踊1 98句
踊子やひとりひとりの親ごゝろ 舎羅 蕉門名家句集
歯一枚失せて果てたる踊下駄
山田弘子
春節
199503
踊りたる夜のつまりゐる旅荷解く
山田弘子
春節
199503
ひそと見に来てゐし踊浴衣かな
稲畑汀子
ホトトギス
199808
歯のとれしことに気づかず踊下駄
稲畑汀子
ホトトギス
199808
はみ出して踊笠とはあきらかに
稲畑汀子
ホトトギス
199808
踊下駄より地のほめきまとひ来し
稲畑汀子
ホトトギス
199808
光秀の善政称ふ踊唄
西田円史
円虹
199809
踊好き踊浴衣も棺に入れ
長浜好子
円虹
199810
踊の輪足もとくらくめぐりけり
宮津昭彦
濱
199810
帰り支度しつつ踊りにゆく話
野沢しの武
風土
199811
皿鳴らすのんのこ踊り秋夜惜し
能村登四郎
沖
199811
リア王は菜ノ花畑に踊ってる
寒野紗也
船団
199811
退りつつ進んでをりぬ踊の輪
田中暁
狩
199812
かかし踊り一番列車送り出す
金子里美
船団
199812
見送りの踊り子ひとり大欠伸
金子里美
船団
199812
ローマの灯の菊の名抱き踊りけり
望月美子
遠嶺
199902
旧姓で呼び止められて踊りの輪
朝日彩湖
船団
199902
踊りの輪湖賊の裔も紛れけり
土橋柚花
船団
199903
山国の踊ぞめきの端にをり
稲畑汀子
ホトトギス
199907
だんだんと踊整ひつつありぬ
稲畑廣太郎
ホトトギス
199907
よく睡りたるは踊の旅の夜
稲畑汀子
ホトトギス
199908
踊笠入れる大きな旅鞄
稲畑汀子
ホトトギス
199908
旅衣踊浴衣と入れ替ふる
稲畑汀子
ホトトギス
199908
旅疲れ踊疲れといふまじく
稲畑汀子
ホトトギス
199908
まだ踊る気分残りてをりし帰路
稲畑汀子
ホトトギス
199908
踊り来しきほひをさめし家居かな
稲畑汀子
ホトトギス
199908
リズム今プレストとなり踊の輪
稲畑廣太郎
ホトトギス
199908
今生の踊に傘寿祝がれけり
松崎鉄之介
濱
199908
踊の輪尚盛り上げる盆太鼓
原静寿
酸漿
199909
花びらの散りゆくごとし踊果て
菰田晶
狩
199910
一人にておかめひよつとこ踊るかな
小澤克己
遠嶺
199910
カーブ切る度に近づく踊唄
田畑幸子
火星
199910
ひと廻りして踊る手のやや馴れし
能村登四郎
沖
199910
鹿踊りしては笛吹く男かな
竹内悦子
槐
199911
海へ月踊太鼓に乗つて出る
川島真砂夫
沖
199911
踊あと裸電球面こぼす
川島真砂夫
沖
199911
夜が更けて艶笑まじる踊唄
鎌田亮
沖
199911
裏方も締めの踊に加はりぬ
小松志づ子
沖
199911
昨夜の雨宿に干さるる踊下駄
関口昌代
濱
199911
亡き夫人の縫ひし浴衣で師の踊る
関口昌代
濱
199911
旅に出て祭り踊りにとびこめり
木部老正盛
澪
199911
踊り見にバス駅々に人集め
林田加杜子
いろり
199911
踊り子の列美しく町流す
林田加杜子
いろり
199911
灯の下に優雅に踊る女人かな
林田加杜子
いろり
199911
踊りかな着き男女の手の細き
林田加杜子
いろり
199911
菅笠にかくす男女の踊りかな
林田加杜子
いろり
199911
踊り子や休む灯りのはなやぎて
林田加杜子
いろり
199911
露の道踊りに酔ひてゐたりけり
林田加杜子
いろり
199911
も一人の我を踊の中に見つ
能村登四郎
芒種
199911
