秋燕のダムのしぶきに煽らるる
谷添睦手
濱
199811
秋燕に棟は鎮魂の十字なす
岡田貞峰
馬醉木
199812
眉太くして秋燕を見送れり
小澤克己
遠嶺
199812
みづうみの片隅に秋燕の空
粟津松彩子
ホトトギス
199903
秋燕の群なしそめし干潟かな
酒井多加子
俳句通信
199910
青空の青深くなる秋燕
辻のぶ子
俳句通信
199910
秋燕に天地掃かれたるごとし
村越化石
濱
199911
秋燕の空へ音なく展帆す
能村研三
沖
199911
秋燕や出稼ぎ話持ち込まれ
ハンセン妙子
狩
199912
秋燕砂丘風紋あらたなり
岡本久也
沖
199912
わだつみの沖の暗さや秋燕
荻原芳堂
春耕
199912
海へ出る空に秋燕まだ馴れず
辻口静夫
ホトトギス
200001
秋燕の群がつてゐる峠口
松尾龍之介
狩
200001
紺碧の海の大円秋つばめ
豊岡清子
遠嶺
200001
島々のをちに山々秋つばめ
鷹羽狩行
狩
200001
閃々として秋燕群なさず
藤田宏
澪
200011
何処にも銀座のありて秋燕
竹部千代
澪
200011
秋つばめ沈下のつゞく滑走路
笹村政子
六花
200012
山峡の小さな空の秋燕
和田敏子
雨月
200012
引越しの荷に腰掛けて秋燕
生田恵美子
風土
200012
海峡を行きては戻る秋燕
菊地惠子
酸漿
200012
秋つばめ川のかたちに空は有り
笹家栄子
澪
200101
雨つ気の水際近き秋つばめ
波田美智子
火星
200101
秋燕の羽音するどき濁り川
渡辺友七
あを
200109
秋燕やきのふよりけふ遠かりき
神蔵器
風土
200110
坂町の水音豊けし秋燕
中川晴美
俳句通信
200111
秋燕か一瞬よぎる旅の窓
松本米子
あを
200111
潮満ちて秋の燕の近くあり
山本田津子
槐
200111
秋燕の声フルートを聞きしあと
佐野まさる
百鳥
200111
秋燕やテニスコートの白線引く
宮川みね子
風土
200111
秋燕に波の尖りや安乗崎
木下玉葉子
酸漿
200112
ひるがへり秋燕牧に別るるか
丸尾和子
雨月
200112
真水積む遠洋の船秋つばめ
海老澤映草
春耕
200112
水を吐く艀の運河秋つばめ
三原清暁
春耕
200112
秋つばめ望遠鏡に帆曳船
小林螢二
春耕
200112
秋燕や屋根より藁の屑こぼれ
田中佐知子
風土
200112
秋燕と共に空母が居なくなる
泉田秋硯
苑
200112
忘れじと一鳴き二鳴き秋つばめ
佐原正子
六花合同句集
200205
うす紅の雲となるまで秋つばめ
梶浦玲良子
波小舟
200205
秋つばめ娘が顔を見せに来る
波田美智子
をりをりに
200208
秋つばめ文字大き辞書夫と買ふ
波田美智子
をりをりに
200208
秋燕や一級河川観測所
中田富佐枝
帆船
200211
秋燕の疳高きかな阿波卯浪
黒田咲子
槐
200211
秋燕や老いてはビルも蹲まる
岡本眸
朝
200212
秋燕こころ残りのありやなし
村田みちな
朝
200212
急流の白き光へ秋つばめ
石本百合子
馬醉木
200212
秋燕の発ちて昂り声も発つ
泉田秋硯
苑
200212
秋つばめ端に童子の拾得図
土田芳月
遠嶺
200212
高く高く地には用なき秋燕
永野由美子
円虹
200212
カルストの空を自在に秋燕
佐保美千子
円虹
200212
