1. トップ
  2. Policy(提言・報告書)
  3. 都市住宅、地域活性化、観光
  4. 内発型の地域づくりに向けた地域経済活性化

Policy(提言・報告書) 都市住宅、地域活性化、観光 内発型の地域づくりに向けた地域経済活性化 〜人口減少・経済社会の変化を踏まえた地域連携のあり方〜

2023年12月12
一般社団法人 日本経済団体連合会

1.はじめに 〜目指すべき姿〜

2020年時点で約1億2,600万人となっているわが国の総人口は、2070年までに、約3,700万人減少する見込み#1 となっている。こうした中で、東京圏をはじめ9都府県#2 は、2015年から2020年にかけて人口が増加した一方、それ以外の地域は人口減少が続いている。

地域経済社会における人口規模の縮小等は、地方自治体の税収減等による行政サービスや地域コミュニティの機能の低下、それに伴う関連サービスと雇用の減少等を通じて、当該地域における生活の利便性と経済社会の活力が低下し、さらなる人口減少を招くといった負のスパイラルにつながっていく。地方自治体においては、職員数が今後も減少していく見通し#3 もある中、有限な地域資源(ヒト・モノ・カネ・情報等)を活用し、今後とも必要な行政機能を維持するとともに、さらに効率的・効果的に運営していくためには、現在の地方自治体の枠組みを越えて、より広域的な視点での行政サービスの提供・地域づくりを考えていく必要がある。加えて、地域経済・社会の一員であり、かつ主要な担い手である企業にとっても、域内の人口減等に伴う市場や雇用の縮小により、企業立地の選択肢がさらに狭まる中で、地域の持続可能性の維持・確保は、域内で円滑な事業活動を継続するにあたっての喫緊の課題である。

折しも2019年に発生した新型コロナウイルス感染症の拡大は、かねてから指摘されていた都市部への一極集中の是正、地域経済・社会の担い手不足解消の必要性等、わが国が抱える構造的な課題を根本から見直す大きな契機となった。

そうした中で、課題解決の鍵を握るのがデジタル技術の活用である。地方自治体においても、諸手続の電子化、行政システムの統一・標準化、データ連携を含めたデジタル技術の徹底活用により、職員の業務効率化や生活者・企業の利便性の向上が可能となる。これにより、地方自治体の現場の業務負担を軽減し、新たな行政サービスの企画・実施や今後必要となる自治体間連携等に一層リソースを集中できるようになる。さらに、自動配送ロボットや遠隔診療をはじめとするデジタル技術の社会実装は、人口減少下の地域社会において、これまでにない価値を創出することにつながっていく。

また、近年のデジタルトランスフォーメーション(DX)#4 やグリーントランスフォーメーション(GX)による経済社会の変化や、自然災害の激甚化・大規模化、感染症等の非平時、経済安全保障への対応は、国だけで取り組むべき課題ではなく、地方自治体においても、産業立地や地域産業等のあり方を議論する上での前提として捉えていく必要がある。

本提言では、経団連提言「with/postコロナの地方活性化 -東京圏から地方への人の流れの創出に向けて-」(2020年)において、地域経済活性化の基本的なあり方として示したとおり、企業や地方自治体をはじめ、多様な主体の参画によって地域資源を最大限活かし、域内の発展を図る「内発型の地域づくり」を目指すべき姿#5 と位置づける。その上で、前述した状況の変化を、国と地方の行政システムや社会機能の集中と分散のあり方に関する議論を進めることや、地域が直面する諸課題に対するスピード感を持った対応を行う好機として捉え、改めて国・地方自治体・企業が果たすべき役割を整理する。

とりわけ、「内発型の地域づくり」を実現していくためには、各主体間で図表1のような全体像を共通認識として持つことが必要である。

第一に、国において策定・検討されている、「デジタル田園都市国家構想総合戦略」や「国土形成計画」、「デジタルライフライン全国総合整備計画#6 」、「GX推進戦略#7 」等といった基本的なビジョンを有機的に連携させ、地域経済の活性化に向けて必要な施策を講じていくべきである。

第二に、市町村合併や地方自治体間の広域連携、地方自治体に求める行政計画の再整理といった、単独の自治体だけでは推進が困難な事項については、国における制度面での対応が求められる。

第三に、地方自治体や地域住民、企業等による地域の将来のあり方に関する議論や産学官連携の推進といった、従来の枠組みにとらわれない取り組みについては、制度面の対応と併せて相互に推進することが重要である。

第四に、これらの各主体による地域経済活性化に向けた取り組みは、国がリーダーシップを発揮し、デジタル共通基盤の整備を一気呵成に進めることで、自治体職員の業務効率化だけではなく、デジタル技術の活用による生活者・企業の利便性の向上、さらには新たな価値の創出を早期に実現することが可能となる。

以下では、こうした目指すべき姿の実現に向けて、各地域における企業活動の活性化、および企業を含む地域住民の利便性の向上を図り、地域における成長と分配の好循環を実現させていく観点から、特に「広域連携」「デジタル」「産業立地・地域産業」の3点に焦点を当てて現状と課題を整理し、早期に取り組むべき施策について提言する#8

図表1 目指すべき姿:多様な主体の参画による「内発型の地域づくり」

(出所)経団連事務局作成

2.現状と課題

(1)広域連携の動き

地方自治体間の広域連携は、人口減少がより深刻な課題となっている地域において、圏域としての人口規模の確保や行政サービスの集約化に資するとともに、既存の自治体の枠にとらわれない経済圏域の形成が期待される。

