役割など映像やパネルで紹介する施設で、ワーキングスポットとして1階と2階の計2か所に、テーブルと椅子、コンセント、無料Wi-Fiが設置されている。また、ワーキングスペースの利用者は、特典としてお湯の提供と長島ダムコーヒーカードがプレゼントされる。1階、2階共に、窓からダムを一望できる場所にあり、ダムと山の緑を眺めてリフレッシュしながら仕事や読書をすることができる。

長島ダムのダム際ワーキングスポットは、「#ダム際ワーキング」の全国第1号事例だ。「#ダム際ワーキング」とは、ダムおよびダム近隣のカフェや宿泊施設などで仕事しつつ、自然の中でリフレッシュする新しい働き方のこと。「あまねキャリア」(浜松市)代表取締役の沢渡あまね氏が提唱しており、リモートワーク、ワーケーションの一つの形態として注目されている。

「#ダム際ワーキングスポット」と無料Wi-Fiの案内「#ダム際ワーキング」スポットと無料Wi-Fiの案内
長島ダムふれあい館内長島ダムふれあい館内
2階の「#ダム際ワーキング」スポット2階の「#ダム際ワーキング」スポット

だいやまーく人とのつながりから生まれた取り組み

無料Wi-Fiは、長島ダムふれあい館で「#ダム際ワーキング」を推進するために設置されたものだ。コロナ禍や観光面での交付金や補助金により、町の公共施設でもWi-Fiを導入(=ワーケーションの実証事業)する流れがあり、町全体の観光客向け無料Wi-Fiの普及の一環でダムへの設置も候補になったそうだ。

ワーキングスポット整備の取り組みは、町内のワーケーション事業の事業者と沢渡氏とのつながりがあったことがきっかけだ。元々ダム愛好家であった沢渡氏は、仕事として働き方改革や組織改革の企業支援を行いながら、休日にはダムを訪れていた。そんな時、静岡新聞SBS主催のオンラインイベント「地方都市と企業の未来地図について考える」セミナーにパネリストとして参加し、そこで川根本町にサテライトオフィスを持つ株式会社経営参謀の高梨取締役から、イベントの開催場所として長島ダムの紹介を受けた。そこから、長島ダムふれあい館の一角でワーケーションができないか、国土交通省、川根本町と共に模索し、このワーキングスポット立ち上げにつながった。

だいやまーく新規利用者の獲得と、利用満足度向上に貢献

ロケーションがよく、既存施設である同館は、「#ダム際ワーキング」を推進するうえで好条件であった。また、常駐する管理人がいることがセキュリティー的にも閉館時間時の管理にとっても大きかった。

長島ダムは地域に開かれたダムであり、利水が目的だが、取水口が下流の発電所になっているため、その関係で飲料水などの取水口がなく、周辺施設も少なくなっており立ち入り禁止エリアが少ない。それによりぐるりと一周回れるような形になっており、フォトスポットになりやすい。しかし、ダムは携帯電話の電波の届きづらいことが多く、写真をSNSにすぐに上げたい観光客にとっては、不便を感じることが多かった。そのため、無料Wi-Fiを導入することは、観光客へ利用満足度向上にとても有効な事業といえる。加えて、奥大井湖上駅や夢のつり橋、接岨峡温泉会館など周辺施設へのツアーなどの中継地点としての利用も多くなっている。

同館来館者は、来館時に受付簿に施設見学かワーキングスポット利用かを記入している。2022年で同館来場者は、年間約10,000人だが、リピーターのみの利用だけでなく、新規の利用者も取り込めている。しかし、立地の点から県外からの利用者はあまりいないようだ。

無料Wi-Fiの案内でも、SNSでの発信を呼び掛けている無料Wi-Fiの案内でも、SNSでの発信を呼び掛けている
長島ダムはフォトスポットとしても人気長島ダムはフォトスポットとしても人気

だいやまーく周辺に飲食店のないことが課題

現状の大きな課題の一つは、周りに飲食店がないため、ワーキング利用者がお金を使うような場所がなく、滞在時間も短くなってしまうことだ。イベント時にデリバリーの実証実験の形で検討したことはあったが、ワーキングが予約制ではないため、業者にとって見込みがないものに対する営業は難しくなっている。他のダム際では、隣に道の駅があり、そこで飲食の提供を行っているところもあるが、現状長島ダムでそのような設備投資をすることは難しそうだ。

水面利用に関しても、鍵など管理をどのように行っていくのか、業者や観光協会が入っていくのか、その方法は模索中だ。

同館からは車で10分ほどの距離にある「うえまるcafé」では、長島ダムカレーを提供している同館からは車で10分ほどの距離にある「うえまるcafé」では、長島ダムカレーを提供している

だいやまーくその他の取り組み

・2020年に公開された映画『前田建設ファンタジー営業部』の撮影ロケ地の一つとして、長島ダムが利用された。この作品は、実在の建築会社前田建設広報グループが、「アニメ『マジンガーZ』の出撃シーンで登場する地下格納庫兼プールを、現状の技術および材料で建設するとしたらどうなるのか?を、本気で検証するウェブ連載を立ち上げる物語。

・女子高生たちがキャンプを楽しむ人気作品『ゆるキャンしろさんかく』の原作漫画で、大井川地域が舞台として登場している。アニメと原作漫画では版権管理者が異なるが、まだアニメでは舞台になっていないため、現在は川根本町まちづくり観光協会では、原作漫画とコラボし、ポスターや吊り橋カードなどの制作、ARプロモーションツールの活用など、さまざまな取り組みを行い、「聖地巡り」として訪れたファンから好評を博している。

大井川地域が舞台として登場する漫画『ゆるキャンしろさんかく』とさまざまなコラボを行っており、その集客力は大きい。大井川地域が舞台として登場する漫画『ゆるキャンしろさんかく』とさまざまなコラボを行っており、その集客力は大きい。

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