南風の船ゆく手に朱の厳島
能村登四郎
沖
199806
南風に使うてにんげんの髪の筆
岡井省二
槐
199808
南風吹く気根伸ばせし鉢の蘭
丸山南石
黄鐘
199808
素もぐりの足鰭をどる南風の波
木下ふみ子
馬醉木
199809
南風や石垣高き濱の家
鈴鹿野風呂
京鹿子
199810
南風やのりこぼれ出る海女小舟
鈴鹿野風呂
京鹿子
199810
髪逆立つままに海南風吹くままに
大橋敦子
雨月
199908
南風の島一寺一社と船酔神
松崎鉄之介
濱
199908
南風妊婦とあゆむ遊歩道
福田みさを
いろり
199908
神木の葉裏を返し南風吹く
當麻幸子
俳句通信
199908
青銅の女よぢれる南風
中谷まもる
火星
199909
南風浪のたはむれゐたる波状岩
宮津昭彦
濱
199909
椰子並木街へ南風をみちびけり
宮津昭彦
濱
199909
南風吹く川の辺佐原囃子聴く
山本喜朗
雨月
199909
南風や眠るつもりの酔覚めて
仲村青彦
朝
199909
押入れの昭和ひらけば南風吹く
汎馨子
海程
199910
らふそくの炎の靡きなる南風
小山森生
槐
199911
国境の沖へ目凝らす南風曇
花藤原照子
沖
199911
天は穴開き放題に桜南風
小形さとる
槐
200006
櫻南風旅の芝居の幟旗
木内美保子
六花
200007
帰港して南風もろともに帆を下ろす
小澤克己
遠嶺
200008
荒南風のうしほとよめく能登泊り
内山芳子
雨月
200008
南風入れて色よみがへる木偶衣裳
清水節子
馬醉木
200009
刻まれし横文字朽ちぬ南風の墓所
いしだゆか
遠嶺
200009
揚船に鴉来てをり南風つのる
新井田操
酸漿
200009
猫叱る声南風の中にあり
伊藤多恵子
火星
200009
荒南風の賽の河原に小石積む
山城やえ
春耕
200009
灘よりの南風吹きつのる常夜燈
石本秋翠
馬醉木
200010
釣上げし面目の笑み朝の南風
西山美枝子
酸漿
200010
無花果の葉裏の白し南風吹く
陣野今日子
風土
200010
北風を南風へと辻楽士
佐渡美佐子
船団
200103
海に熔岩の熱あり桜南風
粟栖恵通子
槐
200106
君逝きて一日南風の吹き通し
松崎鉄之介
濱
200107
南風に乗り君逝く沖は果てもなし
林翔
沖
200108
南風や道尋ねつつ磯へ降り
中西道子
百鳥
200108
葦の河岸夕南風となりにけり
門屋大樹
春耕
200108
放たれし孔雀が屋根に南風の島
阿波谷和子
俳句通信
200108
碧南風に釦ちぎられ船首楼
品川鈴子
ぐろっけ
200108
まんぼうの空輸作戦南風吹く
阪本哲弘
苑
200109
移り住み海南風をひとり占め
宮津昭彦
濱
200109
縫箔の元禄小袖安房に南風
渋谷照代
濱
200109
かつしかの南風の喬松喜雨亭忌
村上光子
馬醉木
200110
田植唄今は昔に南風吹く
川崎不坐
火星
200110
骨董市南風に吹かるるキリスト像
矢野千佳子
京鹿子
200110
鈷を打つや真剣青流南風
山田緑光
海程
200111
南風猿のこしかけ太りける
唯野まり
槐
200204
船長と肩組み南風の舳楼
品川鈴子
ぐろっけ
200207
島人も吾も源氏や南風吹く
水原春郎
馬醉木
200208
子馬まだとことこ走り南風岬
原教正
沖
200208
丘を行くわれは帆船南風吹く
今村恵子
沖
200208
海南風荒ぶいちにち樹々の声
相沢有理子
風土
200209
