秋惜む心添ひゆく忌日かな
稲畑汀子
ホトトギス
199810
孝養をつくされし秋惜まれよ
稲畑汀子
ホトトギス
199811
板塀の長きに沿ひて秋惜む
前田陶代子
朝
199901
秋惜む人待つやうに遠く見て
久崎富美子
朝
199901
燠踏みて越山の秋惜しみけり
森重夫
春耕
199902
秋惜しむ二の腕太きチェロ奏者
山中宏
船団
199903
秋惜む心に待ちぬ祝賀の日
稲畑汀子
ホトトギス
199910
秋惜み偲ぶ誰彼ありにけり
稲畑汀子
ホトトギス
199911
秋惜しむ一つ一つのこけし見て
藤本艶野
俳句通信
199912
渇筆のしの字ゆるりと秋惜しむ
長谷川通子
俳句通信
200001
歩む道それぞれなれど秋惜む
熊谷みどり
いろり
200001
追分の分去れに佇ち秋惜しむ
関野喜代子
風土
200001
地下鉄を出でて乃木板秋惜しむ
関野喜代子
風土
200001
新しき言葉を仕入れ秋惜しむ
柿沼盟子
風土
200001
犬養節唱し飛鳥の秋惜しむ
東尾?G子
馬醉木
200002
句座に在りしみじみと秋惜しみけり
大谷茂
遠嶺
200002
だんまりですぎてる午後の秋惜しむ
わたなべじゅんこ
鳥になる
200003
線刻の仏足石に秋惜しむ
鶴田武子
春耕
200010
浸蝕の岩鼻に坐し秋惜しむ
伊藤妙
狩
200010
秋惜む旅の心に添ふ日かな
稲畑汀子
ホトトギス
200010
開館の日を近づけし秋惜む
稲畑汀子
ホトトギス
200010
伝説の柳に余呉の秋惜む
深川知子
俳句通信
200011
ロープウェー五分の下り秋惜しむ
神蔵器
風土
200012
夢殿の柱にもたれ秋惜しむ
谷野由紀子
俳句通信
200012
一休の鉄鉢に紅秋惜しむ
間島あきら
風土
200101
遠回りと知りて行く道秋惜しむ
鈴木卓
風土
200101
ねんごろに墨磨つて秋惜しむなり
赤川孝子
沖
200101
声上げて大磯で握手秋惜しむ
大島竜子
澪
200101
閼伽汲んで行く秋惜しむ真如堂
原田節子
風土
200102
ドーバーの崖の白さに秋惜しむ
大塚洋子
酸漿
200103
透明のガラス戸なれば秋惜しむ
井ノ尾きよみ
京鹿子
200103
部屋の色はむらさきしきぶ秋惜しむ
神蔵器
風土
200110
旅共にせし日々偲び秋惜む
稲畑汀子
ホトトギス
200110
季語にない岩に腰かけ秋惜しむ
丸山佳子
京鹿子
200111
鯉濃に六腑満たして秋惜しむ
辻前冨美枝
沖
200112
実篤の庭の起伏に秋惜しむ
山岸治子
馬醉木
200112
紺碧の湖はるか見て秋惜しむ
林田加杜子
いろり
200112
月命日秋惜しみつつ友と行く
浅井千鶴子
いろり
200112
秋惜しむ一絃琴に目をつむり
志水干代子
雲の峰
200201
秋惜しむトランペットを拭き込みて
服部かねよし
狩
200201
秋惜みつつ住み馴れし京を去る
安原葉
ホトトギス
200202
入り際の夕日甲板に秋惜しむ
藤原たかを
馬醉木
200202
秋惜しむ一日聖らな絵画展
吉野のぶ子
遠嶺
200202
野に出でて一会の人と秋惜しむ
足利?ロ子
ぐろっけ
200202
秋惜しむ仏蘭西製の石鹸と
中村房枝
六花
200210
秋惜む水の流れと思ひけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200211
蕉像の秋惜むかにある視線
稲畑廣太郎
ホトトギス
200211
秋惜しむ三百五十の筆箪笥
神蔵器
風土
200212
カフェテラス詩人心地に秋惜しむ
神原操
雨月
200212
懐の大きみちのく秋惜しむ
島田和子
風土
200301
