風薫る 1 100句
踏みならす橘橋や風かをる 正岡子規 寒山枯木
旅先で揃ふ仲間に風薫る
稲畑汀子
ホトトギス
199805
風薫る葵の紋の黒書棚
小澤克己
遠嶺
199808
二の釦はづして出生棒の風薫る
しおやきみこ
船団
199811
風薫る母の墓前に古稀を謝す
小谷部東吾
濱
199902
抜きん出し岳信州の風薫る
稲畑汀子
ホトトギス
199903
祝ご結婚土屋薫様
よりそへば明るき未来風薫る
稲畑汀子
ホトトギス
199903
祝火串創刊六百号
重ね来し月日栞りて風薫る
稲畑汀子
ホトトギス
199905
木洩れ日に立てしキャンパス風薫る
辻のぶ子
俳句通信
199906
ほら貝のひびく全山風薫る
井汲典子
澪
199907
別れきし握手のぬくみ風薫る
井汲典子
澪
199907
このところ旅が遠のく風薫る
木野本加寿江
火星
199908
風薫る公園口の女人像
曷川克
遠嶺
199908
液晶の文字はべとべと風薫る
山内崇弘
海程
199908
堂内の天女出で来よ風薫る
長谷川登美
ぐろっけ
199908
風薫る妻の病が淋しくて
岩田ひろあき
船団
199909
柳田と喜善の遠野風かをる
佐藤淑子
雨月
199910
玉子焼きヒョイと返せば風薫る
松山律子
ヒッポ千番地
199910
木簡の長屋王邸風薫る
林日園
京鹿子
199911
風薫る犬には淋しすぎる貌
貝森光大
六花
199911
風薫るデスマスク置く記念館
朝日彩湖
船団
199912
風薫る空の青さに深呼吸
尾上有紀子
わがまま
200002
風薫る旅に未来を託しけり
稲畑汀子
ホトトギス
200003
風薫る遙かな国の石畳
中林明美
ヒッポ千番地
200003
風薫る左利きでもええやんか
松木知子
ヒッポ千番地
200004
三代の母校同じく風薫る
水原春郎
馬醉木
200005
庭に出てみればたちまち風薫る
稲畑汀子
ホトトギス
200005
竣工の日も近からん風薫る
稲畑汀子
ホトトギス
200005
卵飯二杯たいらげ風薫る
塩見恵介
虹の種
200005
決断の早き一人に風薫る
稲畑汀子
ホトトギス
200006
湾に沿ふ道の一筋風薫る
原田康子
狩
200006
気を替へに来しピカソ展風薫る
白澤よし子
馬醉木
200007
露天湯の朝昼晩と風薫る
鷹羽狩行
狩
200007
風薫る声にも色のありにけり
島田和子
風土
200007
風薫る町に馬上の十勇士
前阪洋子
俳句通信
200007
鎌倉や竹をまじへし風薫る
鷹羽狩行
狩
200008
風薫る女の車夫の法被かな
島崎晃
遠嶺
200008
風薫る小道に山の息吹きかな
田中聡子
遠嶺
200008
扁額の銘無一塵風薫る
鈴木ゆき子
風土
200008
鳥に歌人に詩あり風薫る
水谷芳子
槐
200008
著名なる人の手形や風薫る
桑垣信子
いろり
200008
風薫る隅田川上りを楽しめり
久保田一豊
いろり
200008
ペアールック目につく広場風薫る
山本潤子
いろり
200008
風薫る安らぎの日々過ごしおり
篠田三七子
いろり
200008
師の俳磚我の俳磚風かをる
二村蘭秋
雨月
200008
俳磚に偲ぶ面影風薫る
二村蘭秋
雨月
200008
風薫り昼の長州生そば庵
大堀鶴侶
雨月
200008
聖堂に国旗王妃旗風薫る
武政礼子
雨月
200008
シュークリームに巴里と云ふ名や風薫る
藤本艶野
俳句通信
200008
指ほどの胎児のビデオ風薫る
塩路隆子
精鋭選集
200008
風薫る高層ビルの窓掃除
三橋早苗
ぐろっけ
200008
