捨田はや青蘆防ぐすべもなし
藤井昌治
朝
199808
青蘆の沼の鼓動を聞いてをり
川口襄
王道
199809
鳴声の翔つ青蘆の中洲かな
堀本祐手
遠嶺
199911
青蘆や葭切がふと声ひそむ
阿部ひろし
酸漿
200108
青蘆の吹かれて揺れぬ根本かな
高橋将夫
槐
200108
青蘆やさざ波押して鴨のゆく
阿部文子
酸漿
200207
青蘆原裾の一尺褐色に
加藤みき
槐
200209
一段とそよぐ青蘆沼暮るる
山田閏子
円虹
200209
青蘆に競艇の音やむ間なし
玉置かよ子
雨月
200210
青蘆を淀の細流に流しけり
西田もとつぐ
雲の峰
200210
青蘆辺浮き桟橋の揺れに酔う
小阪律子
ぐろっけ
200211
山下りて青蘆原の風の中
袴田信子
遠嶺
200211
青蘆に来て風音のささやける
稲畑汀子
ホトトギス
200306
青蘆原へ流離のごとく深入りす
佐山文子
沖
200307
鳥翔ちしあと青蘆が雨こぼす
高橋さえ子
朝
200310
青蘆に潮位の跡の帯なせり
松永晃芳
百鳥
200409
青蘆の剛きそよぎの晩景か
八田木枯
「夜さり」
200409
青蘆の隙からうじて水流る
鹿野佳子
朝
200410
青蘆に埋めつくされて川老いぬ
松原ふみ子
朝
200410
青蘆に朝の瀬音や夜間瀬川
阿部ひろし
酸漿
200509
曽遊の沼べり青蘆胸に寄せてくる
瀧春一
瓦礫
200606
青蘆の真髄に触れゐたるなり
高橋将夫
槐
200610
舟寄せてゆく青蘆の影の中
岡淑子
雨月
200610
青蘆の葉叢にいのち隠しをり
岡田真澄
風土
200709
青蘆の中木道の行き尽くる
松村義男
遠嶺
200709
青蘆の丈に隠るる水位計
波塚照美
朝
200709
青蘆の頬打つ水郷めぐりかな
浅田光代
風土
200710
青蘆原みづ掻くさまにわたりけり
丸山照子
火星
200712
青蘆原水掻くさまにわたりけり
丸山照子
火星
200803
青蘆の中やはづめる川の音
網野茂子
酸漿
200811
青蘆原水面になにか動くもの
佐山文子
沖
200908
青蘆やもう親の目のとどかざり
吉田政江
沖
200908
青蘆や渡良瀬沿ひの遊水地
中村春宵子
春燈
200909
青蘆の川辺の道は曲りをり
天野美登里
やぶれ傘
200909
青蘆の根に豊かなる息遣ひ
中田禎子
槐
200910
青蘆にけふも来てをり番鳥
庵原典子
笹
200910
山眺め青蘆原に方位知る
塩出眞一
ぐろっけ
200910
背丈越す青蘆原に迷ひたり
塩出眞一
ぐろっけ
200910
その上を白き電車や青蘆原
大坪景章
万象
201008
青蘆を鬣として神の沼
田村園子
鴫
201011
風渡る青蘆原の水錆びて
松本三千夫
末黒野
201108
さざなみのなかや青蘆日を返す
小嶋紘一
末黒野
201108
青蘆や淀の川風ふくよかに
浅井吉雄慈
夕端居
201203
青蘆の中より湧けり堰の音
岡井マスミ
末黒野
201204
青蘆に見えがくれする赤帽子
松木清川
ぐろっけ
201209
青蘆やどの部屋も風吹き抜けて
山内碧
空
201210
寄せて来る青蘆原の葉ずれかな
西村節子
火星
201408
どこまでも青蘆どこまでも他人
佐々木紗知
京鹿子
201410
青蘆や水の嵩増す渡し口
鍋島広子
万象
201411
青蘆のそよぎやまざる湖中句碑
水野節子
雨月
201509
青蘆の湖に扉ひらく浮御堂
水野節子
雨月
201509
青蘆や湖近くなる一輛車
藤井彰二
馬醉木
201510
青蘆の一叢に風とどまれり
石黒興平
末黒野
201510
青蘆をゆさぶり来る投網打
南うみを
風土
201608
青蘆に川の生気の蘇り
片岡良子
雨月
201608
青蘆の一列沼へ抽んでる
甕秀麿
鴫
201609
青蘆原命はぐくみ光りをり
柴田靖子
槐
201609
九十九島の一つ青蘆茂るまま
小林輝子
風土
201611
切り岸めく青蘆原の横つ腹
甕秀麿
鴫
201611
青蘆や近江いづこも水曇り
西村梛子
馬醉木
201709
青蘆の間に漁舟かへる
土江比露
春燈
201810
青蘆や飛行機すでに低空に
中根美保
風土
201907
青蘆の触れ合ふ潮目雲流る
渡辺富士子
末黒野
201909
青蘆の波見てよりの胸さわぎ
高橋まき子
風土
201909
かたまつて青蘆原へ鳥が降る
荒川心星
鴻
201910
湖の風青蘆に来て消えてをり
稲畑汀子
ホトトギス
202006
青蘆や風に興ずる高さまで
森清信子
末黒野
202108
青葦へ夕陽の迫ころほひに
安藤久美子
やぶれ傘
202208
湧水に青葦原のざはめけり
岡田史女
末黒野
202209
2023年6月7日
作成