抓まれてゐる鬼の子の一張羅
飯塚ゑ子
火星
199812
鬼の子の登校拒否か蓑ごもる
檜紀代
狩
199901
鬼の子や風を育ての親として
鈴木美枝
酸漿
200001
鬼の子の人のふりみて蓑隠れ
鈴鹿百合子
京鹿子
200001
鬼の子の授業を覗き込むごとく
木下仁司
狩
200002
鬼の子となりてもよけれ柿紅葉
星野早苗
空のさえずる
200002
鬼の子やうしろの正面私かも
鳥羽夕摩
京鹿子
200003
鬼の子に夜の湿りとなりにけり
田畑幸子
火星
200011
鬼の子の引つかかりゐるランドセル
伊藤多恵子
火星
200012
什襲の趣味覺えたる鬼の子よ
中原道夫
銀化
200012
鬼の子が背伸びで覗く雛の家
今城知子
船団
200102
鬼の子が夕日の芯に当たりたる
小林あつ子
火星
200104
鬼の子に僅か日当たる朝餉かな
大村孝
百鳥
200201
星の息縒りて糸とす鬼の子は
堀川夏子
銀化
200202
鬼の子が框にすがる釣月菴
品川鈴子
ぐろっけ
200210
鬼の子の浄土の風にひと眠り
鈴鹿仁
京鹿子
200310
鬼の子や巨木のもやふ大師堂
柴田由乃
風土
200311
鬼の子の鬼ともならず糸に揺る
塩川雄三
築港
200311
鬼の子のなかなか強き衣かな
加藤みき
槐
200311
蓑ふかく着て鬼の子のちちこひし
富川明子
沖
200312
鬼の子に風の重さのありにけり
高橋澄子
鴫
200312
鬼の子の貌出してゐる昼下り
青山悠
空
200312
鬼の子はみな風の子となつて揺れ
岬雪夫
狩
200403
立春大吉鬼の子の動きけり
谷山桃村
草の花
200403
枡掛の掌に鬼の子の垂れて来し
延広禎一
槐
200412
鬼の子の睡りにつきし桜の木
雨村敏子
槐
200412
海を見るほかはなき鬼の子下がりけり
平田紀美子
風土
200412
鬼の子のひがな一日糸電話
星加克己
ぐろっけ
200412
鬼の子に聞かせてみたい詩もあり
瀬下るか
鴫
200501
蓑のなき鬼の子吹かる古戦場
大坪景章
万象
200501
鬼の子の遊ぶ視界の鬼瓦
玉川悠
遠嶺
200501
鬼の子よ父よぶ声を教へよや
窪田佳津子
雨月
200502
鬼の子の知恵を絞つてをりにけり
高橋将夫
星の渦
200507
最澄の山鬼の子に迎へられ
大島翠木
槐
200511
ひとつぶの雨に鬼の子驚愕す
ほんだゆき
馬醉木
200512
鬼の子に武士の性あり天守閣
横松しげる
遠嶺
200601
鬼の子やぶらりと生きる知恵のあり
江口雅子
百鳥
200601
鬼の子の外へ出たさの目が覗く
足立典子
雨月
200601
鬼の子の人の世覗く木の間かな
宮島宏子
沖
200612
「子を取ろ」の子を羨しとも鬼の子は
荻野嘉代子
春燈
200612
鬼の子の大甕の中出入りす
植木戴子
槐
200612
鬼の子もそっと覗けりモルト倉
金山藤之助
苑
200701
鬼の子の宙返りせり着地せず
吉田明子
鴫
200701
塀の上鬼の子蓑をかつぎゆく
門伝史会
風土
200701
観音の袖に鬼の子揺れてをり
阿部悦子
酸漿
200710
鬼の子の潮さぶる顔出しゐたり
山尾玉藻
火星
200711
鬼の子のあしたの雨に痩せてゐし
蘭定かず子
火星
200711
鬼の子と呼ばれ一糸の虚と実と
鈴鹿仁
京鹿子
200711
鬼の子の石の鳥居に縋りをり
西野愁草子
濱
200711
鬼の子の夜な夜な出会ふ松のこゑ
加藤みき
槐
200711
谿深く胡鬼の子に遇ふ旅路かな
熊岡俊子
雨月
200712
鬼の子の外界窺ふ夕日中
高柳ちゑ
遠嶺
200801
鬼の子も吹かれてゐるや十団子