他方、これまでも、市町村合併、連携中枢都市圏構想、定住自立圏構想等、広域的な計画づくりの必要性は、国・地方をはじめ関係各所で認識され、その都度議論が繰り返しなされてきたが、計画上いかなる行政・圏域・区域の単位が望ましいのか、また、実際に機能しうる単位が定かではなかった。

そこで、まずは以下に、市町村合併、広域連携制度、および圏域・区域の現状と課題を整理する。

1 市町村合併

平成以降のわが国の市町村合併は、合併特例債#9 等の強力な財政支援措置により推進された。その結果、図表2のとおり、1999年に3,232あった市町村数は、2010年までに1,727まで減少した。2018年に合併の動きは一段落し、現在の市町村数は1,718となっている。

行政組織の再編成を伴う市町村合併を経験した地方自治体においては、旧市町村間の垣根を越えた行政機能の一体化が進展し、その効果が認識されている。具体的には、広域化によって規模の経済が働くことによる組織・人員体制、公共施設、窓口業務等の重複の排除を通じた財政基盤の強化や、重点的なインフラ整備等の面で一定の効果が表れているとの指摘がある。他方で、合併を経験した市町村では、意見集約の難しさや協議の不調等を理由に、「合併疲れ」もみられる。

こうした中、足もとでは、一部の広域自治体において、再び合併に対する自治体独自の支援策の制度化を検討する動き#10 もみられはじめている。こうした動きが拡大していくならば、地方自治体による自発的な合併に向けた議論が進展することも考えられる。

図表2 市町村数の変遷

(出所)総務省「市町村数の変遷」(2023年)より作成

2 広域連携制度等

近年では、地方自治体間の調整が容易ではない市町村合併ではなく、複数の地方自治体で新たに組織を設置して広域の公共サービスを実施する「広域連携制度」に基づいた取り組みが展開されている。

図表3のとおり、広域連携は、様々な制度が存在しており、各自治体において、有限な地域資源の有効かつ効率的な活用が可能となる。一方で、対象となる事業や予算が限定されていることや、地方自治体間の調整にかかる事務負担の増加、意思決定のスピードの鈍化、参加自治体の合意が取りやすい事業分野・内容のみを行う連携が多く、行政全体としてみた場合には、必ずしも効率的に機能していないといった点も指摘されている。

また、市町村が持続可能なまちづくりに向け、様々な都市機能を誘導するために作成する「立地適正化計画」においては、広域生活圏や経済圏が形成されている場合には、複数の市町村による共同作成が可能となっている。一方で、広域連携と同様に、地方自治体間の連携や調整が複雑になることや、都市計画区域を持たない自治体が含まれる場合は計画の対象外となるため、自治体同士の連携による、広域立地適正化計画の策定は進んでいない#11

図表3 広域連携制度の概要一覧

(出所)経団連提言「with/postコロナの地方活性化-東京圏から地方への人の流れの創出に向けて-」
(2020年11月)より作成(一部加筆)

3 圏域・区域

広域連携制度のうち、連携協約に基づいて形成される圏域の一つが「連携中枢都市圏構想」であり、それぞれの圏域でビジョンを策定し、必要な分野について柔軟な連携が可能となっている。連携中枢都市圏には「圏域全体の経済成長のけん引」「高次の都市機能の集積・強化」「圏域全体の生活関連機能サービスの向上」といった3つの役割が求められており、地域住民の生活に欠かせない機能の維持だけでなく、新たな経済圏域の創造につながる取り組みも期待される。一方で、連携中枢都市圏に対しては、都市計画区域を全てカバーしていないことや、自治体の人口や都市の規模によっては、同圏域の大きさが適切でないこと等から、必ずしも効果的な計画単位とはいえないのではないかとの指摘がある。

この他、中心市と近隣市町村が相互に役割分担し、連携・協力することにより、圏域全体として必要な生活機能を確保することを目的とした「定住自立圏構想」も進められている。同構想では、生活機能の強化や地方圏から三大都市圏への人口流出の抑制とともに、地方圏への人の流れを創出することが期待されている。しかしながら、他の都市計画等との重複により、住民への理解度・認知度が低く、人口の流れを大きく変えるには至っていないこと、さらに、実務面では中心市の事務負担の増加等の課題が指摘されている。

図表4 圏域・区域の概要

(出所)村木美貴「広域立地適正化計画の計画単位に関する一考察
―連携中枢都市圏、都市計画区域と地方生活圏に着目して―」(2022年)より作成

(2)デジタル技術の進展による新たな展開

国・地方自治体におけるデジタル技術のさらなる活用を通じて、生活者や企業の利便性の向上、技術の進展に即した新たな価値の創出につなげていくことが重要である。政府では、現在、デジタル田園都市国家構想の下、地域経済の活性化や行政サービスの高度化・効率化にデジタル技術を活用すべく議論が進められている。例えば、政府の「デジタルライフライン全国総合整備実現会議」では、人口減少下で人手不足に起因するヒトとモノの流れの停滞、自然災害の激甚化・大規模化といった社会課題を解決するため、自動運転やドローン、AI等デジタルの恩恵を全国津々浦々に行き渡らせるための議論を進めており、本年度内に「デジタルライフライン全国総合整備計画」の策定を予定している。また、デジタル行財政改革においては、利用者起点でわが国の行財政のあり方を見直し、デジタルを最大限に活用して公共サービス等の維持・強化と地域経済の活性化を図り、社会変革を実現することを基本的な考え方として、教育・交通・介護・子育て・防災等の分野におけるデジタル活用、国・地方等の行政システムの統一・標準化等を加速させているところである。

