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NISAは庶民から中間マージンを搾取するための装置「あのとき投資を始めていたらな」は、たいてい暴落の予兆...作家・林望「銀行を相手にしないほうがいい理由」

投資とはなんだろうか。『節約を楽しむ あえて今、現金主義の理由』(朝日新書)を上梓した作家の林望さんは「なけなしの10万を投資に回して、何年後かに10万1000円になったとしても何の意味もない。投資とは結局、金持ちのすることである」という――。

儲けるための売り買いに非ず

そもそも「株の売り買いとはなんだろう?」と、私はいつも思うのです。

信頼する友人で、日本でも指折りの投資アナリストである岡本和久さんに教えてもらったことなのですが、たとえば、世の中のためになる事業をする人間が出てきた。でも、資本がないからお金をみんなから集めたい。そこで、資金を持っている人は「ああ、あれはなかなか見どころがあるし、世のため人のためになる事業だからね。じゃあ、この人にその事業をやらせてみようか」と出資する。で、その人はいいアイデアを以て、世のためになるような事業を続けた結果、10年後には大企業になって莫大な利潤りじゅんが出るようになった。その儲かった分を、お金を出してくれた人に還元してくれるというのが、株の配当金というものです。

そのような状況になれば株価もどんどん上がるから、それを売ると、最初に投資した人は儲かる。株式はそうしたことであって、はなから儲けるために売り買いをするわけではない、と。「株というものはみだりに売り買いしてはいけない」と、彼はこう言うのです。

証券取引所の電光掲示板
写真=iStock.com/pixalot
(注記)写真はイメージです

株の売り買いで一番儲かるのは誰か

どうしてもこの会社を応援したいからお金を投資する、その結果として利益をもらうのは正しいことで資本主義の基本だ、というのが彼の教えです。「どんな会社かもろくに知らず、ただ株式のチャートだけをにらんでは、株をせわしなく売ったり買ったりして、日々あぶく銭を儲ける、などというのは、投機であって投資ではない」というのです。

そして、20、30年後に、仮に経営者が変わったりした結果、その企業が潰れてパーになったら、それは自分の目がなかったと諦めるべき、なのだと。「もし投資した人物や会社が優れており、自分にそれを見極める目があって、結果としてお金が儲かったのであればそれはめでたいことだ」とも聞きました。

また、株を売り買いしてあたかも自分が儲かったように人は思うけれど、その裏側では、かならず株で損をした人も存在しているわけであって、一番儲けているのは、両方から手数料を取っている証券会社なのです。だから、NISAなどというのは、もともとどういうところに投資しているのかも知らずに、不見転みずてんで大切な資金を他人に預けてしまうわけだから、まあ私に言わせると、結局庶民からなけなしの金を集めて中間マージンを搾取するための装置だ、というように思わずにはいられません。

掲載: PRESIDENT WOMAN Online

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