<傾斜地茶園の基盤整備>
傾斜地茶園整備方法の一つとして、テラス式整備が鹿児島を中心として実施されています。ここでは、県内の代表的茶園地形をもとにして、テラス式茶園整備のシミュレーションを行った事例を紹介します。
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画像:A山腹傾斜地形]
A山腹傾斜地形
A山腹傾斜地:山腹傾斜地に広がる茶園、起伏が激しく、区画の小さい茶園が多い。
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画像:B山麓緩傾斜地形]
B山麓緩傾斜地形
B山麓緩傾斜地形:山裾に向かって緩やかな傾斜が続く茶園。起伏は少ない。
三重県内の中山間地域の茶園地形は山腹傾斜地と山麓緩傾斜地形に大きく分類できる。これらの傾斜地茶園では乗用茶園管理機を導入するためには、ほ場整備が必要になります。乗用茶園管理機に合わせたほ場設計をすることにより、機械化のメリットを十分に生かすことができます。
小型乗用摘採機導入を前提としたときの標準的な区画条件
項目
条件
摘要
ほ場傾斜度
7度以下
安全作業角度
畦の長さ
35〜50メートル
摘採機の生葉収容量90キログラム
収量10アールあたり500〜700キログラム
2畦摘採
枕地幅
2.5〜3メートル
農道の勾配および幅員
15度以下、3メートル以上
2トントラック走行
上図の中山間地茶園の地形条件下でテラス式茶園整備を行ったときの土工量、法面面積、ほ場減歩率をコンピューターソフト(「傾斜地におけるほ場整備計画支援システム」:農林水産省)を使って試算してみました
シミュレーション整備水準
項目
水準
畦の長さ
50メートル
テラスの傾斜角度
7度以内
5度以内
テラス幅
13メートル(6畦)
34メートル(18畦)
[
画像:シミュレーション整備水準]
(右図)
条件:山腹傾斜地形、テラス幅34メートル(うね:18本)
薄い青:茶園、緑:法面、濃い青:農道
ほ場整備シミュレーションソフト「傾斜地における圃場整備計画支援システム」で作図
整備水準別ほ場整備シミュレーション結果
地形類型
テラス整備水準
土工量
法面面積
ほ場減歩率
傾斜度
幅
(立方メートル)
(平方メートル)
(%)
山麓緩傾斜
7度以下
34メートル
149.6
99.6
5.3
13メートル
113.7
98.8
5.2
5度以下
34メートル
186.3
145.6
7.5
13メートル
150.4
167.1
11.0
山腹傾斜
7度以下
34メートル
456.3
211.2
11.0
13メートル
400.0
255.8
12.5
5度以下
34メートル
483.7
239.0
11.8
13メートル
457.7
298.2
14.3
- 山麓緩傾斜地形と山腹傾斜地形を比べると起伏が少ない山麓緩傾斜地形の方が土工量、法面面積、ほ場減歩率ともに少ない結果です。
- 山麓緩傾斜地形ではテラス傾斜度:7度以下、テラス幅13メートル(畦数6本)の時、土工量、法面面積が最も少ない結果です。
- 山腹傾斜地形では土工量は7度以下、13メートルの時少ないが、法面面積は7度以下、34メートルの時少ない結果です。
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