脳の老化による認知機能の低下を遅らせる生活のカギはさまざまな「小さい要因の積み重ね」だとする研究結果が報告された/Roxana Wegner/Moment RF/Getty Images/File
(CNN) 脳の老化による認知機能の低下を遅らせる生活のカギについて、魔法の一手があるわけではなく、さまざまな「小さい要因の積み重ね」だとする研究結果が報告された。例として外国語を話すことや、楽器を演奏することも挙がっている。
英スコットランドにあるエディンバラ大学のサイモン・コックス氏が、スコットランドで1921年生まれと36年生まれの高齢者グループを長期間追跡したデータに基づき、7日付の米医学誌にレビュー論文を発表した。
追跡研究では、対象者全員に11歳の時点で認知テストが実施されていた。さらに70代、80代、90代で認知能力と体力がチェックされた。
同氏らのチームは対象者が73歳になった時点で脳のMRI検査を実施し、個人差の大きさに驚いたという。同じ年でも、30〜40代と変わらないほど健康な脳に見える人がいる一方、一部の対象者では神経線維が集まる白質に、認知機能の低下に関連する大きな委縮や損傷がみられた。
同氏によると、高齢になってからの認知力のばらつきのうち約半分は、11歳でのテスト結果で説明がつくと考えられる。
その一方で、生活習慣にかかわるさまざまな条件も、少しずつだが検出可能な影響を及ぼし、時にはオーバーラップしていることが分かった。こうした条件を合わせると、70〜82歳でみられるばらつきの約20%が説明できるという。
コックス氏は例として、身心の活発な活動、血圧やコレステロール値、喫煙習慣、BMI(体格指数)などで示される心血管系の健康、第二言語での会話、楽器演奏などを挙げている。
チームはさらに、脳の老化のさまざまな側面が、特定のリスク要因の部分集合によって引き起こされるかどうかを調べているという。