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更新日:2025年8月14日
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淡水魚類図鑑 ヤマメ
サケ目サケ科
[画像:ヤマメ]
丹沢の渓流域には、ヤマメ、カジカ、アブラハヤ、ウグイ等が見られます。この地域の魚の代表と言えば、やはりヤマメでしょう。パーマークと呼ばれる大きな斑紋があり、容姿端麗で美味、釣り人に人気の高い魚です。サケ・マスの仲間で、本来は海と川を行き来するサクラマスが、上流に留まったものです。
実はこのヤマメ、酒匂川と関係の深い魚です。昔から東北・関東や九州の渓流にはヤマメが、関西にはアマゴが分布します。両者はよく似ていますが、アマゴにはヤマメにない鮮明な赤い斑点が体側にあります。もともとこの両者は、分類上は同じ種で、形態や分布が少し異なる「亜種」と言われる関係にあります。この2亜種の分布の境目が、酒匂川付近と言われています。酒匂川より東にはヤマメ、西にはアマゴが生息し、一説には、この付近のヤマメ(アマゴ)は、体側の一部に朱班が入り、両者のちょうど中間的な形態を示すとも言われています。しかし、残念ながら、ヤマメ生息域にアマゴが放流されたり、アマゴ生息域にヤマメが放流されたりしたため、境界が不明瞭になり、今となっては、詳細はよくわからなくなってしまいました。試験場でも丹沢に生息していたヤマメは本来どんなタイプなのか、調査を行っています。
丹沢に昔から生息地したヤマメは、環境の悪化のため絶滅が懸念されていました。しかし、丹沢大山総合調査や試験場の調査から、在来の丹沢ヤマメの存在が明らかになっています。
試験場では、ヤマメの分布調査の他、過去の放流履歴の調査、外部形態(パーマークの数や形状、朱点など)の解析、遺伝子の解析(mt-DNAや核DNAなど)の研究について、神奈川ウォーターネットワークや日本大学と共同で実施しています。
酒匂川水系では在来の丹沢ヤマメの特徴として、外部形態はパーマークや小黒点が多い、少数の朱点が入るなど、その沢によって異なる特徴があります。遺伝子のハプロタイプはmt-DNAでは、6つのハプロタイプが出現していますが、そのうちの5つが丹沢在来のヤマメと推定されています。令和元年度から、相模川水系のヤマメを調査中ですが、こちらはこれまでに酒匂川と同じ4タイプを含め7つのハプロタイプが出現しています。
また、試験場では、丹沢在来のヤマメの種苗生産の研究にも取り組んでおり、一部の在来系統と養殖個体を掛け合わせた半天然魚の作出に成功し、酒匂川水系の渓流域で放流効果試験を行っています。
皆さんの協力で、なんとか昔から丹沢に生息していた在来の丹沢ヤマメを復活させたいと考えています。何か情報がありましたらメールにてご連絡をお願いします。
例えば、「××沢のヤマメは戦前から生息しており、体側がわずかに朱色だった」とか「昔からヤマメが生息する××沢では、1980年には姿を消した」とか・・・
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このページの所管所属は 水産技術センター内水面試験場です。