芋の露両手にうくる女の子
白石正躬
やぶれ傘
201012
芋の露集むグラスの日の透けり
山本無蓋
鴫
201012
芋の露ころと蛇笏の空うごく
熊川暁子
槐
201101
さやけしや甘き香りの玉露汲む
村井一之
末黒野
201101
雨上る雫菫の露ならむ
河野美奇
ホトトギス
201108
虚子恋うて露の干ぬ間の散歩道
稲畑汀子
ホトトギス
201108
金剛の花の露おく葎かな
長山あや
ホトトギス
201108
えにしとは露の邂逅なる小諸
稲畑汀子
ホトトギス
201108
快晴やたちまち乾く草の露
稲畑汀子
ホトトギス
201109
ふる岩に露を点せり賀茂葵
安田一郎
京鹿子
201109
昨日とは違ふ顔して露の我
稲畑廣太郎
ホトトギス
201109
俳壇の露の歴史を語らばや
稲畑汀子
ホトトギス
201109
山国の露踏み分けて来し懐古
稲畑汀子
ホトトギス
201109
快晴の明かしの露を踏みて旅
稲畑汀子
ホトトギス
201109
露の世を駆け巡りたる訃報かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
201109
露深き大地に暁けの星残る
稲畑汀子
ホトトギス
201109
吸ひ込まれさうな静けさ露葎
稲畑汀子
ホトトギス
201109
露ごめの大和三山桐の花
河合とき
末黒野
201109
朝露の風に触れゆくまでの黙
稲畑廣太郎
ホトトギス
201109
露の門潜りて親し幻住庵
稲畑廣太郎
ホトトギス
201110
半世紀横川の露を踏み分けて
稲畑汀子
ホトトギス
201110
武蔵野の露の旧道辿りけり
中島玉五郎
峰
201110
露ころんごろん山河を傾かせ
布川直幸
峰
201110
露の灯の信貴山縁起絵巻かな
武井美代子
万象
201110
うつそりと凶事続きや露月夜
井上信子
鴫
201111
露を踏む跫音に晴れてきし湖畔
熊岡俊子
雨月
201111
明けの星自在に露をくばりゐる
豊田都峰
京鹿子
201111
麻裏の底の重たし今朝の露
山口キミコ
璦
201111
芋の露落ちて大地の湿りたる
高倉和子
空
201111
芋の露実朝の歌ひびきけり
神蔵器
風土
201111
芋の葉の露ころばせて風遊ぶ
丹生をだまき
京鹿子
201111
芋の葉の思ひそれぞれ露明り
西川春子
春燈
201111
乳牛のまだ来てをらぬ露の牧
和田森早苗
璦
201111
露こぼれ月日はなべてひと色に
豊田都峰
京鹿子
201111
親にまた庇はるる身や露しとど
?コ田千鶴子
花の翼
201111
正に露の世賀律子の訃報唯悲し
大橋敦子
雨月
201111
見てゐたる露にしばらく籠りけり
柴田佐知子
空
201111
口笛の先に柴犬露葎
石川かおり
璦
201111
露踏めり大地の匂ひ拡げつつ
松木ひろ
ろんど
201112
墓開きの案内届きぬ露の秋
高橋照子
雨月
201112
根の国の石を包める苔に露
山田六甲
六花
201112
黒犬の身を震はせて露はらふ
和田森早苗
璦
201112
芋の露遊び飽きたるかに散りぬ
田所洋子
雨月
201112
草露に靴を濡らして歩みけり
ことり
六花
201112
わが軒の名もなき草に朝の露
廣瀬義一
雨月
201112
合掌はこころの証し露ひかる
鈴鹿仁
京鹿子
201112
奈良町は坂より古ぶ露の玉
松井倫子
火星
201112
死化粧の孫は十八露の秋
博多永楽
雨月
201112
草の露一乾坤を風に堪ふ
荒木甫
鴫
201112
草の露踏んで古墳を訪ねけり
平居澪子
六花
201112
朝露の畦に炎の立ちあがり
坂口夫佐子
火星
201112
朝露や爪革浅き利休下駄
山路紀子
風土
201112
露びつしりと置き去りのオートバイ
上谷昌憲
沖
201201
露あまた負ふ一草の悼みかな
豊田都峰
京鹿子
201201
歳月は魔法のごとし露の玉
村上絢子
馬醉木
201201
朝露を腓に今日の一歩踏む
近藤きくえ
槐
201201
一切の音断ち露の籠堂
古賀しぐれ
ホトトギス
201201
今日蛇笏明日は素十忌露葎
岩木茂
風土
201201
山鳩の声のぬけゆく露の径
松田泰子
末黒野
201201
蔓引きて枝ごとの露浴びにけり
大橋伊佐子
末黒野
201201
露の石踏んで弥勒にまみえけり
宇都宮敦子
鴫
201201
露を舐め手の濡れ払ふ朝の猫
坊野貴代美
ぐろっけ
201201
せせらぎやくるぶし濡らす草の露
内田三郎
末黒野
201201
身のぬちに露しづくして拝仏す
豊田都峰
京鹿子
201201
草の露にくるぶし濡らす湖畔道
大橋伊佐子
末黒野
201201
大雨に停車長引く露の旅
安原葉
ホトトギス
201201
狐狸庵に露の草鞋をぬぎ捨てて
瀬川公馨
槐
201201
露の身の多忙さに救はるること
千原叡子
ホトトギス
201202
一粒の露に結びし草の色
山田佳乃
ホトトギス
201202
肉落ちの野雉子の行けり露の原
井上信子
鴫
201202
ささやけば片葉の葦の露まろぶ
風間史子
鴫
201202
露に濡れ風音にぬれ旅二日
河野美奇
ホトトギス
201202
露の世に四半世紀の句縁かな
内藤呈念
ホトトギス
201202
草の道いつしか露の径となる
今橋眞理子
ホトトギス
201202
朝の露さつと落して登校児
筒井八重子
六花
201202
吊橋を渡り裏山露葎
森幸
雨月
201202
露の世や先日会ひしばかりの訃
安原葉
ホトトギス
201203
日々は露の間なりし去年今年
中野京子
槐
201203
又してもとどきし訃音露の秋
安原葉
ホトトギス
201203
露の世の二人きりとは汝と我
木村享史
ホトトギス
201203
業平の露の古塚胸穿つ
佐藤喜仙
かさね
201203
菰巻きの露のしめりや茶筅塚
赤松郁代
万象
201203
露凝るや馬の身幅の宇津峠
淺場英彦
万象
201204
露の世を灯してバースデーケーキ
木暮陶句郎
ホトトギス
201204
捨石の苔の滑らか露微塵
岡野里子
末黒野
201204
のぞかれてかしこまりたる芋の露
亀井紀子
空
201205
落ちぎはの露にひびいてチェロの艶
鳥居おさむ
万華鏡
201206
千代尼塚へ露の枝折戸開きけり
井村和子
風花
201206
朝の日に草葉の露の大いさよ
小林愛子
辻楽師
201206
蓮の露しろがねくがねみづかねに
佐藤喜孝
あを
201207
露の世の道を教へて頂きし
稻畑汀子
ホトトギス
201207
断屑を神威としたる露やしろ
鳥居おさむ
鳥居おさむの、背骨。
201207
蜘蛛の囲の朝露含みきらめけり
橋本修平
かさね
201208
一雨のありしと聞きぬ露の朝
稲畑汀子
ホトトギス
201208
風いま吹き渡りけり露の磴
稲畑汀子
ホトトギス
201208
松露掻く松喰ひの木の赤リボン
稲山忠利
ぐろっけ
201208
竹皮を脱ぎしその身の露まみれ
坂口夫佐子
火星
201208
朝露に濡れし薔薇の香仄かなり
丸山酔宵子
かさね
201208
朝露の篠の子一滴文庫かな
田中佐知子
風土
201208
露の身を今日もアルコールで飛ばす
稲畑廣太郎
ホトトギス
201209
秘仏堂出できて露の浮葉かな
田中佐知子
風土
201209
麻裏の底の重たし今朝の露
山口キミコ
九十九島
201209
目の前に在せし露の思ひ出も
稲畑汀子
ホトトギス
201209
露の阿蘇旅路はるけくありしかな
稲畑汀子
ホトトギス
201209
その中の露一粒にある憂ひ
稲畑廣太郎
ホトトギス
201209
青山椒露をみどりに染めてをり
堀口香代子
ぐろっけ
201209
釣糸の餌は夜露よ西鶴忌
延広禎一
槐
201209
芋の露集めしことも遥かかな
高倉恵美子
空
201210
露しぐれ払うて疾駆の犬となり
布川直幸
峰
201210
犬吠えて竹林にはかに露しぐれ
布川直幸
峰
201210
草の露万霊覚むる四方静か
渕上千津
沖
201211
一つ一つこの世を映し露の玉
雨村敏子
槐
201211
芋の葉にころがる露の銀メダル
塩路隆子
璦
201211
音絶えて灯いくつ露無辺
水野恒彦
槐
201211
八十の齢数ふる朝の露
森谷達三
春燈
201211
牧の朝鼻紋を濡らす露葎
伊藤平八
末黒野
201211
夜露濃き畦を称名夜念仏
室伏みどり
雨月
201211
快晴とまでは言へずも露晴るる
稲畑汀子
ホトトギス
201211
露の玉歪みしままに葉より落つ
松田千枝
春燈
201211
露の世に至福の手紙残さるる
稲畑汀子
ホトトギス
201211
露の世の諸行無常と言ふ言葉
今村征一
ホトトギス
201211
露の世の道どこまでも途中なり
北川英子
沖
201211
よべの夢うつつか露の消ゆるほど
稲畑汀子
ホトトギス
201211
肩くまの児の眼つぶらに萩の露
鈴鹿仁
京鹿子
201211
見れば微笑む遺影の妣よ露の玉
町山公孝
沖
201211
クラブ振る朝露に裾濡らしつつ
安藤虎酔
かさね
201211
蟹の守る流人の墓や露葎
横山昭子
雨月
201212
こふの鳥の番仲好く露に濡れ
金山雅江
春燈
201212
謎多き石棺にして露しとど
平居澪子
六花
201212
東国よりもどり露の身となれり
高松由利子
火星
201212
三島由紀夫の「剣」の一文字露しとど
金山雅江
春燈
201212
賜りし弔句に涙露の秋
横山昭子
雨月
201212
縦走や鉄鎖に露のひとならび
山田春生
万象
201212
露の身の句に救はるるてふことも
古賀しぐれ
ホトトギス
201212
露の身の二十烈士の遺髪かな
北村淳子
ろんど
201212
露の身を連絡網の端に置く
山本無蓋
鴫
201212
露深し草履を濡らす草の径
池田節
春燈
201212
露明り郭沫若氏亡命居
渕上千津
沖
201212
足固めして登り行く露の原
野村鞆枝
京鹿子
201212
露の世のかたみに骨をのこしけり
長久保郁子
かさね
201301
一滴が男の子の宇宙芋の露
遠藤真砂明
沖
201301
芋の露払ひて風の通りけり
瀬島洒望
やぶれ傘
201301
悼む身の露のしづくのことばして
豊田都峰
京鹿子
201301
満天や星の匂ひの露の玉
近藤喜子
槐
201301
無花果の夜露のうちに熟しゆく
中根美保
風土
201301
雄鶏が鶏冠を揺らす露の玉
吉田葎
空
201301
重力に耐へて楕円や露の玉
稲岡長
ホトトギス
201301
貝割菜露の力を得たりけり
島谷征良
風土
201301
露の世に逆立ちをして砂時計
千田百里
沖
201301
露の世や二日繰上げ聖母祭
大久保白村
ホトトギス
201301
露踏んで公園のジャズフェスティバル
高橋道子
鴫
201301
露葎はや不夜城になつてゐし
加藤みき
槐
201301
系がれば露にまみれる悼みかな
豊田都峰
京鹿子
201301
大露や生後三月の眼の配り
田中貞雄
自註句集
201301
蜘蛛の巣に小さき眞珠や朝の露
米田文彦
かさね
201301
天籟とも妻の声とも芋の露
延広禎一
槐
201301
ノーベル賞の光あまねし露の世に
谷岡尚美
槐
201302
在すごと遺品を展べて露の家
森礼子
雨月
201302
面影はあの日のままに露しぐれ
鷺山珀眉
京鹿子
201302
露の野を行きてわが足跡もなし
岩岡中正
ホトトギス
201302
露時雨犬の身震ひしきりなり
白石正躬
やぶれ傘
201302
露踏んで人恋しさのやうなもの
岩岡中正
ホトトギス
201302
九十の母と夜露にのこされし
柴田佐知子
空
201302
大原女の露はこび来る童歌
熊川暁子
槐
201302
お茶掛は慈覚の筆や露の庵
竹内喜代子
雨月
201303
片品のキヤベツ一番露しとど
北村香朗
京鹿子
201303
露となりきらめく星のしづくかな
長山あや
ホトトギス
201303
結界の笹ひ叢の玉の露
神田恵琳
跫音
201303
朝露の大江戸発ちて小江戸へと
稲畑廣太郎
ホトトギス
201307
横川路の露しみじみと踏む日かな
稲畑汀子
ホトトギス
201310
八方に傾ぎあやふし芋の露
神蔵器
風土
201310
露つたふ嵯峨あかつきの竹の肌
丸山佳子
京鹿子
201310
二千余の本を手放し露の家
内藤静
風土
201311
抱き上ぐる小犬万朶の露まみれ
塩路隆子
璦
201311
十方へ走りて落ちず芋の露
神蔵器
風土
201311
露の身の足裏拭ひぬ詣あと
千田百里
沖
201311
孵化のごと露いつせいに煌めけり
青野安佐子
峰
201311
野にひろふ露のしるべのふたつみつ
豊田都峰
京鹿子
201312
二十年経し御社の露の屋根
久世孝雄
やぶれ傘
201312
ひとつぶの露青天を映しけり
長久保郁子
かさね
201312
踏むこめば露の音して影生る
鈴鹿仁
京鹿子
201312
奈良七重塔の礎石の露光る
堀井英子
雨月
201312
南無三宝敵も味方も露の墓
田伏博子
ろんど
201312
富士明けて裾野に万の露生れり
甕秀麿
鴫
201312
家々をつなぎて露の石畳
瀧春一
花石榴
201312
兵の声をむすびし露の玉
小野寺節子
風土
201312
旅立ちの露りんりんと光り合ふ
水野恒彦
槐
201312
露の世のはなやかに大朝日かな
遠藤真砂明
沖
201312
露の夜を纏ひて猫の帰りくる
辻美奈子
沖
201312
真つ青な揚羽の蛹露まみれ
瀧春一
花石榴
201312
朝露の道の夜露を戻りけり
田中文治
火星
201312
朝露を蹴散らしとべりきちきち飛蝗
早崎泰江
あを
201312
草の露払ひてザックおろしけり
白石正躬
やぶれ傘
201401
岩磴を螺旋に露の大手門
伊東和子
璦
201401
かしこみて天智天皇と芋の露
神蔵器
風土
201401
蓮の露落とさぬほどの風渡る
長憲一
空
201401
露の宿十月桜に迎へられ
塩田博久
風土
201401
陽を巻いて転がり上手芋の露
菅谷たけし
沖
201401
仏足石かこむ億万草の露
服部早苅
空
201401
露→13
2021年11月12日
作成