採点の指もみほぐす金木犀
植松安子
朝
199812
金木犀の香りは私の道標
甲田夏湖
船団
199903
逢わぬ間も金木犀は燦燦と
星野早苗
船団
199906
金木犀胸を匂ひのあふれ出づ
神蔵器
風土
199911
金木犀しづかに時を降らせをり
中根美保
風土
199912
金木犀通夜のざわめき納まりぬ
柴田いさを
船団
199912
金木犀泣いてることに泣ける日も
津田このみ
月ひとしずく
199912
先に目を閉じたのどっち金木犀
津田このみ
月ひとしずく
199912
朝いちのキスは金木犀となら
津田このみ
月ひとしずく
199912
金木犀独りはふっと揺り籠
吉川真実
海程
200001
校庭の金木犀下迷路あり
星野早苗
空のさえずる
200002
夢も見る金木犀のわがまま
尾上有紀子
わがまま
200002
金木犀眼玉に散りぬ痛むかな
金子兜太
海程
200004
ふと匂う誰も知らない金木犀
三宅やよい
玩具帳
200004
羨道へ金木犀の香の流れ
金子篤子
濱
200011
あの家のあの香りなり金木犀
桑原敏枝
いろり
200012
金木犀空全開に深みたる
田中矢水
遠嶺
200101
金木犀廻船問屋に水琴窟
仲安敏雄
濱
200101
整然と碁盤目の街金木犀
仲安敏雄
濱
200101
初恋の少女少年金木犀
甲田夏湖
船団
200105
雲切れて金木犀の金こぼれ
林翔
馬醉木
200110
ままごとの匂ひこぼるる金木犀
石橋翠
いろり
200111
町中に刑務所のある金木犀
堀内一郎
あを
200111
根回りも流れも染めし金木犀
森理和
あを
200111
かけす句碑金木犀の香を纏ふ
澤野粂子
春耕
200111
これといふ庭なき家に金木犀
松崎鉄之介
濱
200112
金木犀庭にあまたの土竜塚
芦澤一醒
濱
200112
金木犀ひと夜の雨に散り急ぐ
柴田美佐子
いろり
200112
墓石彫る乾きし音や金木犀
角田信子
六花
200201
跳箱をとべば金木犀の風
鎌倉ひろし
百鳥
200201
保育所に午後の風あり金木犀
豊岡清子
遠嶺
200201
新参の猫の居坐る金木犀
中村和江
ぐろっけ
200201
金木犀匂ひの塵となりにけり
宮原みさを
花月亭
200208
幽かなる金木犀の香銀座裏
磯野至子
あを
200211
仮名書きの神の系図や金木犀
川井政子
風土
200212
金の花金の香撤いて金木犀
塩川雄三
築港
200212
金木犀師とゐて卍くずしかな
高橋将夫
槐
200212
とろとろと金木犀の香は麻酔
武藤嘉子
沖
200212
金木犀散り敷く道を踏みあぐね
鎌倉喜久恵
あを
200212
華清池のすみずみ満し金木犀
濱名伸子
円虹
200301
金木犀見上げ一憂封じけり
渕脇登女
苑
200302
作業の手止めて仰むく金木犀
加藤君子
火星
200302
零れてはまた零れては金木犀
渡辺萩風
ホトトギス
200302
和をもつて金木犀のすごい闇
坂本敏子
京鹿子
200302
バイク置く金木犀の香の中に
浦川聡子
水の宅急便
200305
好日や金木犀の花いきれ
鷹羽狩行
狩
200311
金木犀窓全開之歯科医院
水谷ひさ江
六花
200311
一区画百十軒之金木犀
水谷ひさ江
六花
200311
金木犀無音の闇をひろげをり
高橋あさの
沖
200312
神苑の匂ひ立つ夜や金木犀
井関祥子
酸漿
200312
夜を込めて降る雨香る金木犀
林敬子
酸漿
200312
金木犀我を励まし金砂ふる
青木光子
築港
200312
我が町の何処も香る金木犀
青木光子
築港
200312
金木犀倉敷の町海鼠壁
伊藤政子
築港
200312
金木犀細身の風が路地をぬけ
舩越美喜
京鹿子
200402
一笑に付せぬ噂や金木犀
栗原道子
京鹿子
200402
変はりなく金木犀の武家屋敷
出口誠
六花
200410
金木犀散る再会のたかぶりに
岡田和子
馬醉木
200412
振り向けば金まみれなる金木犀
高橋十三夜
春燈
200412
金木犀空のにほひのありにけり