以下では、デジタル技術の活用が期待される地域間連携の制度や行政サービスにおける現状と課題を整理する。

1 デジタル技術の活用を通じた地域間連携

政府のデジタル田園都市国家構想総合戦略では、施策ごとに2023年度から2027年度までの5か年のKPI(重要業績評価指標)とロードマップ(工程表)を策定している。この中で、デジタル技術を活用した広域連携の充実を図る観点から、デジタル技術を活用した取り組みを行っている連携中枢都市圏を2027年度までに30圏域、定住自立圏を70圏域に増やすことを目標としており、今後は、その着実な進展が課題となる#12

デジタル技術を活用した地域間連携の事例として、隣接していない複数の自治体間で、ドローンによる物流のコスト削減や配送の効率化に向けた広域連携協定が締結される動きもみられる#13 。このような非隣接自治体間の連携は、企業が自治体をまたいで事業活動を行う際、各自治体や地域の企業との連携の円滑化に資することが期待される。加えて、隣接する自治体以外の地域資源を活用することで、地域でのさらなるDXや人手不足への対応等がより一層進むことも望まれる。

他方、国や地方自治体において、こうした事例の整理や公表の体制が整備されていないこと、地方部における通信基盤等のインフラ構築が進んでいないこともあり、現時点での連携事例は多いとはいえない。

図表5 隣接・非隣接自治体間による広域連携のイメージ図

(出所)経団連事務局作成

2 地方自治体におけるデジタル化

デジタル技術の活用については、地方自治体ごとの進捗に大きな差が生じている。例えば、マイナンバーカードについては、行政手続への導入や公的個人認証サービス等の民間利用も進められているが、総務省の調査#14 では、図表6のとおり、地方自治体での窓口における各種申請等への記入において、デジタル技術を用いて簡便化している、いわゆる「書かない窓口」の導入率は全市区町村のうち、19.5%(276団体)にとどまっている。さらに、導入している団体においても、職員が情報を聞き取って端末に入力している団体が約半数(47.5%)を占めており、マイナンバーを用いたデジタル完結が進んでいるとは言い難い。

図表6 地方自治体における窓口改革の取り組み状況

(出所)総務省「窓口業務改革状況簡易調査」(2023年)より作成、
( )の割合は、団体総数(1,741団体)に占める割合。

各市町村の業務デジタル化を支えるシステムについては、国・地方等の行政システムの統一・標準化に向けて、政府において、公共アプリの共通化・標準化、データと連携基盤の整備、クラウド基盤とネットワークの共通化・標準化等が進められている。

このうち自治体情報システムの標準化については、2025年度末までに、対象業務について国が地方自治体の基幹業務システムに関する基準を策定し、ガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへの移行を目指すこととされている。他方で、その対象は税金・医療・福祉・子ども・子育て支援を含む20業務#15 にとどまっている。加えて、本年9月に改定された「地方公共団体情報システム標準化基本方針」では、他システムと比較し、相対的に時間を要する場合や、代替事業者が見つからない場合など、移行の難易度が極めて高いと考えられるシステムについては、別途期限を設定することとされている。

また、地方自治体のデジタル化に不可欠な人材の確保・育成についても課題が残っている。都道府県がデジタル人材研修を行い、市町村のデジタル化を支援する取り組みや、各地方自治体で中核を担う職員の集中的な育成支援を促進していくために、財政面での措置を含め、国が対策を講じているが、基礎自治体間はもとより、国や都道府県、市町村間の共同での人材の育成・活用はあまり進んでいない。

(3)経済社会の変化を踏まえた産業立地や地域産業の動き

多様な主体の参画による内発型の地域づくりを進めるにあたっては、国内の産業立地のあり方や地域産業の特性、産業構造の変化、これに伴う地域の雇用動向も踏まえつつ、地域経済の自律的かつ持続的な発展を図っていく必要もある。

政府における産業立地政策は、2000年代以降でみても、「産業クラスター計画」(2001年〜2009年)や「企業立地促進法」(2007年〜2017年)、「地域未来投資促進法」(2017年以降)等が策定されており、これらに基づき関連施策が進められてきた。特に、2010年代後半以降は、地方自治体等に対する「面」的な政策支援から、地域の特性を活かした事業が生み出す経済効果の最大化を目指すため、地域経済を牽引する中核的な企業に着目した「点」的な支援が中心となり、現在に至っている。

こうした中で、現在、政府が掲げるデジタル田園都市国家構想に基づく政策対応や、新型コロナウイルスの感染症拡大等により事業活動を行う上で被った影響、さらには地政学的リスクの高まりを背景とした経済安全保障上の観点から、サプライチェーンの見直しが行われている。例えば、図表7のように、データセンターをはじめとするデジタル基盤の地方部への立地や半導体・エネルギー等の産業の国内立地の誘致・新設・集積の動きがみられている#16

図表7 令和4年度補正予算により動き出している主な国内投資案件

(出所)内閣官房・経済産業省「国内投資拡大のための官民連携フォーラム」(2023年10月4日)資料2
西村経済産業大臣提出資料より

加えて、2050年カーボンニュートラルを目指したGXの動きも加速している。GXを推進していく中では、電力分野において再生可能エネルギーの主力電源化、原子力発電の最大限の活用、水素・アンモニアを活用した既存火力発電の脱炭素化、グリッドの次世代化に加え、熱源あるいは製造工程での水素の活用も必須となる。とりわけ、世界的なカーボンニュートラル推進の流れの中で、RE100#17 等の環境イニシアティブやESG投資の動きも活発化しており、再生可能エネルギーの利用を取引先や金融機関から要請されるケースも増加している。企業が競争力を維持強化していくためにも、国際的に競争力がある価格での再生可能エネルギー供給網を拡大していくことは重要である。

