落ちさうで落ちぬところに露の玉
高橋将夫
槐
201002
律さんにふと会へさうな露の路地
内藤呈念
ホトトギス
201002
露おりし庭ふくらんでゐたりけり
小林朱夏
空
201002
露の世の人を渡して橋いくつ
岩垣子鹿
ホトトギス
201002
露巻き込みし甘藍の巻きはじめ
山本耀子
火星
201002
義兄の遺書義弟の遺書露しとど
千坂美津恵
苑
201002
竹林に選び切り出す露の朝
酒井湧甫
笹
201002
朝露のごとくに満ちて来るもの
岩岡中正
ホトトギス
201002
比叡といふ大きな露の中にあり
早川水鳥
ホトトギス
201003
露凝るやヒマラヤ杉に無数の目
篠原幸子
春燈
201003
戦艦は沈みドックは露の世を
大久保白村
ホトトギス
201004
露の世の道灌山の子規と虚子
木村享史
ホトトギス
201004
限りなき快晴を呼ぶ草の露
稲畑汀子
ホトトギス
201008
朝露の宝石纏ひレタスかな
内田和子
酸漿
201008
稜線を引く全景の露の富士
稲畑汀子
ホトトギス
201009
蕗の葉の露さざめけるあしたかな
久永つう
六花
201009
タイガースフアンてふ露の世の私
稲畑廣太郎
ホトトギス
201009
とどまらぬ露をこぼしてゐる間
稲畑汀子
ホトトギス
201009
朝露のしとど干ぬ間に夕べ来し
稲畑汀子
ホトトギス
201009
露団団風力発電翼休む
定梶じょう
あを柳
201010
朝露や犬が掘り出す鉄かぶと
大湾宗弘
万象
201010
横川路の露踏み重ね五十年
稲畑汀子
ホトトギス
201010
表札は宇涯の遺墨夜露降る
能村研三
沖
201010
明星の零してゆきし芋の露
伊藤憲子
璦
201010
草いきれむんむん満つる露の世に
谷岡尚美
槐
201010
師の墓に十歩離れて芋の露
神蔵器
風土
201011
ひかり合ふ露や晨の鐘流れ
松本幹雄
馬醉木
201011
集合も離散もままに芋の露
森岡正作
沖
201011
蓮の葉の露を廻してあそびけり
中田みなみ
空
201011
露の夜の空はまあるくひろがれり
松嶋一洋
峰
201011
露を発つあの世に登四郎先生ゐて
大畑善昭
沖
201011
露霜の光るはほどけゆく力
稲畑汀子
ホトトギス
201011
しをりなき野路の露めく石仏
豊田都峰
京鹿子
201011
緒をしかと露の黄泉路へ発つ草鞋
大畑善昭
沖
201011
そよ風の統べてゐるなり芋の露
鳳蛮華
空
201011
水巡る側の神も露の世も
望月木綿子
沖
201011
朝露や乳をくれたる人へ粥
篠田純子
あを
201011
星一つ転がり落とす芋の露
根岸善行
風土
201012
露の地へ渡す艀の歩み板
川端俊雄
火星
201012
露降りて虫の音いよよ透き通る
田所節子
沖
201012
宿の灯に露を踏み来し靴いくつ
松田泰子
末黒野
201012
残る夜は思惟か典雅か露の玉
服部郁史
京鹿子
201012
搾乳の灯に浮かみたる露の玉
蘭定かず子
火星
201012
綾子忌や雀の散らす萩の露
鎌須賀礼子
万象
201012
雨つぶに朝露重ね送盆
井田実代子
雨月
201012
愛しみは果実にも似て草の露
織田高暢
空
201012
曇りても露かがやけり一周忌
坂上香菜
璦
201012
猫の鼻面くすぐつてをる露の玉
瀬川公馨
槐
201012
市の立つ石畳に露しとどかな
山田六甲
六花
201012
母の黙夜露したたり始めたり
久津見風牛
槐
201012
露じめる土踏みしめて吾が身を鼓舞
山田をがたま
京鹿子
