枯蓮をつと出し鴨の一羽かな 松根東洋城 松根東洋城句抄
蓮植う 蓮の花 蓮見 蓮池 蓮の浮葉
蓮葉 蓮の露 蓮の実 蓮の飯 蓮根掘 敗蓮 枯蓮
一二本青の残れる枯蓮
山尾玉藻
火星
199812
ヘッドライトに枯蓮の亡者たち
林菊枝
沖
199901
まはがねの水引つ張れる枯蓮
神蔵器
風土
199901
膝を折るありつくありて枯蓮
鷹羽狩行
狩
199902
池の面の迂余曲折や枯蓮
湯浅苔巌
円虹
199902
枯蓮が枯蓮ささへゐたりけり
城孝子
火星
199903
放埒と言へばさうかも枯蓮
栃内和江
沖
199903
枯蓮田鴉も羽に泥つけて
皆川盤水
高幡
199905
天青くして枯蓮無残なり
大橋晄
雨月
200001
枯蓮の突つ立つ尖のひかりかな
宮津昭彦
濱
200002
枯蓮や戦の果はかくあらむ
尾高せつ子
沖
200003
枯れ蓮田全滅戦史捨てきれず
松本鷹根
京鹿子
200003
園行かば水漬く矢折れの枯蓮
荻野千枝
京鹿子
200003
枯蓮や独語は水にとどかざる
藤田宏
澪
200003
筑波颪に百態尽す枯蓮田
皆川盤水
春耕
200003
枯蓮の茎くきくきと水を刺す
長沼紫紅
朝
200003
雪降つて枯蓮別の影を生む
長沼紫紅
朝
200003
枯蓮雪に力を見せにけり
長沼紫紅
朝
200003
枯蓮の生きてゐるよと風に鳴る
長沼紫紅
朝
200003
枯蓮や晩節汚してはならず
海輪久子
円虹
200004
立ち居れず枯蓮のみな伏せにけり
八牧美喜子
濱
200004
枯蓮や無神論者の棒の中
高桑弘夫
海程
200005
蒼茫の風に応へり枯蓮
山村桂子
遠嶺
200005
枯蓮の枯るる力を水の中
早乙女健
槐
200006
筑波おろしに百態尽す枯蓮
皆川盤水
春耕
200010
折れどころ考へてゐる枯蓮
夏秋明子
ヒッポ千番地
200010
風は東西南北に枯蓮
小川匠太郎
狩
200012
ちかぢかと常磐線の枯蓮田
皆川盤水
春耕
200012
枯蓮となるまで風に煽らるる
梶田敬子
狩
200101
枯蓮の林立に似し我が心中
能村研三
沖
200101
枯蓮をしばらく濡らし日照雨かな
津田経子
火星
200105
血圧の折線グラフ枯蓮
梅原富子
苑
200105
さながらに枯蓮のほか何もなし
小林優子
酸漿
200106
枯蓮??見(べしみ)の面知つてをり
岡井省二
槐
200111
枯蓮は動くともなし鴨の波
林翔
沖
200112
枯蓮田放心に景ありとせば
坂本京子
沖
200201
鋭角の影を映して枯蓮田
沢喜美
沖
200201
枯蓮と枯蓮の間水動く
浜口高子
火星
200201
枯蓮の角の百千月下なる
岡本まち子
馬醉木
200201
泥臭き焚火くすぶる枯蓮田
皆川盤水
春耕
200201
鷭の声よく澄むけふの枯蓮田
江原正子
春耕
200201
枯蓮を見てゐて眼乾きをり
藤稿みのる
風土
200201
枯蓮の枯れきつてなほ揺れ止まず
西川五郎
馬醉木
200202
直線の影の混みあふ枯蓮田
近藤暁代
馬醉木
200202
枯蓮やしやがんでゐたる風の中
北嶋美都里
槐
200202
枯蓮をつついてをりぬ家鴨の子
志水芳秀
雲の峰
200202
枯蓮の甕に映りし昼の月
宇利丞示
雲の峰
200202
枯蓮の日毎に修羅を深めゆく
綿谷美那
雨月
200202
裏口の枯蓮明り定食屋
高橋愛子
朝
200202
枯蓮や折れ目鋭角八十路踏む
村田孝子
京鹿子
200202
枯蓮一蕾一葉の菩提なり
伊丹さち子
馬醉木
200203