GXの推進は、エネルギー需給構造の大きな転換を伴うことから、産業の最適な立地や地域産業にも大きな影響を与えることが予想される。地域経済の活性化にあたって、エネルギーの地産地消を含むGXの取組みを進めつつ、安価で安定的なエネルギー供給を確保していかなければならない。

地域にとって、新たな成長産業や経済安全保障上の重要分野を担う企業の進出は、当該地域におけるさらなる設備投資や研究開発投資、新たな雇用機会の創出、域内の賃金上昇、通信基盤を含む社会インフラの整備等によって、地域経済の持続的な成長につながることが期待される。

加えて、わが国では近年、大規模な自然災害が各地で多くみられ、地域経済にも大きな打撃を与えている。また、今後、南海トラフ巨大地震や首都直下地震等が発生した場合には、人口・産業が集積している被害想定地域をはじめ、経済活動が機能不全となるリスクも懸念される。

企業の立地や投資は、本来的に民間企業が各自の判断で行っていくものであるが、昨今の状況変化の中、政府は各地域も含めた国内投資の拡大を後押ししている。しかしながら、現在、国と地方自治体において、地域の特性やデジタル技術、GX推進の下での新たなエネルギーの需給構造、災害リスク、経済安全保障、社会インフラ等の観点を踏まえた国内の産業立地・地域産業のあり方に関する共通認識が十分に形成されているとは言い難い。

(4)現行制度の下で企業活動の弊害となっている事例

前述の国や地方自治体の取り組みに関する課題は、実際に地域の一員である企業の事業活動に様々な影響を及ぼしている。そこで、経団連では、企業が自治体をまたいで事業を行う際に、現行の行政区域が企業活動の妨げとなっている事象や、既存の広域連携制度等が期待される機能を発揮できていない事例等の実態を把握するため、経団連会員企業に対して本年夏にヒアリング調査を実施した#18

その結果、図表8のとおり、現行の制度が企業活動の妨げとなっている場面は大きく1「各企業が事業を営む際に、行政上の事務手続き等を行う場面」(例えば、税務、人事・労務、消防、入札、出店等)、2「事業者が地方自治体の境界を越えて事業活動を行う場面」(例えば、環境・廃棄物、災害対応、建設、地図情報等)、3「既存の広域連携制度に基づいて取り組みを行う場面」(例えば、広域計画、環境・廃棄物、災害対応、観光等)の3つに整理できる。この中で、企業から特に意見・要望が多かったのは、1「各企業が事業を営む際に、行政上の事務手続き等を行う場面」である。

図表8 企業ヒアリングでの主な指摘事項

(出所)経団連会員企業へのヒアリング(2023年)に基づき経団連事務局作成

具体的には、「地方自治体によって各種申請書類の書式が異なる」「申請方法が電子か窓口かによって必要書類が異なる」「都道府県や担当者毎に判断基準が異なる」といった地方自治体ごとの様式・判断基準の違いなど、いわゆるローカルルール#19 の存在や事務手続きのデジタル化の整備の遅れが、行政手続きに関わる企業側の業務コストを増加させており、大きな負担になっている。地方自治体の手続様式・必要情報の不統一は、自治体間のデータ連携も阻害している。

また、地方自治体の条例や規則等については、一元的に公開されておらず、自治体間のローカルルールの把握が難しい。住民や事業者は、都度、自治体窓口等に問い合わせる必要があり、問い合わせに対応する自治体職員の事務負担は軽減されない。

加えて、未だ残る書面・押印・対面をはじめとするアナログ規制に関する意見も多く寄せられた。これらの規制は、事業者に大きな負担を強いており、利用者と行政双方の生産性を阻害しているといえる。例えば、納税証明書の発行申請・受取にあたっては、法人代表が当該自治体の窓口を訪問することが求められている上、代理の場合には書面の委任状が必要となっている。

こうした中、政府は「地方公共団体におけるアナログ規制の点検・見直しマニュアル」を策定し、地方自治体に対し条例等の見直しの支援を行うとともに、モデル自治体との調査研究事業を行っているが、現場レベルでの改善は道半ばである。

また、3「既存の広域連携制度に基づいて取り組みを行う場面」についても、「都道府県と各市町村間で役割分担が不明確であり、広域連携機能が必ずしも十分に発揮されていない」「ごみの広域化・集約化に関しては、自治体によって、収集、運搬、処理にばらつきがみられる」「災害時相互応援協定等の広域連携制度の進捗が地方自治体間で異なる」等の事例が寄せられた。

3.早期に取り組むべき施策

(1)広域連携の仕組みの再整備と多様な連携のあり方の推進

1 市町村合併の再検証

まずは、国として市町村合併の効果を、他の広域連携制度とも比較しつつ、再検証することが重要である。その上で、市町村合併が、今後の人口減少も踏まえた行財政基盤の強化等に一定の効果が得られることに加え、地方自治体において、自発的に合併を進める動きがみられるならば、政府は合併に意欲を示す自治体への財政的支援等の仕組みの再整備に向けた議論を行い、必要な措置を講じるべきである。