201012
露にこゑ歴代先師おろがめば
大畑善昭
沖
201012
露の秋名物和尚臥せゐると
山本漾子
雨月
201012
露の中に一人と思ふ夜
山田佳乃
ホトトギス
201012
露宿す水栽培の八頭
根岸善行
風土
201012
露眩しけふ勝縁の一会あり
大畑善昭
沖
201012
序章かなほとけ道指す露しるべ
鈴鹿仁
京鹿子
201012
小閑や露を宿せる草を引く
小川玉泉
末黒野
201012
屈伸の指露冷えの土に触れ
和田満水
沖
201012
草ぐさの露に宿るや利根の月
鎌須賀礼子
万象
201012
鳥翔ちて音の残れり露葎
渡真利真澄
万象
201012
十字架も処どころに露の墓地
木野裕美
ぐろっけ
201101
山上は露結びたる日の出かな
大島英昭
やぶれ傘
201101
渡し場の名残り留むる露の石
中村碧泉
ぐろっけ
201101
朝露を拭はれリフト動き初む
石川友江
風土
201101
ひと声の別れもなくて露の旅
竹下昭子
ぐろっけ
201101
放ちやる犬のあとさき草の露
野口喜久子
ぐろっけ
201101
露葎駆け来る小犬胴震ひ
木野裕美
ぐろっけ
201101
目を凝らし未明の富士や露葎
鈴木照子
璦
201101
露時雨もう一度呼ぶちよさんと
吉田政江
沖
201101
露湿る石段幾度上り下り
中島霞
ぐろっけ
201101
露宿しをり公園の忘れ杖
木野裕美
ぐろっけ
201101
露踏みて一の鳥居をくぐりけり
松田明子
空
201101
貂馳せて木々百千の露顫ふ
岡田貞峰
馬醉木
201101
松の露先生本ができました
加藤みき
槐
201101
草の丈均す朝露まとふたび
森屋慶基
風土
201101
朝まだき露の言葉を撚り合はせ
辻本俊子
京鹿子
201101
朝露に宿る日の色草の色
及川照子
末黒野
201101
朝露を踏んで数奇屋へ熨斗袋
中島陽華
槐
201101
露の世の大会知事も高僧も
千原叡子
ホトトギス
201102
葉の先に生れし露のこぼれたる
高橋将夫
槐
201102
宝玉の朝露を置く蜘蛛の糸‘
田村幸子
璦
201102
目を凝らす未明の富士や露葎
鈴木照子
苑
201102
露しぐれ波長の合はぬふたりかな
倉持梨恵
鴫
201102
剪定をして露はなり百舌の贄
年森恭子
ぐろっけ
201102
鍬箆を打ち一山の露こぼす
守屋井蛙
酸漿
201102
朝露の消ゆるはかなさ順不同
中本吉信
璦
201102
朝露の煌きながら消えにけり
川崎光一郎
京鹿子
201102
長者森守る桐とや露じめる
刀禰小勇
ホトトギス
201102
露の身のホ句にさすらひ七十年
竹下陶子
ホトトギス
201103
初露の煌めくために丸く丸く
湯川雅
ホトトギス
201103
朝露の光を放つ冬菜畑
内田和子
酸漿
201103
猫戻りきて朝露を払ひけり
有賀昌子
やぶれ傘
201104
露の玉手水の杓をころがれり
有賀昌子
やぶれ傘
201104
朝露を川中島に踏みしだく
大久保白村
ホトトギス
201104
踏み込めばしたたか濡らす夏の露
布川直幸
峰
201107
みよし野の露踏み分けて問ふことも
稲畑汀子
ホトトギス
201108
もう少し露に濡れつつ偲びつつ
稲畑汀子
ホトトギス
201108
一幡に露のひびけり著莪の花
神蔵器
風土
201108
虚子恋うて露の干ぬ間の散歩道
稲畑汀子
ホトトギス
201108
2021年11月11日
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