枯草のその一本に血を通す
小澤克己
遠嶺
199903
枯草は日のうはごとを聞いてをり
梅田津
銀化
199903
ゐのししと枯草いきれ共にせり
林朋子
船団
199903
枯草の根っこはたぶん火の匂い
小枝恵美子
ポケット
199911
靴底に枯草厚き湯坂越え
田中藤穂
「水瓶座」
200002
枯草の陰に羽干す川鵜あり
田中よしとも
酸漿
200003
枯草の穂の都向く余呉の湖
大森美恵
風土
200005
枯草の匂ひほのかな犬抱けり
桶谷康子
沖
200102
まなさきの枯草は日を弾きけり
笹家栄子
澪
200103
枯草の栄えは人の中に生く
宇都宮滴水
京鹿子
200112
巣づくりの枯草咥へ日の雀
渡邉友七
あを
200112
枯草や父の生まれし輪中村
水野邦夫
雲の峰
200202
枯草やキャデイーひそひそ話をし
浜麻衣子
六花
200202
枯草の道の果なる朱雀門
谷口佳世子
槐
200203
枯草のころがり来れば寒雀
柿沼盟子
風土
200204
枯草に軍靴のひゞきまなうらに
山田耕子
京鹿子
200206
枯草の匂ひの中にすれちがふ
外川玲子
風土
200212
枯草を払ひ釣師のゴム長去る
竹内弘子
あを
200301
畦道の枯草つよく吹かれをり
長崎桂子
あを
200401
枯草に落として弾み杉丸太
今瀬剛一
対岸
200402
枯草の狐色とはぬくき色
成井侃
対岸
200402
鵜の戻る島枯草の吹きさらし
岡崎桂子
対岸
200403
枯草の日のさざめきの聞こえたる
藤田あけ烏
草の花
200403
枯草をかきわけ見れば香の青し
鈴木国子
集
200503
枯草を紙縒のごとく指に巻く
岡本眸
朝
200503
枯草を身にこたへなく踏みて立つ
市場基巳
槐
200505
枯草にゐて蠅も昆蟲なり
瀧春一
菜園
200509
枯草や牧逍遙の音ばかり
松元末則
酸漿
200602
枯草に丸き雀のつどひをり
渡辺暁
酸漿
200604
枯草を踏みてときどき振り返る
青山丈
朝
200605
水漬き稻末枯草に干しならべ
瀧春一
常念
200606
地蔵尊囲む枯草引き申し
神田一瓢
雨月
200703
枯れ草に縋る蟷螂日の錆びて
坂本丹荘
遠嶺
200703
枯草と落葉まみれのローカル線
小城綾子
峰
200703
枯草のやうに強情なる女
秋千晴
空
200705
枯草の匂ひ竈の匂ひとも
高倉和子
空
200712
枯草の燃えて炎とならずなり
加藤克
峰
200803
枯草の一本の道潔し
おかたかお
沖
200804
初蝶の影枯草を離れけり
南うみを
風土
200806
枯草のいろ暖かし母の里
柳生千枝子
火星
200812
枯草も美しと思へり草千里
小城綾子
峰
200902
枯草に華やぎ添ふる句ありけり
小平恒子
酸漿
200902
溝飛んで次の一歩を枯草へ
岡本眸
朝
200902
大落暉枯草の穂に飛火せり
柴田朱美
京鹿子
200903
枯草に涎引きつつ牛あゆむ
若島久清
万象
200903
枯草をあたたかさうに猫埋もる
竹内弘子
あを
200906
枯草の枯草らしく揺れてをり
きくちきみえ
やぶれ傘
201003
冬耕のまづ枯草に火を放つ
海上俊臣
酸漿
201004
枯草も今日の命を輝かせ
山口天木
雨月
201012
枯草に埋れてをりぬ朱雀門
笠井清佑
璦
201102
枯草に盥の鯉のし吹きたる
山尾玉藻
火星
201102
四五本の枯草の陽に亡母がゐる
豊田都峰
京鹿子
201105
枯草を纏ひて歩く仔犬かな
山荘慶子
あを
201112
枯草の刈られ地ならし始まりぬ
松本信子
かさね
201202
枯草にすがりて土手を登りけり
廣瀬雅男
やぶれ傘
201203
枯草の庭に子供等踏み遊び
菊池崇之
かさね
201204
