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防災

建設会社における災害時の事業継続力認定

  • 建設会社における災害時の事業継続力認定の継続申請に向けたBCP訓練マニュアル

    この訓練マニュアルは、認定を受けた建設会社の皆様の災害時対応訓練を実施する上での参考資料として取りまとめたものです。

    1.BCP訓練の目的

    BCP訓練とは、策定したBCPの実行性を強化していくため、策定したBCPを基に訓練を実施し、検証や見直しを図ることを目的に実施するものであります。さらに、BCPの対象としているすべての組織・個人が、必要な知識や技能等を理解し、習得・習熟することにより、組織や個人の危機対応能力を向上させることができ、BCPの実効性を高める効果が期待できます。

    2.訓練の種類

    訓練の形式は、「研修」「図上訓練」「実動訓練」の3つに大別されます。「研修」は、セミナーや専門講座の受講、ワークショップの開催等を通して、専門的な知識を身につけBCPや危機管理の専門家を育成するためのものであります。「図上訓練」は、会議室の中で行われる訓練活動で、与えられたシナリオに対する災害対応の検討を行います。「実動訓練」は、人員や資源を動員し、複数の個人やチームによる連携、協力、対応能力を実地訓練します。BCP訓練においても、これらの防災訓練を準用することとします。
    訓練の種類を選択する場合に最も重要なのは、訓練の目的を明確に設定することであります。目的に応じ、訓練の種類や手法は異なります。訓練を企画する際に、訓練の特徴や効果を把握し、訓練の目的と現状の組織の能力にあったものを選択する必要があります。

    訓練形式と訓練の種類を整理し次に示します。

    訓練形式 内容 訓練の種類
    研 修 講義やワークショップにより、BCPに基づいた災害対応を実施する際に必要な、組織や個人の行動の範とすべき情報や知識、考え方を知識として理解します。 BCP専門資格研修
    外部セミナー
    講演、講義
    ワークショップ
    図上訓練
    (机上訓練)
    策定したBCPについて、関係者間で非常時における役割や行動について机上でお互いに確認するディスカッション形式の訓練です。緊急対応や事業継続の流れを把握するのに適しています。机上の訓練のため、リアリティには期待できません。 BCP読み合わせ訓練
    模擬災害対策訓練
    シミュレーション訓練
    ロールプレイング訓練
    実動訓練 BCPに記載されている内容を参加者が体得できるよう、実際に体を動かして実施する訓練です。 反復訓練(ドリル)
    BCP手順確認訓練
    机上訓練と実動訓練を組み合わせ、場合によっては関係機関や関係業者等の対外組織も巻き込んで行なう総合的かつ本格的な訓練です。 総合実動訓練
    ストリートワイド訓練

    3.BCP訓練の実効性を高めるための留意点

    防災訓練とBCP訓練の手法に違いはなく、BCPを考慮した防災訓練を実施することでBCPの実行性を高める訓練にすることです。BCPを考慮した訓練を実施するには、下記の留意点を踏まえる必要があります。

    (1)時間概念の取り入れ
    BCPの実効性を高めるためには、災害発生から業務復旧までの時間概念を取り入れることがよいです。通常実施されている訓練の多くが初動期の対応に偏りがちでありますが、BCP訓練では、時間経過のフェーズを「初動」「暫定対応」「本格復旧」に分け、どの対象者にどのフェーズの訓練をするのかを設定します。たとえば、本部長を中心とする組織の上層部を対象に、暫定対応や本格復旧までを含めた判断力・対応力を向上させるための訓練を机上シミュレーションにより行なう等、訓練目的に沿って訓練対象者と対象フェーズをしっかりと定めることが重要です。

    (2)上層部の意志決定
    BCPの実施時には、代替拠点に本部機能を移転するか、どの業務をどの時点で中断・再開するか、職員や協力業者等が被災した場合どのように対応するか等、その都度、上層部の判断が求められます。このため、経営層の意思決定を訓練することが必須となります。たとえば、上層部を対象に、災害発生から復旧までのシナリオを提示し、自組織の被害や関係機関・協力会社等の外部状況を模擬的に付与し、意思決定能力を高める机上シミュレーションが考えられます。

    (3)訓練の評価
    訓練の評価にしっかり取り組むためには、訓練の目的をより明確にし、目標に細分化し、目標を達成できたかどうかを定量的・定性的に評価することが必要です。例えば、訓練の目的が「初動体制の確立能力の向上」であれば、災害発生後30分以内に災害対策本部を設置することを目標とします。その目標が達成できたかどうかを評価できるように、評価チェックリストを作成し、訓練実施時に評価者が評価を行ないます。

    (4)関係機関との連携
    BCPでは、重要業務を実施する際に不可欠な要素として、関係機関や協力会社等のいわゆるサプライチェーンがあげられています。重要業務を継続するには、関係機関や協力会社等の協力なくしては成り立たないのが現状であることが多いです。しかし、実際に地震などの災害が起これば、自組織も被災しますが、地元の協力会社等も当然被災することになります。100パーセントを期待できないのが当然です。BCPとは、その脆弱性を明らかにし、重要な協力会社等の被災が出来る限り少なくなり、円滑な連絡と連携を保ち、万が一被災した場合の代替手段を準備することで、重要業務を速やかに再開できるようにするものです。このため、関係機関や協力会社等と共同で訓練を実施することで、相互にBCPの整合性や災害時の連携等をすりあわせ、かつ危機管理意識を向上させることが極めて有効であるといえます。

    (5)年間を通じた訓練計画
    訓練を通して、BCPを検証・評価し、効果的に組織と個人の危機対応能力を向上させるには、訓練の特徴をふまえた年間訓練計画を策定し、計画を着実に実施することが重要です。本格的な訓練を実施するには、お金も時間もかかるという印象が強いですが、訓練を特別なイベントと位置づけるのではなく、初任者研修や職位毎の研修等をBCPの教育の場として活用する等、BCPへの理解を深める機会を積極的に作ることも大切です。

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