今瀬一博
沖
200412
粥三日金木犀の咲き初むる
辻恵美子
空
200412
大樹なる金木犀を守る老女
鈴木良子
酸漿
200412
金木犀英会話塾最年長
竹田圭子
帆船
200412
抜け道の一つは川へ金木犀
川島和
帆船
200412
金木犀介護講座の始れり
秋田谷明美
帆船
200412
金木犀挙動不審の人となり
斉藤裕子
あを
200412
金木犀三角形の図書館へ
篠田純子
あを
200412
風いつも隣家へ流れ金木犀
遠野萌
空
200501
金木犀己がことばをこぼしけり
宮澤さくら
遠嶺
200501
この先も何かありさう金木犀
鈴木とし子
遠嶺
200501
この町のどこ曲りても金木犀
与川やよい
遠嶺
200501
礼服の兄弟らしや金木犀
田中正子
百鳥
200501
金木犀回転木馬にかをり来る
井原ミチ
万象
200502
バスを待つ駅前広場金木犀
平尾信一
帆船
200502
金木犀神も媚薬をつくりけり
成瀬櫻桃子
春燈
200504
雨止んで金木犀は地に香る
岡田芳べえ
集
200504
香り来る金木犀の見あたらず
菊地惠子
酸漿
200512
帰国して見つけし風の金木犀
北島上已
酸漿
200512
折れ易き鼻にきてゐる金木犀
伊藤希眸
京鹿子
200512
金木犀存在感の香を放つ
塩川雄三
築港
200512
秋篠は金木犀の雨となる
久保まち子
築港
200512
まろまりしははの手をひく金木犀
斉藤裕子
あを
200512
葉漏れ日が金木犀を目覚めさす
川口襄
遠嶺
200601
金木犀真闇もつとも匂ひけり
牧長幸子
対岸
200601
金木犀の香に包まれし涙かな
柳生千枝子
火星
200601
人惚けるも年々薫る金木犀
御橋忠一
濱
200601
散り敷きてそぼろの如し金木犀
住田千代子
濱
200601
角曲るたびに匂へり金木犀
松田邦子
濱
200601
地上口に出て金木犀区始まれり
高橋道子
鴫
200601
金木犀知りたきことは数知れず
倉持梨恵
鴫
200601
添ふ影も金木犀を去りやらず
三由規童
雨月
200601
あけぼのや峡のいづこに金木犀
中川悦子
酸漿
200601
金木犀咲く同志杜を通り抜け
柿沼盟子
風土
200601
喜久子の忌金木犀の匂ひけり
池崎るり子
六花
200601
婚了へて金木犀の雨となる
煙山郷子
朝
200601
祝の日へ仕事大詰め金木犀
植松安子
朝
200601
雑用とひとひをくらす金木犀
東亜未
あを
200601
金木犀山家の瓦褪せてをり
山下美絵子
遠嶺
200602
病棟に床屋来てをり金木犀
足立みどり
栴檀
200602
桂林讃歌しゅわしゃわこぼる金木犀
山元志津香
八千草
200603
憧れしひとより電話金木犀
内山弘幸
八千草
200604
目印は金木犀のあるあたり
倉持梨恵
鴫
200612
病院の金木犀の花明り
本間勇
酸漿
200612
湧くやうに金木犀の散り敷けり
高田令子
鴫
200701
力ある嬰の泣き声金木犀
小林眞彦
遠嶺
200701
金木犀盛りと庭の便りきく
桑田青虎
ホトトギス
200702
つつがなく母ふたりあり金木犀
斉藤裕子
あを
200711
通院の姑と見つけし金木犀
斉藤裕子
あを
200711
通院を姑と楽しむ金木犀
斉藤裕子
あを
200711
金木犀撮るに青空バックかな
松崎鉄之介
濱
200712
夕日さすいみじき角度金木犀
林翔
沖
200712
夜半の雨金木犀の根元染め
上藤八重子
酸漿
200712
もしかしてやつぱり君か金木犀
大島翠木
槐
200801
たからかに帽子振る子や金木犀
加藤京子
遠嶺
200801
金木犀妻の言伝て忘れけり
松村義男
遠嶺
200801
金木犀ビオロンの音の流れ来し
植竹惇江
春燈
200801
鰐口の音に輪廻や金木犀
物江康平
春燈
200801
やがてまた人の立ちゐる金木犀
渡邉美保
火星
200801
寺町の角曲るたび金木犀
須藤美智子
風土
200801
図書館の窓開きあり金木犀
大坪景章