朱雀門南風のすずめの寄り来たり
城孝子
火星
200209
巫女舞へ除幕の句碑へ海南風
宮津昭彦
濱
200209
航跡は残らぬものとして南風
華明日香
銀化
200209
高窓に来鳴く雀や南風の中
相沢有理子
風土
200210
お馬流し南風に転舵の船速し
松崎鉄之介
濱
200210
南風を含みし鳥ののど青し
小林あかり
遠嶺
200211
飛行船南風まとひひかるなり
宮津昭彦
濱
200307
南風や主の荊冠を外しやらむ
荒井千佐代
空
200307
南風吹くや淦を汲み出すもやひ舟
大竹淑子
風土
200308
南風眠気のとんで網引く子
高杉風至
百鳥
200308
俎板にかすかな窪み南風
仲村青彦
朝
200308
秋櫻子句碑の向き立つ南風の海
黒坂紫陽子
馬醉木
200309
心にも旗を立てやう南風の丘
山元志津香
八千草
200311
九十九里終の一里は南風ぐもり
能村研三
沖
200406
幸村の金鍬形に南風吹く
山陰石楠
苑
200407
灯台が天へ翔ちさう南風岬
松井志津子
沖
200407
海南風世の大事件知らせ過ぐ
長谷川登美
ぐろっけ
200407
南風の沖玻璃に海鮮レストラン
櫻井幹郎
百鳥
200408
腰の鈴ひびくや南風の岬とほく
羽田岳水
馬醉木
200408
白犀のラッパの耳や南風吹く
今里満子
火星
200408
のどくろをしつかり煮付け南風
中島陽華
槐
200409
セロファンのかさかさと鳴り南風
五十嵐暢子
対岸
200409
伊勢の方よりの真南風に祓はるる
浅井青二
雨月
200409
南風を来し漁師無口に舟だまり
平山勝子
河鹿
200410
島唄の荒綴じ本を南風が繰る
田畑幸子
濱
200506
湯めぐりの手形かざして南風かな
佐久間頒
帆船
200507
南風に戦ぐ飯盛山の夏木立
関口政之助
濱
200507
南風に腰ひねりゐる竜馬像
飯塚ゑ子
火星
200508
蹲をゆつくり使ふ南風に居り
伊藤多恵子
火星
200508
南風に能勢街道の曲りけり
丸山照子
火星
200508
島裏や南風の高みに鳶の笛
渡部節郎
沖
200508
南風や海を越えきし島訛り
山嵜加代子
河鹿
200509
鬣なびく白馬ギャロップ南風の中
木田秀子
濱
200511
?K南風や白しと見るは今年竹
瀧春一
常念
200606
胸中に波郷は若し南風吹く
林翔
沖
200606
南風の路面のひろさ日曜日
瀧春一
瓦礫
200606
南風にのる南京町の匂かな
藤原繁子
春燈
200607
足摺の岬に立ちて南風浴びる
小田知人
ぐろっけ
200607
南風や顎動かせて帆を数ふ
渡辺ひろし
槐
200608
義経の征きし韃靼南風わたる
泉田秋硯
苑
200609
南風や師と一休み京の坂
藤一
四葩
200609
南風吹く蹲の辺の鴨足草
戸田春月
火星
200609
一礼は母のさよなら南風吹く
浅田光代
風土
200609
南風に曲る李白の飛流三千尺
松崎鉄之介
濱
200609
流れ藻の潮の香つよし南風ぐもり
佐々木よし子
沖
200610
灯台の岬隆起す南風ぐもり
大沢美智子
沖
200610
南風に乗る桑摘みの唄リズミカル
阿部由紀子
濱
200610
滑走路甘蔗畑に芒種南風
呉屋菜々
万象句集
200703
風力発電南風に負くまじ回りけり
定梶じょう
あを
200706
2021年6月15日
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