浄土図を地獄絵巻に枯蓮
吉田王里
風土
200203
赤土に一縷の流れ枯蓮
松本文一郎
六花
200203
降るやうに苑の鳥声枯蓮
密田真理子
朝
200203
力尽きさうで尽きざる枯蓮
大槻秋女
円虹
200204
枯蓮に水音絶えず寺閑か
大槻秋女
円虹
200204
枯蓮に午後の日差のゆきわたり
大槻秋女
円虹
200204
不忍池や枯蓮にまだ高さあり
西山紀代子
朝
200204
枯蓮や昼月ふはといま真上
金田きみ子
朝
200204
枯蓮の茎くきくきと身を鳴らす
北畠明子
ぐろっけ
200204
枯蓮に風は気ままになりにけり
嶋田一歩
ホトトギス
200205
枯蓮田跡形もなし歯科医院
小西瑞穂
ぐろっけ
200207
それぞれに銘ありて枯蓮かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200211
懺悔とはかくあるべしと枯蓮
鷹羽狩行
狩
200212
大いなる待合室や枯蓮
山野みどり
銀化
200212
名園のガイド枯蓮には触れず
宮津昭彦
濱
200301
枯蓮の水滝となりつづきけり
宮津昭彦
濱
200301
ピアノ・ソナタや枯蓮に日の当たる
彌榮浩樹
銀化
200301
仮の世に流連けてをり枯蓮
阪谷村比呂未
銀化
200301
枯蓮の眠り寧らか風止みて
子安教子
沖
200301
器用とは言へぬ生きざま枯蓮
千坂美津恵
苑
200302
枯蓮のざわめきゐたる青き夜
近藤きくえ
槐
200302
枯蓮の向ふの夫を呼びにけり
田原陽子
鴫
200302
枯蓮の神経質に折れゐたり
塩川雄三
築港
200302
枯蓮の上飛ぶ羽音ただならず
宮津昭彦
濱
200302
枯蓮の木偶にはあらずあるがまま
竹下昭子
ぐろっけ
200302
枯れ蓮「戒」授かりて跪く
藤井久仁子
ぐろっけ
200302
その中に青の残れる枯蓮
水野恒彦
槐
200303
枯蓮の力も尽きて折れにけり
唐澤まさし
酸漿
200303
枯蓮を離れぬ妻を見てゐたり
堀内一郎
あを
200303
枯蓮の迷路や潟の高曇
水原春郎
馬醉木
200304
寒雷の枯蓮の香を覚ましけり
伊丹さち子
馬醉木
200304
枯蓮に夕日転がり落ちにけり
波岡恵美子
朝
200304
枯蓮やちらばる水に日のひかり
南うみを
風土
200305
水重し棒の枯蓮支へをり
伊藤希眸
京鹿子
200305
枯蓮風に向き変ふ翳のごと
木山杏理
京鹿子
200305
枯蓮の生みたる音の中にをり
鳴海清美
六花
200305
一茎の折れに枯蓮みな倣ふ
鮎川富美子
沖
200401
枯蓮田翼ほこらかに鷺の舞
斎藤道子
馬醉木
200401
茎折れてなほ枯蓮でありにけり
朝妻力
雲の峰
200401
風通る幅ありありと枯蓮
上柿照代
馬醉木
200402
枯蓮田水暗くして動かざり
成井侃
対岸
200402
俳諧に連想の妙枯れ蓮
浜明史
風土
200402
枯蓮の透きし向うに父の墓
能村研三
沖
200402
折れ曲る枯蓮無残城の堀
本荘初枝
築港
200402
枯蓮に日の集まりしをみなかな
堀内一郎
あを
200402
枯蓮に鷺立ちつくす日暮かな
延川五十昭
六花
200402
身を折るは諦めならず枯蓮
木内憲子
朝
200402
枯蓮や輪を描き鯉の沈みけり
沼口蓬風
河鹿
200403
枯蓮の水に伏したる甕一つ
水井千鶴子
風土
200403
2021年12月6日
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