2 多様な広域連携の推進
i)必要な予算の拡充

地方自治体の広域連携の推進にかかる国の予算は現状において限定的であるが、今後、デジタル技術等を活用した非隣接自治体間の取り組みなど多様な広域連携を推進する上で、地方自治体間の連携・協力の強化にかかる国・地方自治体の予算のさらなる拡充が必要である#20

ii)広域計画作成の推進

今後、人口減少の影響がより深刻化する状況において、地方自治体が適切に行政サービスを提供していくためには、例えば、既存の立地適正化計画を広域的な計画として位置づけるなど、地方自治体が自発的に連携し、都市機能の整備や広域的な防災・減災対策等を行っていくべきである。広域計画の作成を推進するとともに、その効果を真に発揮させるためには、まずは各地方自治体において、連携を想定している自治体同士の地域資源に関する客観的なデータを整理し、域内の経済社会構造の現状や課題、今後の変化に関する認識を共有することが重要である。

iii)「地域の未来予測」の作成推進と地域データ等のオープン化・標準化

政府では、それぞれの地域における行政需要や経営資源に関する長期的な変化・課題の見通しの客観的なデータ#21 の整理や、人口構造の変化やインフラ施設の老朽化等に関する将来推計等を要件とした「地域の未来予測」の作成を基礎自治体に促している#22 。国や都道府県における各基礎自治体の「地域の未来予測」作成の推進にあたっては、外部専門人材の活用や地方自治体間の連携に資する広域での人材確保を含めた支援を行うべきと考えられる。

さらに、こうした地域ごとのデータは、当該地域の課題への気づきを与えるだけでなく、地元に根ざした企業をはじめ、今後地域社会を支える可能性を持つ企業にとっても、域内での事業活動の展開や地方自治体との様々な連携・協働を進める上での客観的かつ有益な情報となり得ることから、その活用は、内発型の地域づくりの発展につながることが期待される。そのため、国や都道府県においては、「地域の未来予測」に活用される地方自治体の地域データ等の標準化を行った上で、各種データのオープン化や、企業の事業範囲に合わせた形で、地方自治体間の比較が可能とすべきである。

iv)地方自治体に求める行政計画の再整理

各地方自治体に求められる行政計画の策定については、近年、国が自治体に策定を求める計画が増加し、自治体にとって大きな業務負担となっている。昨年の政府の骨太方針#23 では、原則、法令上新たな計画の策定の義務付け・枠付けを定める場合には、できる限り新設しないことや、策定済みの計画等との統合および他団体との共同策定を可能とする方針が打ち出されている。こうした方向性は自治体の業務負担の軽減とともに、他団体との共同策定や広域的な計画の策定を促すことが期待される。政府においては、骨太方針で示された方針に加え、趣旨や内容が重複する計画については統廃合を行い、地方自治体に策定を求める計画が真に必要なもののみとなるよう早急に整理すべきである。

v)地理的な隣接性を問わない地域間連携の推進

多様な広域連携のあり方を検討していく上では、近年のデジタル技術の進展等も踏まえ、地理的な隣接性にとらわれず、広域連携の対象となる分野ごとに、地方自治体が自由に参画できるような柔軟な連携のあり方も考えられる。特に、デジタル技術の活用による広域連携は、地理的な制約を受けないことから、既存の枠組みや制度、自治体間の隣接性等の範囲を超えた連携が期待できる。この点については、現在議論が進められている総務省の第33次地方制度調査会においても、「非隣接市町村が連携して共通する地域課題の解決等に取り組む事例も広がりを見せており、引き続き、取り組みを進めていくことが適切である」と指摘されているところである#24

そこで、政府においては、現行の広域連携制度を活用している事例に加え、非隣接の地方自治体間の広域連携の好事例も、各自治体に見える形で併せて公表・周知していくべきである。同時に、現行の連携中枢都市圏構想ならびに定住自立圏構想においても、隣接していない地方自治体との連携の推進をそれぞれの要綱に追加することや、構想の推進に向けた関係府省の支援策に非隣接自治体間の連携を盛り込むことも検討すべきである#25

なお、現在、非隣接自治体間での連携として、マイナンバーカードの活用によって住民手続きの利便性を向上させるサービスの共同利用といった事例#26 が見られる。こうした連携については、後述の「(2)地方自治体のDXのさらなる推進」で示す方向性のとおり、将来的には、国が主導してシステムの統一・標準化を行っていくべきである。

また、政府のデジタルライフラインの整備に向けた議論については、今後、ドローン航路やデジタル情報配信道#27 等を設定していくにあたり、地理的な隣接性を超えた自治体間の連携が欠かせない。本年度末までの計画の策定にあたっては、自治体間の円滑な連携のあり方の検討も、広域連携制度の見直しと併せて一体的に進めていく必要がある。

これらの取り組みは、デジタル技術を活用する連携中枢都市圏や定住自立圏の拡大という政府目標の達成にもつながることが期待される。

3 圏域・区域の再構築

地方自治体が抱える課題は多様であるため、都道府県をまたぐことも含めた重層的な圏域・区域を想定し、自治体間の連携を促していくことも必要である。圏域・区域については、今後の人口減少の流れや経済社会の変化を踏まえ、地域の財政力や地域産業等の各種データの現状と将来見通しを加味し、不断に見直しを行うことが重要である。

