風合い・色合い
風合い
ひとつとして同じ作り方はないファンシーペーパーの製法。
上品で趣きがあり、やさしさや温もりを感じさせてくれる紙。そんな風合いのある紙を、ファンシーペーパーと呼びます。ファンシーペーパーの種類はというと、これはもう数え切れません。先輩たちが考え開発した紙、私たちが試行錯誤の末生み出した紙。それらのノウハウが積み上げられ現在に至っています。
ファンシーペーパーは紙の風合いにより、いくつかのグループに分けられます。紙本来の風合いや表情を生かしたプレーンな紙。ダンディロールや毛布目で型押ししたソフトな風合いが持ち味の紙。特別に染色した繊維を混入したブレンド。型を紙にプレスして模様をつけたエンボス。この他にも、まだまだたくさんのファンシーペーパーがあります。
作り方はそれぞれの紙によって千差万別で、ひとつとして同じ作り方はありません。たとえばプレーンのグループにある「フリッター」という紙は、わざと地合いを崩すために、パルプから水を抜く段階で凹凸を作ります。和紙の風合いを醸し出す「あららぎ」は、特別な方法で皺を作ります。その上、抄紙機だけでなく使用する薬品も調整しなければいけません。こうした細かい調整をするために、製造の工程では常に目を光らせ気を抜くことはありません。
[画像:王子エフテックス株式会社 東海工場 富士製造所 製造課 操業長 和田 育生]エンボスシリンダー
色合い
微妙な色の違いへのこだわりが新しい色を生む。
色合わせのスタートはデザイナーからのオーダーですが、実際の作業は要望する色に合わせるというよりも、いろいろな色を作り、選んでもらうことになります。なにしろ、同じ赤といっても数限りない赤があります。デザイナーがはじめイメージしていた赤よりも、いろいろな試作を見て「この色いいね」ということになることも多く、そのために私たちは10種類以上のサンプルを作って打ち合わせをします。「こんな色がいいのでは」などと提案していくと、サンプルはさらに増えることになります。
黒とか、濃い色は混ぜ合わせる染料の数が増えますので、大変ですね。黒の染料だけでも何種類もありますから。色の作り方は、100種類以上の染・顔料、それぞれの濃度を組み合わせて無数のパターンから手漉きをして色を探し出します。
[画像:王子エフテックス株式会社 東海工場 富士製造所 研究技術部 小林 豊]手漉きの染・顔料配合データは記録しておき、次に似たような色目の要望があった時に生かします。光源によっても色は変わりますから、お客様から光源の指定がある場合はその光源を使って色を見ることになります。
また、手漉きで色を決めても、抄紙機になると定着性が変わることがあります。基本的には手漉きに合わせるようにしますが、逆に抄紙機の色の方が面白い色になることもあり、奥の深い世界です。