秋惜しむ開聞岳の一の宮
小林共代
風土
200301
辞書めくる音の中なり秋惜しむ
中村洋子
風土
200301
テノールのサンタ・ルチアに秋惜しむ
宇田紀代
濱
200301
父の一と世宵火の一と世秋惜む
大橋敦子
雨月
200301
北嵯峨の静けさ巡り秋惜しむ
松崎零衣
築港
200301
秋惜しむレモンケーキとレモンティー
松崎早智子
帆船
200301
大津絵のらくがん食して秋惜しむ
谷村幸子
槐
200301
秋惜む常より長き母の文
笹村政子
六花
200301
谷音へ心通はせ秋惜しむ
府川房江
遠嶺
200302
秋惜しむ程よき距離にゐる先師
松田都青
京鹿子
200302
蓑虫庵に別れを惜み秋惜む
落合絹代
雨月
200302
石鼎旧居の歳月を思ひ秋惜しむ
中島知惠子
雨月
200303
竹生けて李白来てをり秋惜む
沼田巴字
京鹿子
200304
秋惜む霞ケ浦の哀史もて
稲畑廣太郎
ホトトギス
200310
秋惜む車窓の富士は純白に
稲畑廣太郎
ホトトギス
200311
人の影木の影ふみつ秋惜しむ
丸山佳子
京鹿子
200312
チエホフにストリンドベリ秋惜しむ
佐藤瑛
帆船
200312
手を当てて貝吹岩に秋惜む
小林成子
苑
200402
三之町二之町飛騨の秋惜しむ
柴崎英子
沖
200402
竹細工の虫の楽隊秋惜しむ
日浦静代
百鳥
200402
丘畑に煙一すぢ秋惜しむ
伊藤セキ
酸漿
200402
水彩画は四季の安曇野秋惜しむ
藤原りくを
八千草
200404
秋惜む古都に都心に陸奥に
稲畑廣太郎
ホトトギス
200405
咲くものも咲きつゝあるも秋惜む
稲畑汀子
ホトトギス
200410
忍野八海巡りて甲斐の秋惜しむ
横森みゆき
雲の峰
200411
石刻の矜羯羅童子秋惜しむ
能村研三
沖
200412
ムックリを鳴らす湖畔に秋惜しむ
大川智美
風土
200412
月球儀月の山脈秋惜しむ
小田切陽子
帆船
200412
秋惜むメニューの読めぬフランス語
藤森万里子
百鳥
200412
撫で牛をねんごろに撫で秋惜しむ
辻井桂子
春耕
200412
ダムの壁見える村にて秋惜しむ
須賀敏子
あを
200412
句碑撫づる百の掌の供花秋惜しむ
工藤進
沖
200501
秋惜しむ篳篥の音に耳あづけ
松澤秀昭
沖
200501
哀しみを秘めたる島に秋惜しむ
須賀敏子
あを
200501
秋惜む川鵜ときどき顔を出す
近藤きくえ
槐
200501
秋惜しむエミール・ガレの瓶の青
近藤喜子
槐
200501
赤蒟蒻近江に食して秋惜しむ
谷村幸子
槐
200501
秋惜しむかに太悼の撥弾む
上田惠美子
馬醉木
200502
皇城の秋惜まむに雨しとど
竹内喜代子
雨月
200502
香墨を買ひ奈良泊り秋惜しむ
滝川あい子
雨月
200502
切り株に雲水と座し秋惜しむ
松本恒子
ぐろっけ
200502
秋惜しむ虎屋の羊羮厚切りに
鈴木綾子
百鳥
200502
大江戸の木場親水に秋惜しむ
井出清峯
百鳥
200502
秋惜しむ川近く住み河畔愛す
林雪江
春燈
200502
灯台の見ゆる堤に秋惜しむ
穴澤光江
遠嶺
200502
丘畑に煙一すぢ秋惜しむ
伊藤セキ
酸漿
200502
秋惜む神を恐れぬ高さより
今橋眞理子
ホトトギス
200503
秋惜む青空使ひきる一日
今橋眞理子
ホトトギス
200503
秋惜しむ百鳥の声森に澄み
内山けい子
朝
200503
秋惜む心のどこか地震のこと
稲岡長
ホトトギス
200504
2021年10月31日
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