例えば、昨年12月に公表されたデジタル田園都市国家構想総合戦略や本年7月に公表された国土形成計画(全国計画)では、自治体単位にとらわれず、人口規模が概ね10万人以上程度を一つの目安としつつ、生活サービスの維持・向上を目的として地域の特性に応じて地域の関係者で圏域を形成する「地域生活圏」という概念が提唱されている。こうした圏域単位が官民連携等をより促進していく方向性であれば、連携中枢都市圏や定住自立圏構想といった広域連携制度にとらわれない、重層的な圏域形成のあり方の一つとしての浸透が期待される。

また、広域的な立地適正化計画の策定の推進も含め、こうした圏域・区域を検討していくためには、都道府県などの広域自治体同士が調整を担う等、調整役を明確にすべきである。

(2)地方自治体のDXのさらなる推進

1 業務改革(BPR)、国・地方等の行政システムの統一・標準化

自治体職員の採用が今後一層困難になると見込まれる中#28 、地方自治体業務の効率化・負担軽減は待ったなしの課題であるが、事業者目線から見ても、国・地方の行政手続にかかる「デジタル完結」の最後の課題は、地方自治体に多く残されている#29 。DXを推進する過程においても、地方分権の考え方は尊重されるべきであるが、今般の経団連会員企業に対するヒアリングでは、合理的な根拠のないローカルルール等が未だ企業の事業活動を阻害していることが浮き彫りとなっており、徹底的かつ継続的な改善への取り組みが欠かせない。

第一に、自治体ごとに様式・判断基準が異なるローカルルールは着実に撤廃すべきである。なお、個別具体的なローカルルールに係る要望を聴取するため、内閣府に設置されている規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)とは別に、ローカルルールの見直しに特化した窓口を設置して企業や地方自治体等からの要望を受け付ける仕組みを設けることも一案である。

第二に、地方自治体に残る書面・押印・対面等の行政手続上のアナログ規制については、政府が年内目途に策定予定の「行政手続のデジタル完結に向けた工程表」において、規制見直しのスケジュールを明確化した上で、着実に実現すべきである。その際、各自治体のデジタル改革の事例を横展開し、DXを加速させることが重要となる。

第三に、自治体情報システムについては、標準準拠システムへの移行を2025年度末までに確実に完了させるとともに、対象業務の拡大を検討すべきである。また、移行期限を再設定するシステムについては、早期に移行を完了すべく期日を明確に定めるべきである。

第四に、国・地方自治体が提供するデータを一元的に参照・活用可能とすべきである。条例・規則等についても、法律・政省令と同様にe-Gov法令検索に掲載し、網羅的なデータベースを整備・公開すべきである。加えて、「包括データ戦略」に記載された地方公共団体保有データを含む行政データ提供のワンストップ化の仕組みを早急に構築することを期待する#30

2 「デジタル完結」を踏まえた国と地方自治体の役割分担の再整理

各地方自治体では、戸籍事務や国道の管理等といった法定受託事務だけではなく、介護保険サービスや児童福祉サービス・各種助成金のような自治事務においても、同一制度を基にした行政サービスを多数提供している。他方で、地方自治体の現場の負担軽減も踏まえ、国が共通して提供できるサービスと地方自治体が個別で対応すべきサービスの分担が変化していくことが考えられる。政府においては、国・地方等の行政システムの統一・標準化を前提に、地方自治体を含めた国全体の最適な役割分担の再整理の議論も進めていくべきである。

3 デジタル人材の確保・育成

2023年度の総務省の概算要求において、地域DXの推進や、それに係るデジタル人材の確保・育成を重要施策として位置づけたことは評価できる。

各市町村におけるデジタル人材等の専門人材の確保・育成については、都道府県による人材の広域的な調整・支援機能のさらなる拡充が求められる。現在、都道府県が市区町村支援人材を確保した場合は、地方財政措置が講じられている。各都道府県に策定が求められている「人材育成にかかる基本方針」#31 では、こうした措置も活用しながら、各市町村の状況を踏まえ、広域的に人材を調整するための具体的な支援策を盛り込むべきである。例えば、現行の法制下では、民法上の委託という形で他の地方自治体の人材を共同活用できるほか、デジタル人材等の専門人材を配置した組織を他の地方自治体と共同で設置可能とする等の実施手法が考えられる。

(3)経済社会の変化を踏まえた産業立地・地域産業に関する議論の展開

国や地方自治体においては、地域経済の自律的かつ持続的な発展を図る観点からも、DX・GX、自然災害の激甚化・大規模化、経済安全保障への対応等の変化を踏まえた産業立地・地域産業のあり方について議論を深め、必要な補助金や税制措置等の支援を行うことで、国内への投資・立地を考える企業の動きを後押ししていくことが重要である。その際、政府においては、「デジタル田園都市国家構想総合戦略」や「国土形成計画」、本年度内に策定予定の「デジタルライフライン全国総合整備計画」、「GX推進戦略」等の取り組みと整合性の取れた全体像を明示し、サプライチェーン全体を見渡した、面的な支援の展開を一体的に行うべきである。

また、産業立地・地域産業に関する議論においては、GXを推進しながら、安価で安定的なエネルギー供給の確保が大前提となる。再生可能エネルギーの主力電源化、原子力の最大限の活用、火力発電をはじめとする調整電源の脱炭素化、グリッドの次世代化、水素・アンモニア・合成燃料利用の社会実装などGX推進戦略に記載された施策を不退転の決意で着実に推進することが不可欠である。とりわけ、再生可能エネルギーについては、前述の通り、取引先や金融機関から使用を要請されるケースも増加しており、安価で安定的な調達を可能とする環境整備が重要である。