浅田光代
風土
200801
鬼がゐて鬼の子がゐて春の月
柴田佐知子
空
200806
鬼の子も来よと火を焚く春祭
柴田佐知子
空
200807
鬼の子のゆらゆら時を刻みをる
近藤公子
槐
200811
鬼の子を弾けば傾ぐ峠道
上原重一
峰
200812
鬼の子の空気を読んでをりしかな
柳川晋
槐
200901
鬼の子にあたたかな月上りけり
城孝子
火星
200902
鬼の子の顔だす空の明る過ぎ
笠置早苗
火星
200902
鬼の子を押し出す遊び囃しては
中条さゆり
空
200903
鬼の子に一茶の里を尋ねけり
遠藤和彦
遠嶺
200904
木の股に鬼の子垂るる南無三宝
延広禎一
槐
200911
鬼の子のきりきり舞を見てゐたり
水上陽三
沖
200912
鬼の子の火の見櫓をのぼりをり
乗鞍三彦
春燈
200912
鬼の子の風に揺らるる遊びかな
川崎光一郎
京鹿子
200912
鬼の子の見事に並ぶ枝のあり
中村しげ
酸漿
200912
鬼の子の蓑の青さも吊りてをり
中村しげ
酸漿
200912
鬼の子の己が力の限り生く
中村しげ
酸漿
200912
鬼の子に追伸長き母の文
浅田光代
風土
201001
鬼の子に人の子に冬来りけり
上原恒子
雨月
201001
鬼の子の吹かるる音に耳澄ます
雨宮敏子
槐
201012
玄黄の間に鬼の子下りけり
本多俊子
槐
201012
胞衣笑ひ響きて鬼の子が一つ
柳川晋
槐
201012
鬼の子を見たし子等はいじめつ子
東秋茄子
京鹿子
201012
鬼の子の目玉うるうる蓑を出で
小林正史
鴫
201012
鬼の子や火の粉をかぶる薪能
中村洋子
風土
201012
野分晴小楢鬼の子零さざる
三谷道子
万象
201101
鬼の子の糸一本に不安なし
高橋将夫
槐
201102
鬼の子にあしたの天気聞いてをる
宇田喜美栄
槐
201102
鬼の子の簑つややかに晴るる雨
永田二三子
酸漿
201102
鬼の子や寺苑に人の影あらず
小川玉泉
末黒野
201103
鬼の子のちちと嘆きて母遠し
和田照海
京鹿子
201111
鬼の子の風吹くままに遊びをり
田中浅子
璦
201112
鬼の子の頭出かかる午後三時
池田光子
風土
201112
鬼の子は雲梯好きな児に見られ
粟倉昌子
璦
201201
鬼の子の不届きな沙汰陣屋裏
鈴鹿均
京鹿子
201201
鬼の子の風のなき日は眠りづめ
菅谷たけし
沖
201201
鬼の子にかぼちやランタン灯りぬ
山田美恵子
火星
201201
鬼の子の簑を抜け出す閻魔堂
延広禎一
槐
201202
鬼の子のひとり遊びを風あやす
田所節子
沖
201202
鬼の子のオーダーメードらしき蓑
秋葉雅治
沖
201212
大日や摩耶と阿修羅と鬼の子と
柳川晋
槐
201301
賤衣なる鬼の子泣くや泣かずとも
天野みゆき
風土
201301
鬼の子の風に揺るるは眠るため
高橋将夫
槐
201302
鬼の子の垂るるもうすぐ夕ごはん
田岡千章
空
201303
鬼の子は蓑仮縫ひのまま遊ぶ
久染康子
沖
201411
鬼の子はさらつてゆかぬ鬼子母神
高橋将夫
槐
201411
鬼の子の宇宙をめざす宇宙服
佐々木紗知
京鹿子
201411
鬼の子に風のしがらみ生れにけり
栗原完爾
春燈
201412
鬼の子は変身人は脱皮する
江島照美
槐
201412
南山に生れし鬼の子如意岳
中島陽華
槐
201412
鬼の子の裸で下がる午後の日よ
大坪景章
万象
201412
鬼の子のときに船外活動も
甕秀磨
鴫
201412
鬼の子に声をそろへる友のなし
宮崎高根
鴫
201501
台風来るぞ来るぞ鬼の子宙ぶらりん
浜口高子
火星
