友だちから誘われても断れますか?若者に広がる「モノなしマルチ商法」に注意!
*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文[PDF形式]」をご覧ください。
マルチ商法(注1)の相談では、健康食品や化粧品などの「商品」に関する相談が多くみられますが、近年、ファンド型投資商品や副業などの「役務」に関する相談が増加しており、2017年度・2018年度は「商品」より「役務」の相談が多くなっています(図)。こうした「役務」のマルチ商法(以下、「モノなしマルチ商法」)の相談は特に20歳代・20歳未満の若者で増加しており、友人やSNSで知り合った人などから、暗号資産(仮想通貨)や海外事業等への投資やアフィリエイトなどの儲け話を「人に紹介すれば報酬を得られる」と勧誘され契約したものの、事業者の実態や儲け話の仕組みがよく分からないうえ、事業者に解約や返金を求めても交渉が難しいというケースが多くみられます。
そこで、「モノなしマルチ商法」のトラブルに遭わないよう、若者に注意を呼び掛けます。
図.PIO-NET(注2)にみるマルチ商法の商品・役務等別の相談件数
2014年度から2019年6月30日までのマルチ商法の商品・役務等別の相談件数のグラフ。グラフに続いてテキストによる詳細。
2014年度の相談件数は11,119件、うち商品の相談件数は8,501件、役務の相談件数は2,618件、役務のうち29歳以下の相談件数は859件、2015年度の相談件数は11,503件、うち商品の相談件数は7,134件、役務の相談件数は4,369件、役務のうち29歳以下の相談件数は1,868件、2016年度の相談件数は11,367件、うち商品の相談件数は6,513件、役務の相談件数は4,854件、役務のうち29歳以下の相談件数は2,086件、2017年度の相談件数は11,964件、うち商品の相談件数は5,697件、役務の相談件数は6,267件、役務のうち29歳以下の相談件数は2,074件、2018年度の相談件数は10,526件、うち商品の相談件数は5,036件、役務の相談件数は5,490件、役務のうち29歳以下の相談件数は2,481件です。
- (注1)「マルチ商法」は、商品・サービスを契約して、次は自分がその組織の勧誘者となって紹介料報酬等を得る商法。人を紹介することで組織が拡大していくのが特徴である。なお、「マルチ商法」は、特定商取引法の「連鎖販売取引」とは必ずしも一致しない。
- (注2)PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベースのこと。消費生活センター等からの経由相談は含まれない。相談件数は2019年6月30日までの登録分。
相談事例
配当や紹介料が入ると勧誘され出資したが、仕組みが分からず不審だ
中学時代の友人からいい話があるから会わないかという電話があり、レストランで会った。別の勧誘者も同席し、「海外の不動産に投資をすれば仮想通貨で配当があるので、消費者金融で借金をしても埋め合わせができる。投資者を紹介すれば紹介料を受け取ることができるので、借金の返済は簡単だ」と説明を受けた。学生だと借金できないので結婚式の費用として借りるように指示され、消費者金融4社から総額約130万円を借金して、代金を友人に手渡した。
しかし、契約書面や領収書は受け取っておらず、セミナーにも参加したが投資の仕組みの説明は全くなかった。友人に解約の連絡をしたところ、半額しか返金できないと言われた。
(20歳代 男性)
その他、以下のような相談も寄せられています。
- マッチングアプリで知り合った男性に勧誘され、株の勉強会に入ったが、儲からない
- カフェで知り合った人に仮想通貨のウォレットのアフィリエイトを勧誘された
相談事例からみる問題点
- 契約のきっかけは友人・知人からの誘い
- 人を紹介すれば報酬を得られることばかり強調されるが、儲け話の実態はよく分からない
- 友人・知人から勧誘されると断りにくい。借金をしてまで契約するケースも
- 解約や返金を求めようとしても連絡先が不明確で交渉が困難
アドバイス
- 実態や仕組みが分からない「モノなしマルチ商法」は契約しない!
- 友だちや知り合いから勧誘されても、きっぱりと断りましょう
- 安易にクレジットカードでの高額決済や借金をしないようにしましょう
- 不安に思った場合やトラブルになった場合は消費生活センター等に相談しましょう
- *消費者ホットライン「188(いやや!)」番
最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
本件連絡先 相談情報部
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。
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