なお、国や地方自治体において、新たな産業や重要分野を担う企業群の立地のあり方を検討する上では、産業機能の補完・分散を進めていく上での課題や地域ごとの立地特性、電力・水等ユーティリティの整備・供給、大学・研究機関、社会インフラ、その地域における新たな雇用の創出の可能性等を含めた経済波及効果が重要であり、民間企業の予見可能性を高めた上で、前向きな投資を行えることを前提に議論すべきである。また、特定地域への産業立地にあたっては、当該地域での産業の特性を踏まえた専門的な人材育成が不可欠である。その際には、グローバル人材も含めた産官学の連携による人材育成・確保の枠組みを構築することが重要である。

(4)経団連としての取り組み

内発型の地域づくりを各地域で興していくためには、地方自治体をはじめ地元の企業や経済界、大学、研究機関、各種団体、さらには大企業等の多様な主体が連携し、創造性を発揮しつつ、地域資源やデジタル技術を活用していくことが重要である#32 。図表9のとおり、経団連では2021年11月に、「地域協創アクションプログラム」を策定し、多様な主体の活動を後押ししながら内発型の地域づくりに取り組んでいる。

特に、アクションプログラムの取り組みを通じて、特定の地域に継続的かつ多様な形で関わる「関係人口」を創出・拡大していくことは、立場の異なる人材・企業・大学等の交流等による地域の社会課題解決や魅力の向上につながる。また、企業の従業員を含む多種多様な「関係人口」の存在は、地域住民ならびに他の「関係人口」を触発し、内発型の地域づくりのさらなる発展に寄与していくことが期待される。そのため、国においては、関係人口創出・拡大の対流促進事業にかかる予算の成果を適切に評価しつつ、拡充していくことも検討すべきである#33

経団連では同プログラムの下で、単なる地域のイベント等の情報周知にとどまらず、地域協創に関心を持つ関係者間で、各々に相応しい形での会合等を開催し、直接的な対話を積極的に進めており、今後も、内発型の地域づくりを推進していくよう、同プログラムを必要に応じて改訂していく予定である。

また、地域での人材の確保・育成が今後の重要課題となる中、経団連は、2023年7月に、全国知事会と経済5団体#34 との間で、「地域を舞台に挑戦する人材を育てる」という共通の目標の実現に向けて、デジタル人材の育成等に協働で取り組むことを掲げた「共同宣言」を発表した。こうした共通認識の形成に努めつつ、連携先のイニシアティブのもと取り組まれているプロジェクトを後押ししていく。

加えて、残存するアナログ規制やローカルルール、都道府県・市町村・民間の不明確な役割分担等の課題、日進月歩で進展する技術を活用するための法制度の検討に対しては、引き続き、会員企業からのヒアリング等を通じて、その改善を関係各省へ働きかけていく。

図表9 経団連「地域協創アクションプログラム」

(出所)経団連事務局作成

4.おわりに

国と地方の行政システムや社会機能の分散のあり方の検討にあたっては、本格的な人口減少社会への対応や、DX・GX等の進展による経済社会の変化を前提に、企業活動の活性化に資するよう、今後も不断に見直していくことが不可欠である。その際、国・地方自治体はもとより、企業を含めた多様な主体が一体となってネットワークを形成し、継続的に魅力ある地域づくりを目指すことが重要である。

経団連としても、地域づくりの主体は、企業を含む地域を取り巻く多様なステークホルダーが主役であり、その活動の活性化の重要性を認識しつつ、引き続き、「地域協創アクションプログラム」を含めて、各地ならびに地域間連携を含む地域協創に向けた取り組みを展開していく所存である。

