ロンドン留学記〜魔法使いと探偵と私が住む街で

ロンドン留学を振り返って発見したことと、大切なこと。そしてこれからの目標!

ESSAY
2025年11月08日

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ロンドン南東部にあるグリニッジ。王立天文台のある丘の上から見るこの景色は、留学生活の中でもとてもお気に入りでした

ロンドン南東部にあるグリニッジ。王立天文台のある丘の上から見るこの景色は、留学生活の中でもとてもお気に入りでした

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"回転する時間軸" 永瀬正敏が撮ったバレリーナ(343)

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英ロンドンで学び暮らす大学生が綴る、令和の留学体験記。今回が最終回です。留学を考えている方も、ロンドン旅行を検討している方も、&Travelならではの留学記をお楽しみください!

毎年春に開催されるロンドンの花の祭典「Chelsea in Bloom(チェルシー・イン・ブルーム)」。今年はファッションがテーマで、参加する店舗などが装飾を競い、街中が個性ある彩りにあふれていました
毎年春に開催されるロンドンの花の祭典「Chelsea in Bloom(チェルシー・イン・ブルーム)」。今年はファッションがテーマで、参加する店舗などが装飾を競い、街中が個性ある彩りにあふれていました

頑張った自分に、三つのご褒美

こんにちは! ついに連載の最終回となりました。今回は留学終盤のことや、日々を振り返って学んだことなどを綴(つづ)っていこうと思います。

今回の留学は、勉強やレストランでの勤務など大変だった分、終盤には自分へご褒美をあげようと計画していました。その三つをご紹介します!

1 The Ritz London(ザ・リッツ・ロンドン) でのアフタヌーンティー

後期授業の期末テスト期間中、「終わったら行こうね!」と友人と約束して予約していたのが、人生初のアフタヌーンティー。しかも、その舞台は有名ホテル「The Ritz London(ザ・リッツ・ロンドン)」 でした! 伝統的な英国式のアフタヌーンティー(セイボリー、スコーン、ペイストリー、紅茶)を、豪華な空間とユーモアのあるサービスの中で楽しむひとときは、まさに非日常そのもの。紅茶の種類も豊富で、友人と分け合いながらいろいろ試すのが楽しくて、まさに"ご褒美"にぴったりの時間でした。

ドレスコードがあったため、ロンドンを代表する繁華街であるオックスフォード・サーカスで新しいワンピースを購入。高価そうな見た目は防犯上あまり良いものとは言えないためロンドンでは普段、無難な服ばかり選んでいたので、久しぶりに「かわいい服を探す」という時間もまた特別で、心が弾みました。

アフタヌーンティーに欠かせないスコーンですが、クロテッドクリームとジャムをどちらから先に塗るかでイギリスでは度々論争が起こるそう。みなさんはどちら派ですか? 右は筆者です
アフタヌーンティーに欠かせないスコーンですが、クロテッドクリームとジャムをどちらから先に塗るかでイギリスでは度々論争が起こるそう。みなさんはどちら派ですか? 右は筆者です

2フランス、パリ旅行

ずっと憧れていたフランス・パリに行ってきました! ユーロスターでロンドンから約2時間半。天気にも恵まれて、主要な観光地やディズニーランドなどを楽しむことができました。ルーブル美術館は多くの人で賑(にぎ)わっていましたが、どの作品も圧巻で、感動の連続でした。

とくに思い出深いのは、時間がない中、急いでモナリザへ向かう途中で偶然目に留まった筒状の石像。なんとなく気になって近づいてみたら、なんとあのハンムラビ法典! 教科書で見た歴史の象徴のひとつ。約3700年前に刻まれたその石碑が実際に私の目の前にある......。

また、日本人シェフが手がけるフレンチレストランにも行きました。美食の都パリで、繊細で丁寧な料理を生み出し続ける姿に胸が熱くなりました。ひと皿ごとに込められた情熱と覚悟が伝わってきて、「夢を追いかけて世界で挑戦する人って本当にかっこいいな」と改めて感じました。

