環境省 Ministry of the Environment
Tel:024-529-5668(10:00〜17:00 ※(注記)月曜日定休) Mail:saisei-plaza@env-josen.jp
ここから本文です
No.18
インタビュー:2021年03月 富岡町
[画像:みなさんの夢なんですか。あなたが叶えるためのバックアップをします]
佐々木 邦浩(ささき くにひろ)さん
一般社団法人とみおかプラス 事務局長
1972年富岡町生まれ。 東北学院大学卒業、民間企業で勤務した後、富岡町役場に入庁。2019年に富岡町のまちづくり会社である(一社)とみおかプラスに出向し、事務局長を務める。
富岡町役場からとみおかプラスに出向し、全体のマネージメントに従事しておよそ2年が経過しました。民間として組織運営しながら、地域作りをすすめています。これまでの取り組みは、避難指示が解除されて生業が徐々に戻るなか、特産品の開発や人材の育成、戻ってきた人の夢の実現や、関係人口・交流人口の増加などの視点からの活動をスタッフや関係者と連携を取りながら進めています。
現在、力を入れている活動の一つとして、すべて富岡で作られた酒米で醸した日本酒を企画、販売しています。商品を作って売ることが目的ではなく、企画から販売に至るまでの様々なプロセスで多くの人に関わっていただき、ストーリーや思いを共有していくことが大切だと思っています。米の栽培は帰還した稲作農家の方に協力してもらい、ラベルの作成は、富岡アンバサダーとして15名の県外の方々に関わっていただきました。製品ができるまでのプロセスをSNSで発信していただき、それを知った人たちが富岡に訪れるなど、関係人口・交流人口の増加にもつながっていると思います。
[画像:とみおかプラス 事務所入り口の写真]
とみおかプラス 事務所入り口
[画像:佐々木さんの写真]
地域づくりについて熱く語る佐々木さん
人材の育成に関して、被災地域の教訓をどうやって活かしていくか、後生に伝えていくかがとても重要と考えています。このため、経験を踏まえて、2つの研修プログラムを関係者と共に企画し、自治体職員や企業人、一般市民の方などを対象に提供しています。避難所の運営などリスクマネージメントに関するもので、震災直後にはその場その時の判断が必要で、マニュアル的な対応が通用しません。研修内容は知識やスキルなどの一方的な講義ではなく、あるリスクが生じたときにどのような対応とするのか、参加者が自分たちで考えて合意形成をする過程を特に大切にしています。意見をまとめることは難しいのですが、このプロセスを踏まえることで不満や軋轢を避けることができます。
これからの活動について、この地域で、新たなワイン生産の取り組みや海の幸の恵みも復活しつつあります。様々な産品や活動をマリアージュさせて価値を高め、関係人口を増やしたり、この地域でこんなことをやりたいといった思いのある人が相談に来る・集まる、そんな人たちの夢を叶えて地域作りに貢献できるような仕事をしていきたいです。
桜の名所、夜の森の桜並木周辺を見学しました。桜並木は約2.2キロにわたって続いており、その多くは帰還困難区域に指定されているため、今なお立入が制限されています。
その後、富岡駅に移動。駅は津波で被災しましたが、売店や食堂が併設して再建され、2017年10月に運転が再開されています。この日も常磐線から降りてくる人の姿がありました。駅の裏側では防潮堤、防災林、浜街道など、津波等の防災・減災に向けたハード整備が今なお途上の状況にありました。
夜の森桜並木で歩行者の目の高さに枝が伸び放題になっていることに気づいた。復興の途中にいることが感じ取ることができたが、35年にバリケードが解除されるということなので確実に進んでいることが分かった。春になり、桜が満開になったときに来たいと思った。
テレビの中でしか見たことがなかった"立ち入り禁止区域"の看板を実際に見て、あらためて現実だったのだと感じました。美しくつくり直された富岡駅や新しくつくられる道路を見て、これからの未来がどうなるか、また来てみたいと思いました。
南北に広がる浜通りの方々にとって、その結び手として発展してきた富岡町の復興はとても大切なことだとお話を聴いてよくわかりました。富岡駅前にも地元有志のホテルが建つなど一歩ずつ進んでいる状況があり、嬉しい限りです。帰還率5%という富岡町の仕事おこしが進むことが待たれます。
一般社団法人とみおかプラスは、"つながり"と"創造"を理念の基礎として、富岡の「未来に向けたまちづくり」を主導する民間主体の団体です。
"ふるさと富岡"を想う町内外のさまざまな人々の"つながり"を大切にして、協働する身近な組織として、活動や支援を行っています。
住所:福島県双葉郡富岡町大字小浜字中央416 さくらモールとみおか内
電話:0240-23-6919(代)
URL:https://tomioka-plus.or.jp/