ドローンを用いた被災状況動画撮影のポイント集

〜平成28年台風10号等の経験を基に〜

第1章 計画準備のポイント

1-1 常時における体制の構築

ポイント
  • ドローン操作者を有する団体等と平常時から連絡が取れる体制を構築しておく。
  • ドローンを用いた調査に従事する団体・個人のそれぞれが、どのような調査を実施できるか、把握することが重要である。
  • ドローンの分野に詳しい団体等との協力関係の構築が重要である。
(1)協定の締結

災害時にドローンを活用する場合、事前に必要な体制や連絡系統が構築されていないと、迅速で円滑な被災状況調査を行うことは困難である。

このため、ドローン操作者等を有する団体等と平常時から災害時支援協定等を結ぶとともに、連絡体制を構築することが必要である。東北地方整備局では、地域に精通した(一社)建設コンサルタンツ協会東北支部や(一社)東北測量設計協会等の団体との災害時支援協定に加えて、「UAV活用官民協力制度」に基づき、ドローン操作に熟達した団体・個人と災害時を含めた協定を結んでいる((注記)巻末(参考1))。

(2)調査要員特性の把握

災害時の迅速な調査のためには、今後も協定団体・個人との連携を深めるとともに、各団体・個人が保有する要員・機材の特性を踏まえて、どのような被災状況調査が可能なのかを把握して、一層効率的な調査を実施することが望まれる。

自動車運転免許に区分があるのと同様に、ドローンについても人口集中地区(DID1)の上空の飛行、目視外飛行、人又は物件に近接した飛行(30m以内)、夜間飛行等については、航空法に基づく許可・承認が必要である。複数の項目に対して包括許可・承認を得ている操縦者もいる一方、許可・承認が必要な飛行は全く経験していない操縦者も多い。災害時には、目視外飛行が必須となる調査も多いため、目視外飛行の包括承認を得ている方をそのような場所に優先的に派遣する等の視点が重要である。

なお、前の段落に示した許可・承認は、被災状況調査に際しては1-4-(1)項に示すように不要とされているが、それは必要な技量や体制等が不足していても良いことを意味するものでは全くない。

(3)関係団体等との協力関係の構築

航空法の規定の有無に関係なく、安全の確保は基本的事項である。十分な技量や装備の無い者が、無理な操縦を行うことは避けなければならない。このため、誰がどのような機材を使えば、目的とする作業を実施できるかについて十分な検討が必要である。

なお、ドローンの分野では多様な機材・装備品が次々と現れ、操縦者の経験特性も様々である中、地方整備局等で人や機材等に関する情報を収集・分析することは限界がある。このため、ドローンの分野に詳しい団体・個人と随時情報交換を行える経路を持つ等、協力関係を築くことも重要である。

1DID(Densely Inhabited District):人口集中地区。市区町村の域内で人口密度が 4,000人/km2以上の国勢調査の基本単位区(基本単位区内に複数の調査区がある場合は調査区)が、市区町村の境界内で互いに隣接して、それらの隣接した地域の人口が5,000人以上となる地区
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