晴れの国てふ秋惜む空のあり
稲畑廣太郎
ホトトギス
201611
晴れてゆく仔細に吉備の秋惜む
稲畑廣太郎
ホトトギス
201611
秋惜む旅は長距離運転で
稲畑廣太郎
ホトトギス
201611
秋惜む形に咲かせ路地の奥
稲畑廣太郎
ホトトギス
201611
幾曲りしたる山路の秋惜む
稲畑汀子
ホトトギス
201611
秋惜む日々旅も又家居又
稲畑汀子
ホトトギス
201611
名水を汲む列にゐて秋惜しむ
多田ユリ子
沖
201612
流れ藻の美しきに見入り秋惜しむ
占部美弥子
末黒野
201612
船よりの架橋の灯秋惜しむ
金森信子
雨月
201701
朽舟へ満ち来る汐秋惜む
藤井君江
馬醉木
201701
高原の教会の黙秋惜しむ
本池美佐子
沖
201701
ガジュマルの大樹に佇ちて秋惜む
岡田ちた子
雨月
201702
船で行く川中に秋惜しみけり
白石正躬
やぶれ傘
201701
秋惜しむ電車一本遅らせて
大川ゆかり
沖
201702
デコルテを着こなす女秋惜む
江島照美
槐
201702
秋惜しむ船行き交へる横浜港
平瀬千会
風土
201702
秋惜しむ渡り廊下のきしみにも
笹村政子
六花
201702
相撲甚句流るる町に秋惜しむ
原田しずえ
万象
201702
雲を眼下に秋惜しむ山の宿
菊池洋子
やぶれ傘
201702
千年の仁王の眼窩秋惜しむ
林徹也
空
201704
秋惜むタワーの先にある未来
稲畑廣太郎
ホトトギス
201710
成瀬家を偲びて城の秋惜む
稲畑廣太郎
ホトトギス
201710
秋惜しむ奥社へ続く木の根みち
佐々木並
春燈
201712
小江戸にて小半機嫌秋惜しむ
能村研三
沖
201712
響動せる神鼓に島の秋惜む
水田壽子
雨月
201801
みちのくの旅路なぞりて秋惜む
水田壽子
雨月
201801
秋惜む賢治板書の下ノ畑
岡崎郁子
馬醉木
201801
実るもの散り敷けるもの秋惜しむ
斉藤マキ子
末黒野
201802
秋惜しむ吾も遊子や懐古園
岡野里子
末黒野
201802
雲かかる浅間の嶺や秋惜しむ
山崎稔子
末黒野
201802
三十六歌仙掲ぐ宮居の秋惜む
山本漾子
雨月
201802
秋惜しむ妣の念珠の糸替へて
石川裕子
万象
201802
大文字山の頂に立ち秋惜しむ
懸林喜代次
春燈
201802
自転車を土手に寝かせて秋惜しむ
赤岡茂子
春燈
201802
分校にあの日の匂ひ秋惜む
藤井啓子
ホトトギス
201803
秋惜しむ京臍石に触れもして
亀井福恵
京鹿子
201803
遥かなる稜線に秋惜みけり
岩岡中正
ホトトギス
201804
暗くなるまで石に坐し秋惜む
浜崎素粒子
ホトトギス
201804
はじまりし治療に祈り秋惜む
稲畑汀子
ホトトギス
201810
秋惜む夜は雨になるとの予報
稲畑汀子
ホトトギス
201810
秋惜む昔話もひとくさり
稲畑汀子
ホトトギス
201810
明日は又明日の予定に秋惜む
稲畑汀子
ホトトギス
201810
秋惜む心に見舞ひ得しことを
稲畑汀子
ホトトギス
201810
常緑樹落葉樹草秋惜む
稲畑廣太郎
ホトトギス
201810
昨日山今日は川見て秋惜む
稲畑廣太郎
ホトトギス
201811
信州に上州に秋惜む旅
稲畑廣太郎
ホトトギス
201811
吉備路より三河路へ秋惜む旅
稲畑廣太郎
ホトトギス
201811
秋惜しむ帝釈さまの木彫師と
能村研三
沖
201811
秋惜しむスタインウェイの細き脚
頓所友枝
沖
201901
倒れ木のままのベンチに秋惜しむ
中根美保
風土
201901
好天の箕面連山秋惜しむ
大橋晄
雨月
201902
嗣治の乳白色に秋惜しむ
塩見治郎
雨月
201902
足踏みのシテの振舞秋惜しむ
石黒興平
末黒野
201902
落日のわたつみの秋惜しみけり
岡野里子
末黒野
201902
伊予と加賀訪ひ重ね来て秋惜む
千原叡子
ホトトギス
201903
橋の名のバス停三つ秋惜しむ
青木朋子
空
201905
一つづつ会終へて秋惜みけり
稲畑汀子
ホトトギス
201909
公園の芝生の色に秋惜む
稲畑廣太郎
ホトトギス
201910
秋惜む心に今日をふり返る
稲畑汀子
ホトトギス
201910
秋惜む仕事の山を置きざりに
稲畑汀子
ホトトギス
201910
秋惜む旅とて仕事ばかりかな
稲畑汀子
ホトトギス
201910
順調に仕事を崩し秋惜む
稲畑汀子
ホトトギス
201910
忌を修し終へたるよりの秋惜む
