かぎろひしあとはさみしき墓ならむ
岡本眸
朝
199807
かぎろひの野に石の貌石の尻
竹市悠紗
京鹿子
199809
かぎろへり登呂人住みしこの土も
新井英子
馬醉木
199906
畷にてかぎろひ易き棒のあり
西田孝
槐
199906
埴輪みな睫毛の無くてかぎろへる
岡和絵
火星
199907
大木のゆつくり倒れかぎろへり
松永典子
船団
199909
姫島のかぎろひゐしが狐あめ
北川英子
沖
200004
八畳占む獅子乗灯籠かぎろへり
上原瑞子
濱
200005
炎上を過去に金閣かぎろへり
今井妙子
雨月
200008
城跡を二分す鉄路かぎろへる
鵜飼紫生
雨月
200009
かぎろへる大和七福神詣かな
井口弥江子
馬醉木
200104
かぎろへる點鬼簿出でし人らしく
中原道夫
銀化
200106
駈け抜けて来ても身中かぎろへる
蔵持柚
銀化
200106
こころもち長き利足かぎろひぬ
甲州千草
沖
200107
バラ園にかぎろふ二輪在りにけり
金澤明子
火星
200107
ひんがしに瑠璃光浄土かぎろへり
川井政子
風土
200107
陽炎の中に吾ゐてかぎろひぬ
水井千鶴子
風土
200107
日本は何の足跡かぎろへり
掛井広通
沖
200107
別々にかぎろひはじむふたりかな
井上菜摘子
京鹿子
200107
起重機の咥へしものもかぎろへる
岡本眸
朝
200107
かぎろひや朱は陽のしづく丹生都比売
境良一
京鹿子
200204
声たかき少年野球かぎろへり
山田禮子
遠嶺
200206
あひみての後の思ひのかぎろへる
川名将義
銀化
200206
ひとがたのどこまでかぎろひてゆくか
邑沙綺
銀化
200206
こぼちたる家一塊のかぎろへる
加瀬美代子
朝
200206
屋上に天体ドームかぎろへり
堀本祐子
遠嶺
200208
人麻呂のかぎろひに逢ふ初日かな
大野英美
風土
200304
日の丸も尾を振る犬もかぎろへる
中原道夫
銀化
200304
思ひにも輪郭ありやかぎろへる
尾上直子
沖
200306
かぎろへりななめななめに松の幹
村上喜代子
百鳥
200306
かぎろへるゴールへ馬のなだれ込み
高柳かつを
百鳥
200307
かぎろひて思ひ違ひは解けぬまま
能村研三
沖
200404
かぎろへるあの頃のこと今のこと
浅岡由恵
沖
200404
かぎろへる木落し坂の深轍
能村研三
沖
200405
かぎろうてゐし膝の上の医学書と
山田美恵子
火星
200405
墓石屋のとなり墓石屋かぎろへる
吉田明子
鴫
200406
忠敬の測りし渚かぎろへる
岡淑子
雨月
200406
雪嶺も七面山もかぎろへる
林裕子
風土
200406
かぎろひて欲得既に無くなんぬ
杉山瑞恵
雨月
200407
陽炎を見てをる我もかぎろへる
杉山瑞恵
雨月
200407
万葉の野にかぎろひの立つを見き
多田生湖
春燈
200411
かぎろひはひらがなのごと野に遊ぶ
鈴鹿仁
京鹿子
200504
お水送り済みし若狭井かぎろへる
岩崎眉乃
万象
200505
かの子忌やシュール朴訥かぎろへり
山元志津香
八千草
200506
人麻呂の東の野のかぎろひぬ
山路紀子
風土
200507
先を行く卒寿の母のかぎろひぬ
柿澤喜三郎
百鳥
200507
かぎろひの真中を漢来りけり
水野あき子
遠嶺
200508
湖は揺るる器よかぎろへる
長井順子
朝
200508
師には又師のあり墓所のかぎろへり
山元志津香
八千草
200509
かぎろふへ押しゆく姉の車椅子
出来由子
鴫
200605
踏切のかぎろひゐしを寢て思ふ
岡本眸
朝
200605
醤油の香かぎろひ立てる銚子かな
河本由紀子
春燈
200606
人の死を見にゆく支度かぎろへり
掛井広通
沖
200606
呑みほして五臓六腑のかぎろへる
松たかし
火星
200606
目の中に収めて巨船かぎろへる
青山丈
朝
200606
かぎろひて矮鶏のつがひのうひうひし
山岸治子
馬醉木
200607
差し潮の間に魂消てかぎろへり
千田敬
沖
200607
かぎろへる野に邑挙げて草競馬
室伏みどり
雨月
200608
かぎろひの沼は手品師魚の跳ぶ
松井のぶ
沖
200705
深閑と牛舎かぎろふ農学部
若槻妙子
朝
200705
かぎろひてパントマイムの指の先
奥村邦子
槐
200706
かぎろひのなかへ会釈を返しけり
木内憲子
朝
200706
咎人といへど戒名かぎろへり
藤井寿江子
馬醉木
200710
稻架照らふ不況の町をかぎろはせ
西口万佐子
朝
200801
新年の大洗てふ海かぎろへり
阿部ひろし
酸漿
200802