パリにも訪問。街を歩けば名だたるブランドの本店が次々と現れ、「あ、ここもパリが発祥なんだ......!」と何度も驚かされました。さすが世界的なファッションの都
パリにも訪問。街を歩けば名だたるブランドの本店が次々と現れ、「あ、ここもパリが発祥なんだ......!」と何度も驚かされました。さすが世界的なファッションの都

3日本から友人が渡英

帰国する少し前にはるばる日本から、高校時代の友人がロンドンに遊びに来てくれました。5泊ほどの滞在の間、一緒にロンドンの街を散策したり、少し足を延ばして自然豊かなコッツウォルズを巡ったり。留学のプレッシャーから解放されて、ロンドンという街を改めて存分に観光できた時間になりました。

印象的だったのは、あるカフェでのひと幕。友人がパンケーキのトッピングにアボカドを選んだのですが、その追加料金が1000円以上。驚く彼女の横で、「あれ、私これが普通に感じてる......?」と気づいて、自分の金銭感覚がすっかりロンドン仕様になっていたことに思わず笑ってしまいました。

この時に来た友人がちょうど誕生日でお祝いもしました。これからももっと一緒に色んな場所に行ってみたいねと話しました
この時に来た友人がちょうど誕生日でお祝いもしました。これからももっと一緒に色んな場所に行ってみたいねと話しました

ロンドンは物価が高い半面、美術館や博物館の多くが無料で入場できるのが魅力です。ビッグベンやタワーブリッジなど、眺めるだけで歴史を感じられる名所もたくさん。公園や古着屋さん巡りも楽しく、食費と宿泊費以外は意外とお金をかけずに満喫できるのです。そんなロンドンの魅力をたっぷり味わって、友人も「また来たい! てか住みたい!」と大満足の様子でした。

とてもおいしいフィッシュアンドチップスを発見しました! お店の名前は「The Golden Hind (ザ・ゴールデン・ハインド)」。おすすめです
とてもおいしいフィッシュアンドチップスを発見しました! お店の名前は「The Golden Hind (ザ・ゴールデン・ハインド)」。おすすめです

留学を通して見つけた自分の"強み"

留学を通して発見したことのひとつは、自分自身の「適応力」です。

言語や文化、生活習慣が異なる環境の中で、時には思い通りにいかないことや予想外のトラブルにも直面しましたが、そのたびに状況を冷静に整理し、優先順位をつけて行動することで、ひとつひとつ乗り越えることができました。特に慣れない英語での授業や仕事、体調を崩した時の対応などを経験したことで、「自分は意外とどんな状況でもなんとかできる」と自信を持つことができました。この適応力を強みに、今後も柔軟に対応しながら前向きに挑戦していきたいと思っています。

また、今まであまり触れて来なかった分野に挑戦する楽しさもたくさん感じることができました。そのひとつがロンドンで出場したハーフマラソンです。初めての経験で、出場の3カ月前から大学寮の近くにある公園で毎朝1時間走るなど準備を重ねて臨みました。私にとって初めての分野の挑戦でしたが、そこで顔見知りになった方や公園の売店の方などのコミュニケーションを含めて思い出に残るものになりました。コースは着ぐるみを着たスタッフの方々がいて、装飾もあって、お祭りのような雰囲気。トラファルガー広場からスタートして、普段は歩けないようなロンドンの街中を颯爽(さっそう)と走ることができたのはとても気持ちよかったです!

日本に帰国した今でもマラソンの習慣は続いてます
日本に帰国した今でもマラソンの習慣は続いてます

しかし、慣れない場所で新しいことに挑戦するのは、楽しいことばかりではなく、不安や戸惑いもつきものです。それでも頑張っていれば、きちんと見てくれる人がいる......。そんな当たり前のようで大切なことにも、今回の留学を通して改めて気づきました。

私にとってその人たちは、学業でも生活面でも支え合ったクラスメートや寮の友人。そして、アルバイト先のレストランで私を信じて仕事を任せてくれたマネジャーや上司の方々も、異国での挑戦を続ける中で大切な存在でした。初めてお店のドアを叩(たた)いた日から、面接、トライアル、そして日々の仕事の中で、いつも温かくサポートしてくれました。忙しい中でも応援の言葉をかけてくれたり、頑張りを認めてくれたりと、そのひとつひとつが、留学生活の日々を支えてくれた大きな励ましになりました。

働いて2カ月ほど経った時に勤務先のマネジャーから来たメッセージ。「これまで一生懸命、仕事に取り組んでくれて本当にありがとうございます。この仕事はあなたにとってまったく初めてのことだったと思いますが、週を追うごとに成長していく姿を見て、心から誇らしく思っています」と言ってくださりました
働いて2カ月ほど経った時に勤務先のマネジャーから来たメッセージ。「これまで一生懸命、仕事に取り組んでくれて本当にありがとうございます。この仕事はあなたにとってまったく初めてのことだったと思いますが、週を追うごとに成長していく姿を見て、心から誇らしく思っています」と言ってくださりました

世界に感動を届ける仕事がしたい

さて、帰国して当面の間は就職活動が中心になりますが、留学を経て、自分が本当に何をしたいのかが少しずつ見えてきたように思います。

さまざまな背景を持つ人たちと出会う中で、やはり「世界に感動を届ける仕事がしたい」と強く感じました。そしてそれを、自分の大好きなアニメや映画などのエンターテインメントを通して実現できたら......、そんな夢を抱くようになりました。また、英語はもちろん、他の言語ももっと学びたいです! 相手の母国語で自分の想(おも)いを伝えることは信頼を深め、「あなたを大切に思っています」という気持ちを届けることに繫(つな)がると思います。将来は、仕事や旅行を通して世界中の人たちとコミュニケーションを重ねながら、自分なりの形で"感動"を届けていきたいです。

ロンドンでなくとも、留学は少しの勇気を出して自分から飛び込むことで、さまざまな挑戦のチャンスや、面白い文化・価値観との出会い、そしてかけがえのない友人たちが待っています。もちろん、海外での生活は楽しいことばかりではなく、戸惑いや悩みもあります。でも、そのひとつひとつがきっと貴重な経験となり、自分の糧となり、視野が広がり将来が豊かになっていくことと思います。

私自身、留学を通して「海外へのハードル」がぐっと下がったと感じています。この前、大阪・関西万博に行ったとき、混雑で展示パビリオンをあまり回れなかったのですが、「それなら今度、実際に行けなかった国へ行ってみようかな」と自然に、そして気軽に思えるようになっていました。海外で働くことにも、抵抗よりも今はワクワクの方が大きいです。もちろん、感じ方は人それぞれですが、もし留学を迷っている方がいたら、ぜひこの連載のことを思い出してもらえたら幸いです。心から応援しています!

ロンドンは留学前までは、私にとってどこか遠くて憧れの存在でした。しかし今では、かけがえのない思い出がたくさん詰まったとても特別で、そして世界のどこにいても身近に感じる場所です。また近いうちにこの街に来られる日を心から楽しみにしています!
ロンドンは留学前までは、私にとってどこか遠くて憧れの存在でした。しかし今では、かけがえのない思い出がたくさん詰まったとても特別で、そして世界のどこにいても身近に感じる場所です。また近いうちにこの街に来られる日を心から楽しみにしています!

連載「ロンドン留学記〜魔法使いと探偵と私が住む街で」は、これにて完結です。ここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました! 毎回いただいたコメントや応援の言葉もとても励みになりました。この連載を通して、少しでも「海外に行くこと」や「ロンドンという街」を身近に感じてもらえていたら、とてもうれしいです。

本編に載せきれなかった写真はフォトギャラリーで!(クリックすると、くわしくご覧いただけます)
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