枯草に遠きふる里日のぬくみ
池田光子
峰
201301
荒庭の枯草の茎尖りをり
柳出晧一
かさね
201302
枯草と枯蟷螂が紙袋
服部早苗
空
201302
枯草や石に沁みゆく日のぬくみ
藤岡紫水
京鹿子
201303
菊を焚くおほかたは枯草なれど
宮路久子
面
201401
枯草の雨に色ます二月かな
安立公彦
春燈
201404
枯草に座りてをれど闘志あり
永野由美子
ホトトギス
201405
枯草を踏めば幽かな草の息
四條進
峰
201502
枯草に躓きそそくさと詣づ
風間史子
鴫
201502
砲台の枯草にほふペルリの帆
佐渡谷秀一
対座
201505
枯草の枯草らしく揺れてをり
きくちえみこ
港の鴉
201510
枯草の踏みしだかれてゐし命
稲畑汀子
ホトトギス
201512
見た目には枯草となり果せたる
稲畑汀子
ホトトギス
201512
枯草の抜け道を来し人ばかり
稲畑汀子
ホトトギス
201512
野ざらしを匿す枯草金色に
竹中一花
槐
201601
枯草をかさりと踏みて遊子たり
風間史子
鴫
201603
枯草につつかれてゐる夕日かな
成田美代
鴫
201603
枯草踏む音すずめ鳩カラスひと
篠田純子
あを
201603
枯草やどんどん歩くどんどんと
風間史子
鴫
201605
枯草に埋もれてゐたり線路あと
駒形祐右子
万象
201703
風に触れ枯草に触れけもの道
岡野里子
末黒野
201703
枯草に紛れて蜥蜴穴を出づ
山田六甲
六花
201705
枯草が地の鬣となる日差
伴明子
ホトトギス
201706
庭草も枯一色と進みをり
久保晴子
雨月
201801
草枯れて平穏すこしおそれけり
北川孝子
京鹿子
201801
草枯れて浮くサッカーの忘れ球
望月晴美
沖
201802
日和見となれず枯草ふんでゐる
鈴鹿呂仁
京鹿子
201802
枯草の身の程を知る風の沙汰
鈴鹿呂仁
京鹿子
201802
枯草に腰下ろし読む放浪記
山中志津子
京鹿子
201803
枯草に座すほんたうに背を向けて
井尻妙子
京鹿子
201803
枯草をころがるヌードルのカップ
南うみを
風土
201803
水漬きたる枯草の下鷺掻けり
桔梗純
万象
201803
よき色をちりばめ名草枯れにけり
三上程子
春燈
201803
枯草や同期の肩が見当らぬ
井上菜摘子
京鹿子
201804
枯草や一言が火を付けてゐる
井上菜摘子
京鹿子
201804
枯草を雉子うつくしく発ちにけり
藤生不二男
六花
201806
由良の門に枯草の丈揃ひ立つ
小原芙美子
風土
201811
日溜りの枯草に寝る他所の猫
藤井美晴
やぶれ傘
201901
コンクリの内枯草醸しゐたりけり
加藤みき
槐
202001
三十歩枯草原を駆けてみる
藤井美晴
やぶれ傘
202002
街道に沿ふ川土手の草枯れて
渡邉孝彦
やぶれ傘
202101
枯草を踏む半畳の釣り座かな
尾崎千代一
末黒野
202102
シャツを干し隅の枯草抜きすてる
田中藤穂
あを
202102
枯草の刈らるる匂ひ日のにほひ
滋野暁
末黒野
202104
草枯の土手や数多の土の塊
滋野暁
末黒野
202105
枯草に音乾きゆくハイヒール
稲畑廣太郎
ホトトギス
202112
草枯れてかすかなる金放ち初む
辻美奈子
沖
202201
枯れて立つ狗尾草に日は当たり
小山よる
やぶれ傘
202201
草枯れて立入禁止てふ角地
渡邉孝彦
やぶれ傘
202201
草枯れた沈む水音拾ひけり
上野静子
末黒野
202204
枯草のあたりぬくかろ群雀
河原敬子
空
202205
枯草の香の親しさに膝を折る
中田みなみ
空
202208
2022年12月15日
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