秋燕に手を振りいまも浪漫派
利根川妙子
苑
200212
少し風あり秋燕に帰心あり
橋本佐智
円虹
200301
海に出てより群を解く秋つばめ
加美明美
狩
200301
秋燕や洛中の空晴れわたり
大竹淑子
風土
200302
秋燕天動説てふ昔あり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200309
殿町や秋燕掠む蔀釣り
藤平タネ子
濱
200311
秋燕言葉少なに子は赴任
成川和子
朝
200311
秋つばめ巣を巡りてはゐずなりぬ
木下節子
雲の峰
200311
秋燕雲の高みへひるがへる
深田稚敏
沖
200312
波の白三段かまへ秋つばめ
宮川みね子
風土
200312
つつ抜けの天秋燕の高く飛ぶ
市橋幸代
築港
200312
明日去ぬか秋燕集ふ千曲川
山口順子
苑
200312
秋つばめそこはかと日は堅魚木に
市場基巳
槐
200401
噴水の残像よぎり秋燕
鈴木綾
朝
200401
船降りて秋燕の空かへりみる
和田敏子
雨月
200402
秋燕を見送る島の紋瓦
小澤克己
遠嶺
200402
秋燕熔岩の凹凸知りつくす
九万田一海
河鹿
200402
立山にまだ雪の来ず秋燕忌
淵脇護
河鹿
200402
浅間嶺に真向く巌頭秋燕
橘澄男
「山景」
200408
秋燕切り株森に残されし
城間芙美子
対岸
200411
秋燕や駅舎薪小屋より小さし
戸田和子
鴫
200411
秋燕や中仙道は晴れ極み
城孝子
火星
200411
秋燕木道の板かたと跳ね
今瀬剛一
対岸
200411
おつぱいにないないねてふ児秋燕
東亜美
あを
200412
秋燕や渡し場跡の石畳
野々山照子
空
200412
きのふより今日空高し秋燕忌
神蔵器
風土
200412
秋燕の雲と湧き来て賑はへる
木村コウ
酸漿
200412
夕焼に染まる秋燕鹿島灘
岡村葉子
空
200412
秋燕の一閃瀬戸の空かすめ
木内美保子
六花
200412
「海の子」の曲に市果て秋燕
宇野慂子
万象
200412
秋つばめ村一番の木に群るる
松原三枝子
万象
200412
海渡御を終へたる山車へ秋燕
宮津昭彦
濱
200501
ペダル踏む腰高乙女秋燕
三栖隆介
狩
200501
秋燕の飛び交しゐる真神原
山田春生
万象
200501
翻り秋の燕となりにけり
中山純子
万象
200501
常滑の甕の黒釉秋燕
菅原末野
風土
200501
言の葉の深みにはまる秋燕忌
九万田一海
河鹿
200502
秋燕や海を見むとて歩を広く
糸井芳子
朝
200503
夫の機嫌本日快晴秋つばめ
山元志津香
八千草
200504
秋燕の発ちて昂ぶり声も発つ
泉田秋硯
黄色い風
200505
干してすぐ乾く手拭秋つばめ
松たかし
火星
200511
遺影やや若くありしよ秋燕
藤井みち子
沖
200511
秋燕透けるものみな畳みけり
宇垣みきえ
鴫
200512
秋燕夕日さし込む休窯
浜口高子
火星
200512
秋燕に空深すぎし誤算あり
鈴鹿仁
京鹿子
200512
湖の色深まれり秋燕
後藤和朗
栴檀
200512
高原駅の一口メモや秋燕
吉永すみれ
風土
200512
秋燕や舵取りあぐむたらひ舟
渡邉英子
馬醉木
200512
秋燕座椅子の背板そりかへる
浜口高子
火星
200601
川筋を変ふる砂積む秋つばめ
大山文子
火星
200602