万象
200801
金木犀灯を継ぐ者の寡黙なる
浜田はるみ
遠嶺
200802
どの窓もしづかな朝金木犀
星井干恵子
遠嶺
200802
妹の手のひら温し金木犀
飯塚ゑ子
火星
200802
金木犀口が堅いと思はれて
星井千恵子
遠嶺
200812
横丁の二十歩ごとの金木犀
上原重一
峰
200812
棺桶に手を掛け金木犀のみち
堀内一郎
あを
200811
金木犀散り敷くといふ見せ場あり
安居正浩
沖
200812
バス待つや金木犀の色と香に
丹羽敦子
酸漿
200812
思ひとは金木犀の丸さかな
大島翠木
槐
200901
姿見に映つてゐたり金木犀
谷岡尚美
槐
200901
金木犀ミシン踏みたき日和なり
西氏宣子
遠嶺
200901
集ひたる笑顔の上の金木犀
新井田晃
遠嶺
200901
金木犀散る雨脚をしのぐ音
荒井和昭
鴫
200901
道幅にいつぱいの傘金木犀
倉持梨恵
鴫
200901
金木犀咲き初む朝の雨名残
高田令子
鴫
200901
しづかなるフリーマーケット金木犀
牧知子
炎環
200901
金木犀夜の静寂を香りけり
北川とも子
ぐろっけ
200901
金木犀咲きつ零れつ香立つ
小滝奈津江
酸漿
200901
コンビニヘ金木犀の角曲がる
吉沢陽子
峰
200902
金木犀ついで銀木犀の香へ
宮下倫一
やぶれ傘
200903
古希なれば金木犀の香を惜しむ
宮下倫一
やぶれ傘
200903
金木犀銀木犀と垣続く
水原春郎
馬醉木
200910
窓ほそく開けて眠りぬ金木犀
栗原公子
沖
200911
弓彦の披講の声や金木犀
石原みどり
炎環
200912
無垢のままこぼれ金木犀に雨
酒井秀穂
炎環
200912
路地裏は金木犀の蒔絵かな
鈴木阿久
峰
200912
墨染の金木犀に紛れゆく
森岡正作
沖
200912
快晴のまま夜に入り金木犀
大沢美智子
沖
200912
樹木葬金木犀がいいといふ
木下もと子
鴫
200912
下敷きの邪鬼に切幣金木犀
田中貞雄
ろんど
200912
一角に電飾の如金木犀
斉藤裕子
あを
200912
うしろ姿に友の思い出金木犀
奈佐幸子
苑
201001
金木犀銀木犀や牛の鼻
竹内悦子
槐
201001
香しき金木犀の路地を行く
池田光子
峰
201001
金木犀塀より高き兵士の墓
井海宏子
万象
201001
前庭と裏の庭にも金木犀
井海宏子
万象
201001
蔵一つ代々守り金木犀
井上あい
風土
201001
朝影に金木犀の薫りけり
高木千鶴子
酸漿
201001
質朴の正装夫婦金木犀
印南美紀子
酸漿
201001
山門の修理日和や金木犀
服部早苗
空
201002
踊りたし金木犀の香る夜は
いそべみつ
ろんど
201002
金木犀朝な夕なのセラピスト
植田雅代
ぐろっけ
201002
金木犀の下枝に静かなる蝶々
吉弘恭子
あを
201002
一の坂二の坂七坂金木犀
佐藤喜孝
あを
201002
近付きて纏ひたき香や金木犀
山崎里美
璦
201012
あちこちに魔界への穴金木犀
篠田純子
あを
201012
あらためて思ひ出す人金木犀
早崎泰江
あを
201012
金木犀内緒ないしょの耳痒し
篠田純子
あを
201012
芳しさふり向きて見る金木犀
五十嵐満里子
酸漿
201012
その人の名の出ず別るや金木犀
棗怜子
春燈
201101
金木犀の香にまみれ羽化登仙す
水野恒彦
槐
201101
金木犀盛ん小児科医院閉づ
岩下芳子
槐
201101
金木犀海外旅行の子を送る
池田光子
峰
201101
暮れがたの金木犀に雀入る
戸栗末廣
火星
201101
風を入れ金木犀の部屋となる
安藤久美子
やぶれ傘
201101
金木犀銀木犀の呪文かな
竹内悦子
槐
201102
金木犀闇に流れのありにけり
山中志津子
京鹿子
201102
道逸れて金木犀の香に溺る
中野久雄
末黒野
201104
暮れそめて香の深まり来金木犀
上原重一
峰
201112
金木犀籠抜け鳥の群れてをり
林いづみ
風土
201112
誰も来ぬひと日金木犀まみれ
