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論理性だけでは「愛が生まれない」理系社長はなぜ右脳センスと話し方を鍛えたか

組織の中でも、上から目線の上司の物言いでは、部下は率直な意見が言いづらい。柔らかなコミュニケーション術として、この手法を取り入れたいと北川さんは語る。

与えられた課題はギフト。ゲーム感覚で楽しむ

さらに、もう1つ学んでいることがある。それは「話し方」。「最近、大勢の人の前で話す機会が増えてきたんですね。その際、自分では強いパッションを持って話しているつもりでしたが、共感力と影響力が低いと指摘されて......」。そこで社内のアナウンサー経験者にプライベート指導を依頼。「まず指摘されたのは『自分をどう見せたいか?』ということ。"見せる"だなんて考えたことがなかったので、目からウロコでした」

(左)最近、ハマっている2冊。どちらも右脳を鍛え、デザイン思考をつけるために読んでいる。そのうち時間ができたら、アートを勉強したいという希望も。(右)朝活で使用した資料。線の入れ方ひとつで表情も多彩に変わる。

対話をするとき、"伝える"ことが第一となりがちで、聞き手からの見え方を考えることはあまりない。でも「説得力があるとか、『私にもできる!』という動機づけを与えたいとか。まずは見せたいイメージをつくり、話し方を変えるだけで、伝わり方が全く異なるんです」。

さらには主張したいことを一方的に言葉で発すればいいわけではない。聴衆を前にした講演では「皆さんはどのように感じますか?」と問いかけをしてみたり、1対1のときは対面ではなく横に並び、サポートするように話す。北川さんの場合、まず家族に実践してみてフィードバックをもらう。家族は率直でたんない意見をくれるのがありがたい。

各界のエグゼクティブのインタビュー記事が充実しており、愛読している。

「以前『360度評価』や部内アンケートでの自分への指摘事項がパワーポイントの資料で配られた際、『アンケートのコメントを生で見たい』とリクエストしたんです。皆の声を直接感じることができ、それを読んでいると、"ギフト"がたくさんちりばめられている気がしました」

家族や部下からの、時には厳しい指摘も次のステージへ行くための贈り物。素直に反省して復習して実践して、を繰り返す。「せっかくすてきなギフトをもらったのだから、お返しをしたいじゃないですか。そんな思いで日々学んでいます」

▼北川さんの学びを振り返る!
30代前半 クリティカルシンキング、ファシリテーション、コミュニケーション。
43歳ごろ リーダーシップ論、組織論、コーチング。
46歳ごろ 社会心理学、マインドフルネス、ダイバーシティ。
49歳(現在) 経営や人前での話し方。グラフィック。色彩検定。茶道や着付け。

文=水島彩恵 撮影=神ノ川智早

北川 園子(きたがわ・そのこ)
野村総合研究所 執行役員

1970年生まれ。東京理科大学理工学部卒業後、野村総合研究所入社。証券リテールフロントシステム三部長、金融ITイノベーション事業本部副本部長などを経て、2019年より現職。

掲載: プレジデント ウーマン プレミア 2019年秋号

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