淡水魚類図鑑 モクズガニ
モクズガニ Eriocheir japonica
十脚目イワガニ科
[画像:モクズガニ]
分布
日本全国に分布します。
県内各地の主要河川や湖沼に分布し、夜行性で昼は石の下や護岸の間に隠れているため、その存在に気付かない人も多いようです。
形態
暗褐色をしており、泥と同じ色のため、見つけにくいです。大きなものでは甲羅の幅が6cmになります。
生態
親ガニは、成熟すると川を下り河口から沿岸付近で産卵します。卵は雌が抱え、春になると再び河口に集まりゾエア幼生を放ちます。
ゾエア幼生は成長し、春頃から相模川の寒川堰周辺に稚ガニが多数見られるようになり、さらに上流へと移動します。
備考
全国各地の分布するイワガニ科の仲間で、ハサミに「藻(も)のクズ」のような毛がはえているので、モクズガニと言われます。
相模川では、毎年春、たくさんの子ガニが川を遡上(そじょう)します。相模川の寒川堰の魚道でもモクズガニが遡上できるように、カニロープを張っており、そのおかげで、中流域の厚木市・相模原市でも多く見られるようになりました。
ダムの上の津久井湖・相模湖でも見られることから、陸上も移動できるようです。
平成9年に中津川で行われた梁(やな)では、夜間、アユに混じって多数のモクズガニが川を下る様子が観察されました。中華料理で有名な「シャンハイガニ」はモクズガニに近い仲間の外国のカニです。正式名は「チュウゴクモクズガニ」と言い、生態系へ与える影響が大きいため特定外来種に指定され、輸入や飼育が制限されています。