竹内弘子
あを
201112
街中をほぼ支配下に金木犀
篠田純子
あを
201112
地にこぼれ金木犀の描く円
小川玉泉
末黒野
201201
日にまみれ金木犀のこぼれ花
小川玉泉
末黒野
201201
金木犀針の運びに匂ひ来る
大川暉美
末黒野
201201
金木犀蔵の踏み板軋むなり
原田達夫
鴫
201201
傾眠の母へ一と折り金木犀
松尾芳子
万象
201201
金木犀過ぎ去りし日の香なりけり
佐渡谷秀一
春燈
201201
掃く間にも髪にこぼるる金木犀
古井公代
ぐろっけ
201201
金木犀ガール・スカウト集まりぬ
池田久恵
ぐろっけ
201201
母の忌の金木犀をみな仰ぐ
杉浦典子
火星
201201
片付けて二階のさみし金木犀
蘭定かず子
火星
201201
ベルの鳴る尻ポケットや金木犀
丑久保勲
やぶれ傘
201201
金木犀香りを湖にはなちけり
佐藤喜仙
かさね
201202
衰へて知ること多し金木犀
松田泰子
末黒野
201202
金木犀腹式呼吸繰り返す
久世孝雄
やぶれ傘
201202
金木犀太極拳はゆつたりと
松本正生
やぶれ傘
201202
金木犀香り祖父母の参観日
紀川和子
うらら
201202
連瀑の飛沫に耐へる金木犀
中島玉五郎
峰
201211
金木犀シャネルに劣らぬ香りかな
安藤虎酔
かさね
201212
金木犀一部始終を見てをりぬ
柴田朱美
京鹿子
201212
身に叶ふ明るさに居り金木犀
柴田朱美
京鹿子
201212
言葉より重き無言や金木犀
柴田朱美
京鹿子
201212
金木犀ささくれだちてくる気配
柴田朱美
京鹿子
201212
金木犀寺領俄に艶めけり
柴田朱美
京鹿子
201212
部屋の奥まで公園の金木犀
篠田純子
あを
201212
石蕗を受け皿とせり金木犀
早崎泰江
あを
201212
金木犀遥けき夢を呼びさます
紀川和子
璦
201301
金木犀闇を深めてまぎれざる
成田美代
鴫
201301
植ゑ込みに隠れてくしやみ金木犀
橋本修平
かさね
201301
奥まつて瑠璃光如来金木犀
布施まさ子
風土
201301
金木犀十歩離れて匂ひけり
福島せいぎ
万象
201301
前世にもこの香に覚え金木犀
平田恵美子
ぐろっけ
201301
これからのことはさておき金木犀
宮地静雄
末黒野
201301
オレンヂの星空になる金木犀
出口誠
六花
201301
門ごとに敷かれしアート金木犀
藤井久仁子
ぐろっけ
201302
辞書を繰る見なれぬ文字や金木犀
古林田鶴子
ぐろっけ
201302
金木犀厠近くに遊女塚
有賀昌子
やぶれ傘
201302
眉月の白し金木犀かをり
河野美奇
ホトトギス
201303
金木犀ピアノ教師を招き入れ
鳳蛮華
空
201304
ある夜の月金木犀銀木犀
神蔵器
風土
201311
六十路かな金木犀は夕日色
頓所友枝
沖
201312
金木犀の切麻(きりぬさ)を得し地鎮祭
田中貞雄
ろんど
201312
金木犀妻たる日々を忘れまじ
?コ田千鶴子
馬醉木
201312
金木犀人の匂ひを消しにけり
岩下芳子
槐
201312
歯の痛み忘れて座する金木犀
鈴木初音
槐
201401
十年目金木犀の返り咲く
明石文子
ぐろっけ
201401
廊下まで香り広げて金木犀
伊藤マサ子
ぐろっけ
201401
金木犀古き寺院の垣として
難波篤直
璦
201401
金木犀散らしてゆけり里訛
鴨下昭
峰
201401
金木犀夢のなかにも香の入り
有松洋子
槐
201401
金木犀下校を告げる「七つの子」
岡田香緒里
やぶれ傘
201402
二階より声のありけり金木犀
竹内悦子
槐
201402
散り初むる金木犀や夕間暮
清水元子
末黒野
201402
金木犀行きに帰りに会ふ男
田丸千種
ホトトギス
201402
庭に出て背伸びとあくび金木犀
久世孝雄
やぶれ傘
201402
金木犀人に懐かぬ鶏飼うて
宮井知英
空
201404
金木犀の根元で猫の眠りけり
有賀昌子
やぶれ傘
201407
2021年10月10日
作成