風薫る句碑を鎮めの心経に
吉田飛龍子
春耕
200009
逢坂の関にパトカー風薫る
河村泰子
ぐろっけ
200009
ことほぎのひとことを練り風薫る
有坂馨園
狩
200010
窓あけて見下ろす港風薫る
牛田修嗣
狩
200010
隠岐人の干草返し風薫る
長澤健子
酸漿
200011
吹き下ろしくる記念樹の風薫る
稲畑汀子
ホトトギス
200105
虚子遺筆ここにもありて風薫る
稲畑汀子
ホトトギス
200105
弓狭間鉄砲狭間風薫る
稲畑廣太郎
ホトトギス
200105
マウイホトトギス会祝句
太陽に架ける橋あり風薫る
稲畑廣太郎
ホトトギス
200106
弾みたるボール追ふ犬風薫る
多田節子
雨月
200106
風薫る賢治の作る地や空よ
上條幸子
あを
200106
風薫る土間に藁打ち石の艶
神蔵器
風土
200107
深山へと茶畑つづき風薫る
桑垣信子
いろり
200107
草に木に人に吹く風薫るなり
村越化石
濱
200107
一店に刷毛や箒や風薫る
松本康司
銀化
200107
賞受けし友との会話風薫る
柴田美佐子
いろり
200108
大道芸の山高帽や風薫る
中野たけみ
雨月
200108
退院の夫とつれ立ち風薫る
中村公代
雨月
200108
風薫るおきうとですよでは買おか
小田元
船団
200108
甚句まじへて木更津の風薫る
鷹羽狩行
狩
200108
咳払ひしてより法話風薫る
多田鬼堂
狩
200108
風薫る湖北の駅舎ログハウス
石神芳枝
ぐろっけ
200108
風薫る藍甕どれも蓋をして
浜口高子
火星
200109
米寿翁三人そろひ風かをる
二村蘭秋
雨月
200109
昂然と帰去来のみち風薫る
大橋宵火
円虹
200109
風薫る湖の際まで田のせまり
大井邦子
ぐろっけ
200109
鶏友を訪ねし信濃風薫る
鈴木石花
風土
200110
師の額の薫風古りし風薫る
川崎不坐
火星
200110
喧騒の街のホスピス風薫る
藤野周子
ぐろっけ
200110
束帯の王朝行列風薫る
橋添やよひ
風土
200111
風薫る一万五千歩飛鳥みち
高木伸宜
船団
200111
森過ぎて牧牧過ぎて森風かをる
佐藤淑子
雨月
200112
娘に添ひし青年眩し風薫る
川端和子
星月夜
200112
風薫る鳩と雀の二重奏
稲畑廣太郎
ホトトギス
200205
甚五郎の子育ての虎風薫る
芝尚子
あを
200206
実篤の貼り交ぜ屏風風薫る
水原春郎
馬醉木
200207
風薫る薔薇の館のコンサート
平形貞子
濱
200207
風薫る淀をへだてて男山
高野清風
雲の峯
200207
交番の屋根に鯱風薫る
辰巳陽子
雲の峯
200207
地下鉄の車庫は地上に風薫る
太田芙美子
帆船
200207
土曜日の子供図書館風かをる
上中邦子
帆船
200207
八丁坂駆け行く犬に風薫る
阿部悦子
酸漿
200207
ジーンズが似合ふ還暦風薫る
鈴木照子
苑
200208
風薫る芭蕉の句碑の見あたらず
川口襄
遠嶺
200208
師の講話明るき声に風薫る
矢嶋みつ江
遠嶺
200208
風薫る母校の庭のマリア像
加賀富美江
遠嶺
200208
百円の古書の捺印風薫る
三枝きぬ子
帆船
200208
わが前を天然ガス車風薫る
房安栄子
築港
200208
白き雲白きブラウス風薫る
江木紀子
雨月
200208
ゆるやかに曲る大川風薫る
長谷川通子
雲の峰
200208
2021年5月12日
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