寒行の僧らとどろと通過せり
田中藤穂
水瓶座
200002
蘆を焼く土手に寒行僧の列
大橋晄
雨月
200004
寒行に蹤く似たやうな袋負ひ
谷川季誌子
澪
200005
寒行の熱き踵が追越せり
谷川季誌子
澪
200005
ぬくしとも見ゆ寒行のあとの水
中原道夫
銀化
200202
寒行の太鼓の音も遠くなり
河合笑子
あを
200202
子の布施を屈みて受けて寒行僧
中田貞子
狩
200203
寒行に縁なき僧の電話かな
柿沼盟子
風土
200204
寒行の僧に浄めの雪降れり
菅野虚心
朝
200204
寒行者滝に打たれて相寄らず
菅野虚心
朝
200204
ふくらみてをり寒行の頭陀袋
足立浩一
槐
200204
寒行や若狭は雨に昏れそめし
沢崎ゆきえ
春耕
200204
厄除けの大草鞋吊る寒行場
森重夫
春耕
200205
貴賎なき寒行僧とすれ違ふ
下平しづ子
雨月
200205
寒行僧潜り戸開けて帰り来る
安藤孝助
濱
200303
かはたれの寒行僧の歩幅かな
山田弘子
円虹
200304
寒行のうちは太鼓の返へし来し
加藤君子
火星
200304
寒行のをうをうと声掛け合へり
小山梧雨
濱
200403
山焼の日和先取る寒行事
奥村鷹尾
京鹿子
200403
寒行僧遠ざかり闇もどりけり
橘沙希
月の雫
200404
膏薬を指に踵に寒行僧
大平勝子
栴檀
200405
寒行の如し半折十枚書く
松崎鉄之介
濱
200503
読経して僧寒行の列整え
瀬良梅子
集
200503
留守家にも寒行念仏ねんごろに
米谷香恵子
築港
200504
今年早や寒行の小僧先頭に
狹川青史
馬醉木
200504
寒行の寺裏をゆく小径かな
能村研三
沖
200602
降り込むや寒行僧と軒の下
濱崎悪美子
河鹿
200602
寒行に白衣の洗ひたてを着て
合川月林子
ぐろっけ
200604
寒行の般若心経僧上ぐる
大井彌雨
雨月
200704
寒行の四角に夜を曲り行く
佐々木新
春燈
200704
寒行や白衣に透ける肌の色
若井新一
狩
200705
寒行の法華太鼓に犬吠える
津田霧笛
ぐろっけ
200705
寒行の永平一堂のみ灯る
上坂渥子
雨月
200804
小走りに過ぐ寒行の白脚絆
柴崎英子
絹の波
200806
寒行の声濤となり渦となり
柴崎英子
沖
200901
所作はみな間髪容れず寒行僧
能村研三
沖
200902
永劫といふ寒行の僧一人
上坂渥子
雨月
200902
寒行の僧全身の浄らなる
松岡和子
璦
200904
寒行のしんがりの僧声太し
井島郷雲
火星
200904
網代笠深く峠を寒行僧
中石紀美代
火星
200904
寒行の念珠に星の宿りかな
竹中一花
槐
200904
路地に入りたる寒行の声細る
高倉恵美子
空
200905
寒行のをんな山伏しりがりに
淺井照子
京鹿子
201001
石佛を片手拝みの寒行者
安武晨子
空
201004
寒行の念仏の声こはばれり
後藤眞由美
春燈
201004
寒行のごとく嶮路を黙々と
小山徳夫
遠嶺
201004
寒行の太鼓近づく町家筋
伊庭玲子
璦
201004
全身全霊読経朗々寒行僧
丹生をだまき
京鹿子
201005
寒行に新しき人加へけり
高倉恵美子
空
201005
寒行の列を照らせる月明り
長谷川たか子
酸漿
201005
寒行の声とどろける石疊
田原陽子
鴫
201103
寒行の辻曲りゆく鉦の音
田中臥石
末黒野
201104
寒行の帰山の笠を脱ぎて稚し
大竹淑子
風土
201104
歴伝の荒ぶる読経寒行堂
須山登
沖
201201
寒行の同じ顔して過ぎにけり
高倉和子
夜のプール
201203
寒行の気迫の声の海へ抜け
田村愛子
万象
201204
寒行の影のひたすら二年坂
西村節子
火星
201204
寒行と言うて選する四千句
大坪景章
万象
201204
御布施手に寒行僧を待つてをり
柴田佐知子
空
201303
寒行の装束透けしをんなかな
木暮陶句郎
ホトトギス
201305
風の辻より寒行のあらはるる
岩岡中正
ホトトギス
201306
寒行や明日の我を信じつつ
稲畑廣太郎
ホトトギス
201401
宝くじ売り場のほとり寒行僧
秋岡美津子
瓔
201403
朝の道寒行僧を追うて布施
粟倉昌子
璦
201404
寒行の肝文夜をこだませり
三屋英俊
万象
201404
寒行の列の出でたる門閉ざす
鎌田篤
雨月
201405
禅院を出で寒行の列となる
鎌田篤
雨月
201405
寒行の気迫はつしと五感打つ
内山花葉
沖
201504
寒行や経の仕舞の荒び声
能村研三
沖
201504
寒行や海老芋うまく煮えたかな
菊谷潔
六花
201504
寒行のごとくに学ぶ夜の句会
岩岡中正
ホトトギス
201507
くろぐろと前へゆくのみ寒行者
伊藤通明
空
201603
寒行僧先を歩めり追ひつきさう
定梶じょう
あを
201603
寒行の太鼓が闇を震はせ来
田中藤穂
あを
201603
寒行の僧のわらぢの薄かりき
榎本秀治
沖
201704
真言も呻きとなりぬ寒行者
角野良生
空
201705
よろけつつ滝を離るる寒行者
角野良生
空
201705
寒行の声に震へる幣真白
平城静代
沖
201804
寒行のこゑ二筋に別れけり
岡田史女
末黒野
201805
寒行の胸突き八丁荒び声
能村研三
沖
201903
しづかなる寒行僧の徒跣足
能村研三
沖
202002
寒行の裸身つつまる神の息
藤田美耶子
槐
202004
寒行の尼僧の笠や暮れの雨
斉藤マキ子
末黒野
202005
寒行や水一杓を身にそそぎ
大川暉美
末黒野
202105
白緒下駄ととのふ寒行上がり口
柴?ア英子
沖
202105
夜空押し上ぐ寒行の百の声
柴?ア英子
沖
202105
をんをんと天ゆく寒行嗄れ声
柴?ア英子
沖
202105
寒行の白衣に透ける髪膚かな
柴?ア英子
沖
202105
寒行の濡れ身に力みなぎれり
柴?ア英子
沖
202105
てのひらに受く寒行の水しぶき
柴?ア英子
沖
202105
爪先を濡らす寒行こぼれ水
柴?ア英子
沖
202105
すくと起つ寒行僧の真直な眼
柴?ア英子
沖
202105
滝道を寒行二人草鞋掛け
池谷鹿次
末黒野
202206
2022年1月10日
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