運用中 水星磁気圏探査機「みお」

水星の磁場・磁気圏の解明を主な目的とする水星磁気圏探査機。太陽に近いため地上からの観測も難しく、地球の10倍にもなる強い太陽光による灼熱環境や、軌道投入の難しさから、探査機による調査も限定的な水星を多角的・総合的に観測する日欧初の共同プロジェクト。

木星氷衛星探査計画 ガニメデ周回衛星 JUICE ジオスペース探査衛星「あらせ」(ERG)

水星の存在は、紀元前から人々に知られていました。しかし、地球の10倍にもなる強い太陽光による水星の灼熱環境や、軌道投入の難しさから、30年近く前のマリナー10号による観測、2015年に観測を終えたメッセンジャーとこれまでに、水星を探査したのは2機だけで、十分な観測データがありませんでした。
国際水星探査計画「ベピコロンボ(BepiColombo)」は、水星の磁場・磁気圏・内部・表層を初めて多角的・総合的に観測する、日欧初の大型共同プロジェクトです。

地球・火星・金星・水星と、地球型惑星の中で、地球と同じように固有の磁場を持つ惑星は水星と地球だけです。両惑星を比較することで、地球の磁場・磁気圏、さらには宇宙に存在する様々な磁気圏を理解するヒントを得ることができるかもしれません。

また、水星は半径の3/4にもなる巨大な中心核など、他の惑星には見られない特異な構造を持っています。内部と表層を詳細に探査することによって、太陽に一番近い領域で惑星がどのように作られたのか、惑星形成の秘密に迫ることもできるかもしれないのです。

機体データ

名称(打上げ前) みお(MMO:Mercury Magnetospheric Orbiter)
開発の目的と役割 国際水星探査計画「ベピコロンボ(BepiColombo)」は、JAXA担当の水星磁気圏探査機「みお」(MMO:Mercury Magnetospheric Orbiter)と欧州宇宙機関(ESA)担当の水星表面探査機(MPO:Mercury Planetary Orbiter)の2つの周回探査機で水星の総合的な観測を行う日欧協力の大型ミッションである。
水星磁気圏探査機「みお」の目的:
・固有磁場の解明
水星周辺の磁場を高い精度で計測し、惑星磁場の成因を探る。
・地球と異なる特異な磁気圏の解明
水星磁気圏の構造や運動を観測し、地球と比較して惑星磁気圏の普遍性と特異性を明らかにする。
・水星表面から出る希薄な大気の解明
ナトリウムを主成分とする希薄大気の大規模構造・変動を観測し、その生成・消滅過程を探る。
・太陽近傍の惑星間空間を観測
地球近傍では見られない太陽近傍の強い衝撃波を観測し、そのエネルギー過程を解明する。
打上げ日時 2018年(平成30年)10月20日10時45分28秒(日本標準時)
場所 フランス領ギアナ クールー ギアナ宇宙センター
ロケット アリアン5型
質量 全重量:約280kg、観測装置:約40kg
形状 直径180cmの円に内接する八角柱型。
高さ約2.4m(高・中利得アンテナを含む)。
水星軌道上では電場・電波計測用ワイヤアンテナ4本(15m)と磁場計測用マスト2本(5m)を展開する。
軌道高度 近水点高度 約590km 遠水点高度 約11,600km
軌道種類 水星周回 極楕円軌道
軌道周期 約9.3時間
主要ミッション機器 ・MPPE (Mercury Plasma ParticleExperiment)
プラズマ/粒子観測装置
水星本体および磁気圏・内部太陽圏の電子/イオン、高速中性粒子の密度・速度・温度・エネルギー分布と組成を計測

・MGF (Magnetic Field Investigation)
磁場計測装置
水星本体起源磁場、水星磁気圏・内部太陽圏磁場を計測

・PWI (Plasma Wave Investigation)
プラズマ波動・電場観測装置
水星磁気圏と内部太陽圏を電場・電磁波動・電波で観測するとともに、電子密度・温度を計測

・MDM (Mercury Dust Monitor)
水星ダスト計測器
水星本体・内部太陽圏・恒星間からのダストを検出

・MSASI (Mercury Sodium Atmosphere Spectral Imager)
水星大気分光撮像装置
水星の希薄なナトリウム大気の分布と変動を分光撮像
パンフレット 水星探査計画BepiColombo(水星磁気圏探査機「みお」)

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