以上

  1. 国立社会保障人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」(2023年4月)、出生中位推計による
  2. 東京都、沖縄県、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、福岡県、滋賀県、大阪府
  3. 総務省「自治体戦略2040構想研究会第一次報告」より。2040年の人口を基に試算した都道府県、市区町村の職員数の減少率を踏まえると、現在よりも更に少ない職員数での行政運営が必要となる可能性があるとの指摘がある。
  4. 近年、生成AIの活用は国内外で加速度的に進展しており、DXを取り巻く環境は大きく変容していることに留意する必要がある。わが国におけるAI開発・活用のあり方については、提言「AI活用戦略II -わが国のAI-Powered化に向けて-」(2023年10月)を参照。
  5. 提言「with/postコロナの地方活性化 -東京圏から地方への人の流れの創出に向けて-」(2020年11月)において、「人を惹きつける地域づくりは、地方自治体を中心に、地元の企業や大学等多様な主体の参画により、地域資源を活かした内発型の活性化を図っていくことが基本」との認識を示したところ。
  6. 人口減少下で人手不足に起因するヒトとモノの流れの停滞、自然災害の激甚化・大規模化といった社会課題を解決するため、自動運転やドローン、AI等デジタルの恩恵を全国津々浦々に行き渡らせるための計画を本年度内に策定予定。
  7. 「炭素成長型経済構造移行推進戦略」(2023年7月28日閣議決定)
  8. 地域での防災・減災等のレジリエンス強化に関する基本的考え方は、提言「大規模災害に負けない持続可能な社会の構築 ―国土強靱化基本計画改定に向けて―」(2023年4月)参照。
  9. 市町村の合併で必要となる事業に対し、事業の財源として使用可能な地方債。総務省で定められた公共施設の整備等に対し、起債対象経費の95%を本特例債によって財源調達が可能であり、元利償還金の70%に対し、普通交付税における額の算定に使う基準財政需要額に算入が可能(2005年3月末までの合併が対象)。
  10. 大阪府議会は、今年度から「基礎自治体の機能強化に関する調査特別員会」を立ち上げ、合併に対する府独自の基礎自治体への支援策の制度化を検討中。合併に向けて動く自治体に対する支援を盛り込む条例案を取りまとめる予定。
  11. 現状、複数の市町村による共同作成を行っている自治体はなし。立地適正化計画の公表状況は、都市計画区域を持つ全1,352自治体のうち527自治体にとどまる(2023年7月31日時点)。
  12. 進捗状況の公表はされていないが、経団連事務局にて取り組み状況を確認したところ、2023年6月時点で連携中枢都市圏は7圏域、定住自立圏は47圏域程度とみられる。
  13. 2022年3月に、北海道上士幌町、山梨県小菅村、茨城県境町、福井県敦賀市、北海道東川町の5自治体は、ドローンの活用等新スマート物流の取り組み推進に向け広域連携協定を締結。
  14. 総務省「窓口業務改革状況簡易調査」(2023年2月)
  15. 児童手当、子ども・子育て支援、住民基本台帳、戸籍の附票、印鑑登録、選挙人名簿管理、固定資産税、個人住民税、法人住民税、軽自動車税、戸籍、就学、健康管理、児童扶養手当、生活保護、障害者福祉、介護保険、国民健康保険、後期高齢者医療、国民年金
  16. 経済産業省は本年9月に、令和5年度「データセンター地方拠点整備事業費補助金」の公募を開始。情報通信事業者において、補助金を活用した投資の動きが見られている。
  17. 企業が自らの事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ。
  18. 経団連事務局にて試算の結果、ヒアリング企業の業種は、全体のGDPの78.2%(内閣府「2021年度国民経済計算(2015年基準・2008SNA)」より)、就業者数は全産業の76.3%(総務省「労働力調査」(2022年)より)を占める。
  19. 法令によって定められた全国一律に適用されるナショナルルールとは異なる、特定の地域の固有ルール。
  20. 総務省の令和6年度概算要求における「活力ある多様な地域社会の実現に向けた地方行財政基盤の確立、地域DX・地域活性化の推進」の全体の予算が約17兆5,000億円であるなか、国と地方および地方公共団体間の連携・協力の推進に関する予算は4,000万円にすぎない。
  21. 客観的なデータの例:人口減少や高齢化等の人口構造の変化、施設・インフラの老朽化や配置状況、子育て・教育(保育所・幼稚園需要、大学進学者数)、医療・介護(必要病床数、介護サービスの見込み量)等
  22. 作成にかかる経費として、昨年度より、措置率0.5、一市町村あたりの上限額は500万円とする特別交付税措置が講じられている。
  23. 内閣府「経済財政運営と改革の基本方針 2022 新しい資本主義へ 〜課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現〜」(2022年6月)
  24. 第33次地方制度調査会第21回専門小委員会資料「ポストコロナの経済社会に対応する地方制度のあり方に関する答申(案)」より引用。
  25. 連携中枢都市圏は、中心市と近隣の市町村が連携協約を締結することにより形成される圏域であり、定住自立圏は、中心市と近隣市町村が相互に役割分担して連携・協力することにより必要な生活機能等を確保する圏域であり、いずれも隣接する自治体間連携が想定されている。
  26. 愛媛県今治市、静岡県袋井市、鹿児島県阿久根市では、マイナンバーカードを活用して住民手続きの利便性を向上させるサービスを共同で活用。また市民向けのオンラインサポート等を行う市民サポートセンターを共同で外部委託することで多様な窓口サービスを提供。
  27. 車両走行の円滑性や安全性を高めるためにデジタル情報を道路インフラから配信する等、ハード・ソフト・ルールの面から自動運転車の社会実装等を支援する道路。
  28. 財務省 財政制度等審議会「令和6年度予算の編成等に関する建議(2023年11月)」の参考資料(資料II-2-7)、総務省「地方公共団体の定員管理のあり方に関する研究会」第1回配布資料より。
  29. デジタル5原則の徹底に向けた経団連の基本的考え方や地方自治体に関する手続の「デジタル完結」に向けた要望については、経団連提言「Society 5.0の扉をひらく ―デジタル臨時行政調査会に対する提言―」(2022年4月)を参照。
  30. 経団連提言「データ利活用・連携による新たな価値創造に向けて ―日本型協創DXのリスタート―」(2023年5月)を参照。
  31. 政府においては現在、1997年に策定された「地方自治・新時代における人材育成基本方針策定指針」について、「人材育成」のみならず、「人材確保」や「職場環境の整備」を図る観点から、本年末に新たな基本指針を策定し、各地方自治体における「人材育成に関する基本方針」の改正を促すこととしている。
  32. 例えば、中核市構成市においては、官民連携の促進に向けて、民間事業者からの提案を受けるための専用窓口の開設等を行い、地域資源や産業を活用した内発的な地域づくりを進めている。
  33. 内閣府地方創生推進室において、「関係人口創出・拡大のための対流促進事業」として、令和5年度予算額が0.8億円計上されている。中間支援組織の地域貢献モデル事業への支援や関係協議会の運営に対する補助金が想定。
  34. 日本経済団体連合会、日本商工会議所、経済同友会、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会

「都市住宅、地域活性化、観光」はこちら

Policy(提言・報告書)

バックナンバー

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /