落 鮎 1 100
落鮎や日に日に水のおそろしき 千代女
鮎 香魚 錆鮎 落鮎
鮎落ちて奥へと山の凭れあふ
鷹羽狩行
狩
199811
簗を逃れし落鮎に早瀬待つ
鷹羽狩行
狩
199812
鮎落つる川とも見えて橋も壊え
能村登四郎
沖
199909
落鮎にふるべき塩を手に残す
能村登四郎
芒種
199911
鮎落つや堰にひろげし袋網
皆川盤水
春耕
199911
水嵩に落鮎簗を乗り越えし
稲岡長
ホトトギス
200003
落ち鮎といえど火の中踊る形
塩見恵介
虹の種
200005
簗壺へ鮎落ちてゆくとめどなし
池田草曷
雨月
200007
落鮎の釣人に合ふことも祝ぎ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200009
落鮎の背に青空のうつりけり
戸村よねこ
遠嶺
200012
落鮎の急いでゐたる日和かな
伊藤多恵子
火星
200012
落鮎や四万十川に簗を見ず
石本秋翠
馬醉木
200101
落鮎の川上の出雲閉ざす
宮津昭彦
濱
200101
落鮎の落ち尽しけり最上川
小野誠一
春耕
200101
落鮎のわらわらと水膨れけり
杉浦典子
火星
200102
落鮎の己が影抱き流れゆく
大串章一
百鳥
200111
落鮎や降下の鳶の足の中
山口秀子
酸漿
200111
落鮎の不揃ひを焼く炉を囲む
皆川盤水
春耕
200111
男根は落鮎のごと垂れにけり
金子兜太
海程
200112
落鮎を掬うて帰る橋の下
池崎るり子
六花
200112
焼きたての落鮎提げて父訪へり
平山節子
春耕
200112
鮎落ちてひろがるばかり磧石
蓮尾あきら
風土
200112
落鮎の渡しに架かる大き橋
赤池貴のえ
春耕
200201
腹の子を見せて落鮎焼かれあり
岡田芳子
ぐろっけ
200201
灯に跳ねて落鮎の紅まぎれなし
三村純也
ホトトギス
200202
落鮎のもてなしといふ案内状
稲畑汀子
ホトトギス
200210
由良川の水音高し鮎落つる
稲畑汀子
ホトトギス
200210
あいまいなてん末残し鮎落つる
宇都宮滴水
京鹿子
200210
落ち鮎の名を遂げ急ぐ金華山
宇都宮滴水
京鹿子
200211
落鮎や雲ことごとく入れ替はる
山尾玉藻
火星
200211
黄昏は水を呼ぶいろ鮎落ちぬ
佐藤よしい
風土
200211
落鮎の腹に夕べの月の色
山田三江子
沖
200212
落鮎に瀬音高まりきたりけり
笹山峰子
朝
200212
山の影落鮎の貌走りけり
大串章
百鳥
200212
不揃ひに落鮎らしさありにけり
福井鳳水
円虹
200301
鮎落つる日は雲おかぬ里の山
豊田都峰
京鹿子
200302
落鮎に子等転がつてをりにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200308
落鮎の宿の灯ともりそめし頃
稲畑汀子
ホトトギス
200310
落鮎の貌なき貌のならびけり
小澤克己
遠嶺
200310
落鮎の腹の小石を噛み当てぬ
浅川正
雲の峰
200311
もぢり漁の取材落鮎あまた入る
望月喜好
濱
200312
落鮎の酒に沈みて香りたつ
鎌倉喜久恵
あを
200312
落鮎や投網に卵零しつつ
北吉裕子
雲の峰
200312
岩鼻に狭まる千曲川鮎落つる
竹中龍青
濱
200312
鮎落ちて峡の夜長のはじまれり
藤井昌治
朝
200312
落鮎を食うべ一病癒ゆるかな
淵脇護
河鹿
200401
鮎落つる波の光や酒匂川
梅田秀子
酸漿
200401
岩鼻に狭まる千曲鮎落つる
竹中龍青
濱
200403
落鮎や釘箱の釘ちと錆びし
物江晴子
八千草
200405
落鮎の瀬に山影の濃き那須路
皆川盤水
雲の峰
200410
落鮎や平家の里は山向かう
鷹羽狩行