201501
鬼の子をあやすほどなる風が吹く
内藤静
風土
201501
鬼の子の国あるごとく集まれる
大坪景章
万象
201501
鬼の子の夜な夜な俏しゐたりけり
加藤みさ
槐
201501
鬼の子やつまずくばかり鞍馬越
中田禎子
槐
201501
鬼の子の風にも敏き平家谷
和田照海
京鹿子
201501
鬼の子や柑橘類の衣着て
西村しげ子
雨月
201502
鬼の子の頑張らないと飛ばさるる
辻美奈子
沖
201502
鬼の子に鬼も友だち雪こんこ
すずき巴里
ろんど
201505
鬼の子の蓑脱いでゐる日のありや
阿部重夫
末黒野
201512
鬼の子をあやすほどなる風が吹く
内藤静
風土
201512
父を待つ鬼の子貌を出す門扉
中山皓雪
鴫
201601
鬼の子は地に近きまで西郷窟
田中道江
万象
201602
木魚叩けば鬼の子が貌を出す
天谷翔子
空
201602
鬼の子や蓑を着替へる事もなし
久保東海司
槐
201610
鬼の子へ風はララバイよう寝るばい
井上石動
あを
201610
一すぢの糸に世渡り鬼の子は
丸尾和子
雨月
201701
鬼の子となり天界と結ばれむ
有松洋子
槐
201701
鬼の子の揺れゐる鯉の波のうへ
南うみを
風土
201701
鬼の子の黒眼虚ろに雲を追ひ
山口ひろよ
鴫
201701
鬼の子に着せようパステル色の蓑
火箱ひろ
船団
201707
鬼の子の良い子ぶるのは表向き
鈴鹿呂仁
京鹿子
201711
鬼の子へやさしき風の吹く日かな
小森泰子
馬醉木
201712
鬼の子やお履きくださいスリッパを
たかはしすなお
瓔
201712
ズームするレンズに鬼の子のひとつ
安藤久美子
やぶれ傘
201711
鬼の子や流離ごころの風の中
高木邦雄
末黒野
201804
鬼の子の気ままな一人遊びかな
及川照子
末黒野
201804
鬼の子に声を掛くれば揺れにけり
戸栗末廣
空
201803
鬼の子の半畳の空會津墓
鈴鹿呂仁
京鹿子
201812
弟の家にぶらぶら鬼の子は
火箱ひろ
瓔
201812
鬼の子のあはれをききに蓑虫庵
小林文良
春燈
201812
鬼の子揺るる八百年の木々
間島あきら
風土
201901
鬼の子やうれしき時は空をみる
本多俊子
槐
201902
鬼の子の難民申請断はられ
柳川晋
槐
201902
鬼の子の顔を出したる日和かな
西村安子
京鹿子
201903
母さんはどこと鬼の子揺れてをり
天谷翔子
空
201905
身の丈の縮みし吾と鬼の子と
笹村政子
六花
201911
鬼の子の鳴いて保身の糸揺らす
鈴鹿呂仁
京鹿子
201911
鬼の子の貌出しこの世窺ふか
丸尾和子
雨月
201911
鬼の子や風に転がる細れ石
鈴鹿呂仁
京鹿子
201912
鬼の子に学ぶ空気を読む力
栗原公子
沖
202001
鬼の子の揺れて遠くへ飛ぶつもり
佐藤恭子
あを
202002
鬼の子に吹きつさらしの宵の来る
荒井一代
鴻
202002
鬼の子にうおんうおんと瀧の音
増成栗人
鴻
202002
鬼の子の遊び足らざる夕日かな
能勢俊子
馬醉木
202002
鬼の子が自転車でくる春の宵
火箱ひろ
瓔
202006
鬼の子に吹きつさらしの宵の来る
荒井一代
鴻
202007
横やりは風のきまぐれ鬼の子鳴く
鈴鹿呂仁
京鹿子
202011
鬼の子のふらり父親参観日
小林陽子
沖
202101
鬼の子や乖離の民を拾ふ街
鈴鹿呂仁
京鹿子
202111
自由欲りしか鬼の子の揺れやまず
栗原公子
沖
202212
2023年9月6日
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