稲畑汀子
ホトトギス
201910
肩の荷を降ろす如くに秋惜む
稲畑汀子
ホトトギス
201910
秋惜む心抱きて逢ふ友も
稲畑汀子
ホトトギス
201910
秋惜みつつ今日も又旅にあり
稲畑汀子
ホトトギス
201910
皆歳を取りしと語り秋惜む
稲畑汀子
ホトトギス
201910
軍艦島
秋惜しむがらんどうなる島に立ち
荒井千佐代
沖
201911
刈谷てふ親しき距離に秋惜む
稲畑廣太郎
ホトトギス
201911
水の綺羅日の綺羅に秋惜みけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
201911
秋惜む心に添ふも添はざるも
稲畑汀子
ホトトギス
201911
野の花の青きを摘みて秋惜む
松本幹雄
馬醉木
201912
秋惜しむ女人高野の塔仰ぎ
多方清子
雨月
202001
秋惜む千里寺さまの御句碑に
山田夏子
雨月
202001
秋惜しむ最後のユーロ手渡して
竪山道助
風土
202001
時刻表屏風だたみに秋惜しむ
政時英華
京鹿子
202001
歳月や渡良瀬川の秋惜しむ
小林紫乃
春燈
202001
山霊の秋惜しみゐる葉擦れかな
近藤喜子
槐
202001
ふる里に似たる谷戸径秋惜しむ
石黒興平
末黒野
202002
秋惜しむがらんどうなる島に立ち
荒井千佐代
空
202003
これよりの川安かれと秋惜む
今橋眞理子
ホトトギス
202003
掃除して老柳荘の秋惜む
川口利夫
ホトトギス
202004
秋惜しむ左千夫遺愛の吊香炉
小河原清江
梛の木
202007
会場の熱気に秋を惜みけり
稲畑汀子
ホトトギス
202009
ふり返る旅秋惜む心切
稲畑汀子
ホトトギス
202010
秋惜む心を笑顔もて対す
稲畑汀子
ホトトギス
202010
集ふことすなはち秋を惜みつつ
稲畑汀子
ホトトギス
202010
旅多きことを心に秋惜む
稲畑廣太郎
ホトトギス
202010
被災地に心を置きて秋惜む
稲畑汀子
ホトトギス
202010
又一つ済みたる行事秋惜む
稲畑廣太郎
ホトトギス
202010
秋惜む富士黒々とくろぐろと
稲畑廣太郎
ホトトギス
202010
極上の神戸ビーフに秋惜む
稲畑廣太郎
ホトトギス
202010
秋惜む日本の災禍案じつつ
稲畑廣太郎
ホトトギス
202010
秋惜む尾張に三田に鎌倉に
稲畑廣太郎
ホトトギス
202010
秋惜む丸の内から遠ざかり
稲畑廣太郎
ホトトギス
202010
すべからく相応に生き秋惜む
植村蘇星
京鹿子
202010
秋惜み君を惜みて句座淋し
稲畑廣太郎
ホトトギス
202011
濁音を回す水車や秋惜しむ
太田良一
末黒野
202012
奥多摩の渓流訪ね秋惜しむ
箕田健夫
やぶれ傘
202101
秋惜しむ昔ここには映画館
石塚清文
やぶれ傘
202101
藤十郎讃へつつ秋惜しむかな
橘正義
春燈
202102
山辺の道のはるけし秋惜しみ
堺昌子
末黒野
202102
秋惜むかにふりそそぐ日差かな
湖東紀子
ホトトギス
202104
秋惜む若狭に夫の声残る
竹中一花
槐
202107
秋惜む庭に咲くもの終るもの
稲畑汀子
ホトトギス
202110
何よりも秋惜む日の晴れしこと
稲畑汀子
ホトトギス
202110
靴底の乾きし音に秋惜む
稲畑廣太郎
ホトトギス
202111
秋惜む都心の森に埋もれて
稲畑廣太郎
ホトトギス
202111
外つ国の騒ぎを余所に秋惜む
稲畑廣太郎
ホトトギス
202111
波音を膝に抱く浜秋惜しむ
太田良一
末黒野
202112
武蔵野の木の香水の香秋惜しむ
小山繁子
春燈
202201
鴫立沢の夕暮を待ち秋惜しむ
落合絹代
風土
202201
亡き友に出会いし辺り秋惜しむ
大山夏子
集
202202
秋惜むにも気がかりは病める人
木村享史
ホトトギス
202204
太山寺脇の行く秋惜しみけり
山田六甲
六花
202209
田の神を山に還して秋惜む
稲畑廣太郎
ホトトギス
202210
秋惜む記憶の薄れゆく君と
稲畑廣太郎
ホトトギス
202210
鎌倉の忌日遠ざけ秋惜む
稲畑廣太郎
ホトトギス
202210
極楽の文学に秋惜みけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
202211
2022年11月6日
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