狩
200411
落鮎の水きらきらと老い知らず
蒔元一草
河鹿
200412
尾根からの風に吉野の鮎落ちる
酒井十八歩
草の花
200412
鮎落ちて煙草短く吸ふことも
田中英子
火星
200412
鮎落ちし闇に陶土を寝かせ置き
景山まり子
百鳥
200501
落鮎に虹のひといろありにけり
櫨木優子
狩
200502
落ち鮎の顔の険しくなりゆけり
大東由美子
火星
200510
鮎落つる時折流れより速し
今瀬剛一
対岸
200510
鮎落ちて淵あを青と残りけり
浜崎芙美子
対岸
200511
鮎落ちて軒より暮るる庵かな
安田とし子
ぐろっけ
200511
産土の山河寂ゆく鮎落ちて
瀬戸悠
風土
200511
落鮎の早瀬に一瞬きらめきし
三反田輝夫
河鹿
200601
落鮎の沖の月観るまなこかな
渡辺鮎太
沖
200601
しづけさや落鮎過ぎし瀬の磧
山田六甲
六花
200610
落鮎のさびしき影を追ひにけり
藤井昌治
朝
200611
鮎落ちて山影深く流しけり
三好千衣子
沖
200611
鮎落つる川ひとすぢに夕映えて
豊田都峰
京鹿子
200612
落鮎に罪あるごとし簗地獄
藤谷紫映
馬醉木
200701
鮎群れて落ち来るといふ川の雨
今井千鶴子
ホトトギス
200702
十六夜の月に落ちゆく鮎ならむ
今井千鶴子
ホトトギス
200702
落鮎の円陣組めるごと焼かれ
伊藤啓子
狩
200702
落鮎の化粧塩まで焦がしけり
石山民谷
遠嶺
200702
落鮎の姿に焼かれたる哀れ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200704
水歪むより落鮎の色となる
稲畑廣太郎
ホトトギス
200704
落鮎に航空母艦めく傾斜
稲畑廣太郎
ホトトギス
200710
落鮎の香り残して果てにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200710
落鮎の簗場寂れし奥三河
手島伸子
雨月
200711
落鮎の焼くるも楽し大蛇籠
森山のりこ
あを
200711
落鮎に添へて一筆釣自慢
伊藤百江
春燈
200712
戦なき山河を鮎の落ちにけり
遠藤和彦
遠嶺
200712
落鮎釣早瀬に脚を取らるなよ
玉置かよ子
雨月
200712
落鮎死す汀に竹生島見ゆる
萩谷幸子
雨月
200712
鮎落ちて曲なす川の残りけり
片山由美子
狩
200802
鳶高く舞ひ落鮎の瀬となりぬ
朝妻力
雲の峰
200809
落鮎の己が香気の中に果つ
安立公彦
春燈
200812
鮎落ちて星のきらめく夜となれり
山田春生
万象
200812
落鮎の腹はち切れて焼き上がる
秋千晴
空
200902
鮎落ちて簗場に風の鳴るばかり
柴田良二
雨月
200902
落鮎の白子を当てに地酒酌む
赤座典子
あを
200909
腹の虫落鮎釣りに行くつもり
久津見風牛
槐
200910
投網打つ落暉落鮎もろともに
水谷洋子
十進法
200911
落ち鮎の息するたびに流さるる
木村公子
花貝母
200911
鮎落ちて村もろともに山河老ゆ
柴田佐知子
空
200911
鮎落ちて川いろ戻す余情とも
鈴鹿仁
京鹿子
200911
養殖の鮎ぞ落ち行く事もなし
高木智
京鹿子
200911
落鮎の跳ね止み大いなる眼玉
高木智
京鹿子
200911
落鮎の集まる湖岸葦そよぐ
増田一代
璦
200912
落鮎に川ゆっくりと曲りけり
松本三千夫
末黒野
200912
落鮎の一閃山は晴れ決めて
豊田都峰
京鹿子
200912
鮎落ちしまろき里山白日上ぐ
豊田都峰
京鹿子
200912
2023年5月13日
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