知恵の輪も十指もやがてかぎろへり
掛井広通
沖
200806
絵馬堂にマーメイド号かぎろへり
加藤みき
槐
200806
雲雀下りてかぎろひの野に石仏
廣瀬義一
雨月
200806
石舞台かぎろひ御霊おはしけり
近藤きくえ
槐
200807
原色を着てかぎろひの野に佇てり
成田美代
鴫
200807
かぎろへる水平線や鳥帰る
田中佐知子
風土
200807
天平の大仏殿もかぎろへる
椋本一子
雨月
200807
かぎろひの野に亡き母の車椅子
和田政子
峰
200905
みすずかる美容師ひとりかぎろへり
中嶋憲武
炎環
200905
複写機の内部もつともかぎろへり
小嶋洋子
沖
200905
かぎろへる讃美歌集の走り書き
小嶋洋子
沖
200906
海豹の髭の先よりかぎろへり
一ノ木文子
炎環
200906
畦の木の並ぶあたりのかぎろへる
根橋宏次
やぶれ傘
200906
かぎろへる赤膚焼の宝相華
延広禎一
槐
200907
かぎろへる石の寝釈迦も水音も
雨村敏子
槐
200907
師の本に「定本」「読本」かぎろへる
能村 研三
沖
201003
願ひ絵馬最上段はかぎろへる
泉田秋硯
苑
201006
みちのくへつづくこの道かぎろへる
片山博介
春燈
201007
かつて職場のA4出口かぎろへる
千田百里
沖
201105
文士村知らぬ月日のかぎろへり
千田敬
沖
201106
蕪村その出自のくだりかぎろへる
井原美鳥
沖
201106
毒ガスの排突の渓かぎろへる
大木茂
万象
201106
かぎろへる女流人の琉歌の碑
當間シズ
万象
201106
骨片は太古の矢尻かぎろへり
宮内とし子
沖
201204
鉄橋も長き列車もかぎろへる
佐藤喜仙
かさね
201206
かぎろひて埋め戻されし塚巡る
千田百里
沖
201206
かぎろへる明日香は石に問ふがよし
千田百里
沖
201206
かぎろひの相模の海や富士真白
辻井ミナミ
末黒野
201206
かぎろへる壺の泪の無尽蔵
林いづみ
風土
201207
歓喜天の横に胞衣塚かぎろへる
雨村敏子
槐
201207
あとで知る主治医の異動かぎろへり
吉田政江
沖
201207
かぎろひの野に歩みそむベビー靴
栗原公子
沖
201207
かぎろひの見えてカメラに阿夫利山
中村月代
末黒野
201207
山桃の花やかぎろふ定置網
清海信子
末黒野
201208
流木の竜の形にかぎろへる
石井美智子
風土
201211
かぎろひの丘へと続く寒灯り
塩路隆子
璦
201303
かぎろひに傳(けるかに冬の嶺
塩路隆子
璦
201303
かぎろへる軍艦型の軍艦島
荒井千佐代
空
201304
かぎろへり校歌に謳ふ島の海
水木沙羅
沖
201306
三陸の果てなき荒地かぎろヘり
大日向幸江
あを
201405
お色直しの百年駅舎かぎろへる
千田百里
沖
201406
かぎろへど鋸山は屹立す
上谷昌憲
沖
201406
鈴ヶ森刑場ここにかぎろへり
堀口希望
沖
201406
官兵衛と呼ばふ野良猫かぎろへる
塩路隆子
璦
201406
観音の彼方かぎろふ魞の湖
田中佐知子
風土
201406
かぎろひて上野に人の溢れをり
柿沼盟子
風土
201407
かぎろひの野に佇めば怒濤音
渡部良子
馬醉木
201407
ぎんなんの実やかぎろへる南禅寺
中川すみ子
璦
201502
稜線にかぎろひ立てる淑気かな
吉田順子
槐
201504
国宝の塔かぎろひの中にあり
大橋晄
雨月
201506
かぎろひの電車でこぼこでこぼこと
原田達夫
箱火鉢
201511
どんど火に近間の野島かぎろひぬ
原久栄
末黒野
201605
花散るや水かぎろひの只中に
岡田史女
末黒野
201607
かぎろひの阿騎の大野の夜明かな
内海良太
青嶺
201612
かぎろひて戦禍の見えぬフエ・ダナン
七郎衛門吉保
あを
201805
かぎろひの御代新しき菜花かな
延川五十昭
六花
201906
大漁旗かぎろひに止む網打場
延川笙子
六花
201906
かぎろひや告白と言ふ手段あり
久保夢女
槐
202005
閼伽桶の箍のゆるみてかぎろひぬ
根來隆元
萱
202005
つきつめてゆけばゆくほどかぎろひぬ
高橋将夫
槐
202106
岬ごと電車かぎろひつつ北へ
土井三乙
風土
202106
かぎろひてマリオネットのふたりです
奥田筆子
京鹿子
202107
かぎろひの降臨の地の飾り臼
松田那羅生
鴻
202204
かぎろひの中より谺返りけり
戸栗末廣
空
202302
2023年4月21日
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