馬追に喧視されたる選句かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
199909
馬追の日から髪を伸ばしをり
稲畑廣太郎
ホトトギス
199909
馬追のたがひ馬がほ媾へり
丸山海道
海道全句集
199910
馬追といへばさうかと耳寄せて
稲畑汀子
ホトトギス
200009
馬追と聞き分けてゐしときのあり
稲畑汀子
ホトトギス
200009
馬追の翅を立てゐし香爐かな
小山森生
槐
200011
馬追の出て惑ひをり昼日中
川上美穂子
酸漿
200011
馬追と名草の山へ登ろうか
松山律子
六花
200011
馬追のもの言ひたげな口元ぞ
黒田咲子
槐
200011
馬追の止まる高さに椿の木
黒田咲子
槐
200012
馬追の来て天井に影つくる
鷹羽狩行
狩
200110
馬追に生命線を蹴られけり
大石ひろ女
百鳥
200201
馬追のみどりを闇へ戻したる
新開一哉
円虹
200203
馬追の無傷のむくろ草に置く
酒井康正
百鳥
200212
馬追いや残業終えし駐車場
河野友子
六花
200301
馬追や堂守の早寝たるかや
谷村祐治
雨月
200312
馬追の髭の彼方の星空よ
加藤みき
槐
200412
さまよへる馬追ここは薬師寺よ
梅原悠紀子
百鳥
200511
馬追といふ地ありけり山桜
小林優子
酸漿
200512
五線紙のうへ馬追のきてゐたり
定梶じょう
あを
200512
馬追は猊下の御顔日向ぼこ
黒田咲子
槐
200602
うまおひの晝は黄金のひげねぶる
佐藤喜孝
あを
200611
安らかにうまおひが居る手の平に
芝尚子
あを
200611
馬追や紙コップに注ぐ球磨焼酎
浜口高子
火星
200612
馬追と言はれてみればさうかとも
稲畑汀子
ホトトギス
200709
馬追や明日わたすべき稿の上
鷹羽狩行
狩
200710
馬追や夜どほし灯る救急口
平田紀美子
風土
200711
開きたる傘を馬追飛び出せり
榎本文代
万象
200712
馬追の声の天井より来る
飛高隆夫
万象
200712
馬追のとぼけし貌を本の上
五十嵐光郎
狩
200712
馬追やいよよ佳境に三国志
朝妻力
雲の峰
200810
しんがりは叱られ役のスイツチヨ
山中志津子
京鹿子
200812
馬追の闇に父あり母のあり
坂本丹荘
遠嶺
200812
馬追のひげの触れたる墨のいろ
八染藍子
狩
200901
馬追の長押に鳴ける山の家
滝沢伊代次
万象
200909
馬追や足入婚といふがあり
白数康弘
火星
200912
馬追の髭をまはして風受くる
赤堀洋子
万象
200912
広縁に馬追の来て鳴きにけり
藤井美晴
やぶれ傘
201001
馬追の翅透きとほる彌陀の燭
松本幹雄
馬醉木
201011
馬追の村原発の夏嵐
前田美恵子
槐
201108
馬追を捕へてよりの一騒ぎ
大石よし子
雨月
201112
馬追の背丈越しゆく脚長し
岡田愛子
京鹿子
201112
馬追を手の隙間より見せてをり
秋千晴
空
201201
馬追を殺生したり水こぼし
瀬川公馨
槐
201201
馬追に女鍋釜ひからせる
丸山佳子
京鹿子
201210
馬追や宵の玻璃戸に影写し
加瀬伸子
末黒野
201211
どこからか馬追の来て家族の灯
大畑善昭
沖
201212
馬追ひの声を聞きつぐ夜なりけり
白石正躬
やぶれ傘
201302
馬追の仁王立ちとは後ろ向き
柳本渓光
ろんど
201312
馬追の月の畳に落ちし音
田中文治
火星
201401
馬追や西行堂は礎石のみ
山田春生
万象
201412
馬追ひの影ひえびえとしたがへり
木下夕爾
春燈
201508
馬追の風立ちそめて鳴きにけり
下平しづ子
雨月
201609
馬追の灯火に髭を振れるかな
水谷文謝子
雨月
201611
馬追の頭を固く現はるる
柴田佐知子
空
201701
お城まで馬追の径萩の径
浜崎素粒子
ホトトギス
201704
馬追の過つてゐたる奥座敷
加藤みき
槐
201811
馬追の飛び損ねたる広辞苑
山田健太
風土
201811
馬追や月をよこぎる萩一枝
水原秋櫻子
馬醉木
201909
一匹の馬追けふの客とする
森なほ子
あを
202011
馬追は精密機械かもしれぬ
森なほ子
あを
202101
馬追を見る手囲ひの隙間より
秋千晴
空
202112
2023年9月16日
作成