地球環境問題に関する話題が連日マスコミで取り上げられている。さまざまな担い手がさまざまな技術や政策に取り組んでいるが、果たしてその効果は適切に評価されているのであろうか。「クールビズは本当に温暖化防止に寄与するのだろうか?」「排出権取引の効果は?」「少子高齢化によってエネルギー消費量は増加するのか、減少するのか?」。このようなエネルギーに関する諸問題を提起し、現状を精査した上で適切に構造化し、システム工学等の手法で解き、結果について分析する。我々の行う研究はこのようなやり方で進められる。
当研究室の基本的な目標は、どういうシステムにおいて環境負荷(エネルギー消費量・二酸化炭素排出量)が小さいのかを明らかにし、そしてそれをいかに実現するかということを探求することにある。目標はシンプルではあるが、考慮しなければならない制約条件は、経済性、資源量、国際競争などの政治的な問題、システムの永続性、人間の嗜好、将来の不確実性、既存システムの硬直性、など多岐に渡る。これらを踏まえた上で適切に評価するためには、工学だけではなく、経済学等の社会科学分野との学際領域での研究が必要となる。
研究テーマの例は次のとおりである。
1.消費者受容性を考慮した住宅エネルギー管理システム
image 不安定な発電出力特性を有する再生可能エネルギーの大量導入を実現させるためには、電力システムにおけるエネルギー需給調整力を確保することが必要である。そのために、消費者の快適性・利便性を維持しつつ必要に応じて電力需要を調整できる機能を持つ住宅エネルギー管理システム(HEMS)の開発を目指す。また、HEMS普及促進のために、社会に受け入れられる仕組み・制度に関する検討や付加価値を高めるための研究も行う。