企画展「佐伯祐三 自画像としての風景」が、東京ステーションギャラリーにて、2023年1月21日(土)から4月2日(日)まで開催される。その後、4月15日(土)から6月25日(日)まで、大阪中之島美術館に巡回する。
佐伯祐三(さえき ゆうぞう)は、大阪、東京、そしてパリの3つの街に生き、30歳の若さでこの世を去った画家だ。1898年大阪に生まれた佐伯は、東京美術学校西洋画科の卒業後、1924年に渡仏。わずか4年あまりの本格的な画業のなかで、都市の風景を題材とする独自の様式を確立した。とりわけ、2度目の滞仏期に手がけられた繊細で踊るような線描によるパリ風景は、佐伯を象徴する作品群として捉えられている。
風景を主に描いた佐伯は、その短い画業のなかで、画風を何度か変化させている。その契機には多くの場合、モチーフとなる風景の発見があった。東京では18年ぶりの本格的な回顧展となる「佐伯祐三 自画像としての風景」では、大阪、東京、そしてパリという3つの街に着目し、佐伯が自らの表現を獲得する過程を紹介。日本最大級の質と量を誇る大阪中之島美術館の佐伯祐三コレクションを中心に、佐伯の代表を一堂に集めて展示する。
1924年に初めてパリに渡った佐伯は、作品を見せたフォーヴィスムの画家モーリス・ド・ヴラマンクから「このアカデミック!」と一喝され、自らの作風を模索することに。やがてモーリス・ユトリロに触発され、重厚な石壁の質感を厚塗りの絵具で表現する独自の作風に到達することとなる。会場では、この時期の代表作である《壁》や《コルドヌリ(靴屋)》をはじめ、圧倒的な存在感と複雑なマチエールを持つパリ風景画を目にすることができる。
1926〜27年にかけて一時帰国した佐伯は、「下落合風景」と「滞船」というテーマのもとで集中的に作品制作を行なった。これらの作品には、パリで風景に向き合った視点を起点に、中空に伸びる線という新しい要素を見出してゆく佐伯の試みを見てとることができる。本展では、21世紀に入って再検証と再評価が進みつつある一時帰国期の作品に着目し、「下落合風景」と「滞船」のシリーズを豊富に展示する。
1927年、佐伯は再び渡仏した。広告の文字と画面を跳躍する線描を特徴とする、佐伯の代名詞ともいえるこの作風が展開されたのは、渡仏2度目の1927年秋から初冬にかけてのことであった。会場では、《ガス灯と広告》や「カフェ・レストラン」連作などの代表作から、繊細でリズミカルな線描によってパリの街角を描きだす佐伯芸術の到達点をたどってゆく。
企画展「佐伯祐三 自画像としての風景」
会期:2023年1月21日(土)〜4月2日(日) 会期中に一部展示替えあり
会場:東京ステーションギャラリー
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1(JR東京駅 丸の内北口 改札前)
開館時間:10:00〜18:00(金曜日は20:00まで)
※(注記)入館はいずれも閉館30分前まで
休館日:月曜日(3月27日(月)は開館)
観覧料:一般 1,400円、高校・大学生 1,200円、中学生以下 無料
※(注記)障がい者手帳などの持参者は100円引き(介添者1名は無料)
※(注記)最新情報やチケット購入方法については美術館ウェブサイトにて確認のこと
■しかく巡回情報
・大阪中之島美術館
会期:2023年4月15日(土)〜6月25日(日)
住所:大阪府大阪市北区中之島4-3-1
【問い合わせ先】
東京ステーションギャラリー
TEL:03-3212-2485