空焼けてまくなぎの如し秋燕
瀧春一
瓦礫
200606
づぼらやの大提灯や秋燕
大山文子
火星
200609
秋燕ジョンブルさんと呼ばれけり
青柳雅子
春燈
200610
群れ飛びて烟さながら秋燕
2023年5月10日
秋燕舟に積み込む藁の束
渡邊美保
火星
200611
天の奥より群なして秋つばめ
田中春生
狩
200611
船宿の壁の剥落秋つばめ
田中春生
狩
200611
駅ビルの硝子かすめて秋燕
那須淳男
馬醉木
200611
秋燕や坂ゆるやかに海へ伸び
小泉万里子
朝
200612
秋燕のひととび山を切り返す
工藤ミネ子
風土
200612
秋燕宿場街道まつしぐら
石川倜子
馬醉木
200701
もりあがるやうな早瀬や秋燕
今井松子
遠嶺
200701
秋燕へ別れ告ぐるや蔓の先
岩淵彰
遠嶺
200702
片男波秋燕返しひるがへり
杉山瑞恵
雨月
200702
秋つばめ奥歯いよいよ無言なる
梶浦玲良子
六花
200702
秋燕や齢のその先おぼれゐる
坂本敏子
京鹿子
200703
嶺々を継ぎゆくひかり秋燕
小澤克己
遠嶺
200709
秋燕町より消えし荒物屋
代田幸子
沖
200711
木道に十字路のあり秋燕
蘭定かず子
火星
200711
秋つばめ品川宿を旅立ちぬ
片野光子
ぐろっけ
200712
秋燕や言葉の詰る丸ポスト
田村すゝむ
風土
200712
クレムリンの赤き城壁秋燕
木暮剛平
万象
200801
秋燕の寺に写経を納め来し
助口弘子
火星
200801
晨鐘や馬塞に集へる秋燕
薮脇晴美
馬醉木
200802
東塔は雨後の日差しに秋つばめ
蘭定かず子
火星
200811
卍なす青空なれば秋つばめ
中村恭子
鴫
200811
島守の見上ぐる北や秋燕
市ノ瀬遙
炎環
200811
白き帆の止まるなかれ秋燕
小田司
馬醉木
200811
秋燕帰る気の無き飛翔かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200811
群るるまま風に流され秋燕
田中春生
狩
200811
秋つばめ大樟に舟つなぎある
渡邊美保
火星
200812
秋燕や楽譜はいまも読めぬまま
和田照海
京鹿子
200812
秋燕やいつも立ち居にどつこいしよ
布川直幸
峰
200812
秋燕や開け放たるる土蔵の扉
加藤峰子
鴫
200812
目に見ゆるもの海原と秋燕と
栗田武三
ぐろっけ
200901
諳んじてそびゆる師の句秋燕
渡辺昭
沖
200901
里山に風出でにけり秋燕
延広禎一
槐
200901
秋燕や折鶴あせし観音堂
窪田米子
遠嶺
200902
秋燕や沖に日向の一握り
鷹羽狩行
狩
200910
秋燕の遅れ一羽と見しは二羽
鷹羽狩行
狩
200910
がらんどうの牛舎をとべり秋燕
室谷幸子
万象
200911
秋燕の惜別の舞身を掠む
刈米育子
苑
200911
秋燕やむかし立場の馬つなぎ
神蔵器
風土
200911
秋燕のはやも群なす遠嶺晴
高瀬史
馬醉木
200911
秋燕明日は再開発の街
常田創
璦
200911
草川の一斉に伏し秋つばめ
戸栗末廣
火星
200912
秋燕真白きこころありにけり
浅田光代
風土
200912
遠いくさ秋燕を目に見送りし
中山純子
万象
200912
秋燕や武蔵野線の大きな弧
古屋元
沖
200912
ジーパンのよく乾く日よ秋燕
稲見寛子
炎環
200912