少年の鉦となりゐし踊かな
深澤鱶
火星
199912
シヴァ神の影となりゆく踊りかな
栗栖恵通子
槐
199912
かくも人は鹿と睦みし鹿踊
林翔
沖
199912
歩き来し歩巾で入れり踊の輪
松崎鉄之介
濱
199912
磨墨の出でたる里で踊りけり
松崎鉄之介
濱
199912
踊りけり旅の夜長のカンツォーネ
上原瑞子
濱
199912
プロも居て旅人も居て踊の輪
稲畑廣太郎
廣太郎句集
199912
踊り歌替る間に帶直す
坂口三保子
ぐろっけ
199912
鼓川瀬音湧きくる踊かな
田中藤穂
水瓶座
200002
何が哀しいおわら踊は下向いて
田中藤穂
水瓶座
200002
黄落の中なる三味師も踊子も
坂井まさき
六花
200003
がに股の男踊りの名手かな
杉貞介
狩
200008
踊唄きこえて家事の捗りぬ
小菅暢子
沖
200009
誘はれて孫も入れり踊の輪
冨田志げ子
酸漿
200010
街道をせましと踊る子供まで
保坂加津夫
いろり
200010
千人踊り手とり足とり教へられ
茂木とみ
いろり
200010
踊り手となりて街を流しけり
茂木とみ
いろり
200010
踊り笠一雨来たる紅にじみ
能村登四郎
沖
200010
眺めゐて踊らぬ阿呆となるもよき
能村登四郎
沖
200010
名を呼ばれたる踊子の片えくぼ
品川鈴子
ぐろっけ
200010
旅先の気安さに入る踊の輪
南方惇子
馬醉木
200011
帰省子の盆の三日を踊るなり
和田和子
馬醉木
200011
踊子の提灯照らす簗の径
和田和子
馬醉木
200011
月落ちて踊り上手のささめける
深澤鱶
火星
200011
駒はねる身振りに鳴らし踊り下駄
居川成美
狩
200011
駒を曳く身振り手振りの踊りかな
居川成美
狩
200011
八尾人祖霊に憑かれ踊るかや
大橋敦子
雨月
200011
踊ること天性とせり生き生きと
久保晴子
雨月
200011
踊子の老は見せまじ利久下駄
竹部千代
澪
200011
付添ひの叱られてゐる踊りかな
山県總子
銀化
200011
星時雨踊り子草履摺りて過ぐ
菅原庄山子
春耕
200011
宗祇の水飲んで踊りの輪に入りぬ
石鍋みさ代
春耕
200011
波音や伸び縮みする踊りの輪
荒川優子
春耕
200011
いくだびも水打ち徹夜踊り待つ
永田等
狩
200012
踊笠深く美貌を覗かせず
神田恵子
狩
200012
踊子の素顔や赤き湯桶抱き
木田千女
狩
200012
夫病みぬ昔の踊りゆかた着て
戸田春月
光陰
200012
踊りゆかた膝から進む男連
戸田春月
光陰
200012
風の辻踊りの辻となりにけり
堀井より子
春耕
200012
踊り終え戻る浴衣の艀舟
永野秀峰
ぐろっけ
200012
黒き影落として踊る一揆村
久保田由布
ぐろっけ
200012
踊りの輪無骨な手振りはみ出して
熊口三兄子
ぐろっけ
200012
月いまだ踊り過ぎたる狸塚
布施まさ子
風土
200101
誰よりも笠を目深に踊の子
原田康子
狩
200102
踊の輪一本の箍弛みだす
佐藤真次
濱
200102
遠ちを呼びをちへ返して踊の手
磯田富久子
狩
200104
渡されし踊団扇を腰に差す
栢森定男
あを
200106
溝川の緋鯉せはしき踊り前
加藤廣子
火星
200109
憑きものの出揃ふころの踊りかな
渡辺知美
銀化
200109
2021年8月8日
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