山国の空は海色秋つばめ
水上れんげ
狩
201001
秋燕に托したき悔二つ三つ
小澤菜美
璦
201001
秋燕土手の高さを飛びにけり
白石正躬
やぶれ傘
201002
たかだかと輝ふ雲や秋燕
菊地惠子
酸漿
201011
磨崖佛斜見の速さ秋燕
丸井巴水
京鹿子
201011
昼花火はぜし船場の秋つばめ
川端俊雄
火星
201011
秋燕や祭祀の庭の泉噴く
服部鹿頭矢
馬醉木
201011
秋燕土手の工事場別れ告ぐ
早崎泰江
あを
201012
薔薇色を強める雲や秋つばめ
田中春生
狩
201012
時惜しむごとき速さに秋燕
西宮舞
狩
201012
秋燕の空鉄塔のみをつくし
河野美千代
沖
201012
四十四万カンデラ灯台秋燕忌
橋添やよひ
風土
201101
秋燕の群れ飛ぶひかり羽田沖
黒滝志麻子
末黒野
201101
秋燕まだまだ未練あるらしく
稲畑廣太郎
ホトトギス
201109
秋燕地図も着替へも持たないで
星野早苗
船団
201110
秋燕の高きを去ぬや見失ひ
小澤菜美
璦
201110
止みさうな空の明るさ秋燕
根橋宏次
やぶれ傘
201111
青空は藍より出でて秋燕忌
神蔵器
風土
201112
秋燕に見られつつ畝立て了はる
生田作
風土
201112
江ノ電を掠めて低し秋つばめ
松本三千夫
末黒野
201112
大名の別墅広やか秋燕
安藤久美子
やぶれ傘
201112
船具屋の細く開きあり秋つばめ
蘭定かず子
火星
201201
一族の空に出揃ふ秋つばめ
鳳蛮華
空
201201
水際を辿りだしたる秋燕
田中貞雄
ろんど
201209
空高く旅の相談秋つばめ
上原重一
峰
201210
茜空惜しむかに舞ひ秋つばめ
小川玉泉
末黒野
201211
秋つばめやがて光りとなりにけり
藤生不二男
六花
201211
知り尽す川の流速秋つばめ
河口仁志
沖
201211
秋燕の小技まだまだよく切れる
高橋将夫
槐
201211
秋つばめ歩行器いまだ手放せず
小川玉泉
末黒野
201211
歌垣の山を引き寄せ秋燕
萩庭一幹
馬醉木
201211
旅立ちの飛翔訓練秋つばめ
山本丈夫
璦
201211
草山の穂の揃ひたる秋つばめ
戸栗末廣
火星
201212
布引に深き空あり秋つばめ
深澤鱶
火星
201212
秋燕の細身一途にひるがへる
生田恵美子
風土
201212
秋燕の水の切れ口日照雨あと
橋添やよひ
風土
201212
秋つばめ茶屋に細身のをんなかな
橋添やよひ
風土
201212
秋燕の名残りを惜しむ合葬陵
北村淳子
ろんど
201301
浜名湖のちりめん波に秋燕
今井千鶴子
ホトトギス
201301
帆船の綱匂ひくる秋燕
広渡敬雄
沖
201303
佐保風の向き変りけり秋燕
林範昭
火星
201311
陪塚は草の中なり秋つばめ
城孝子
火星
201311
潮入の水門高し秋燕
坂入妙香
春燈
201311
秋燕帰りしあとの水平線
田中佐知子
風土
201311
秋燕や家捨てし悔今もなほ
土屋啓
馬醉木
201312
秋燕我が青春の遅刻坂
福山和枝
沖
201401
赤い糸切れて切れざる秋燕忌
山崎青史
ろんど
201401
風を追ひ群れて雲路へ秋燕
遠山風
馬醉木
201401
秋燕低空飛行徐行せよ
辻村拓夫
船団
201401
秋燕の飛び立つ後振り向かず
田代貞枝
空
201402
2021年9月2日
作成